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どんな作風でも死の香りがまとわりつく(小池真理子編)
小説紹介第11弾!
「青山娼館」 小池真理子
2006年発売
本日紹介するのも超ベテラン女性作家の一人である小池真理子。
1995年(恋)で直木賞も受賞しております。
ホントに多くの作品を書いているので、全作という訳にはいきませんが三分の二位は読破しています。
その中で一番印象に残っているのが今作です。
タイトルからも分かる様に、娼婦の物語何で官能小説的要素もあります。
主人公は最愛の娘を事故死させた女性。
生きる目的を失くし自虐的になった主人公は、友人の薦めで高級娼婦になる事になります。
そこに現れる男たちは、一方変わった男たちで、SM趣味は当然、死と隣り合わせの性や、何かが欠損している存在ばかりでした。
職業としての性、来店する客の悲しみにもまれながら主人公が再び生きる意味を見つける物語。
初めて読んだ時は衝撃的だったし、これも女性にしか書けない作品だと思います。
それでは小池作品の個人的ベストスリーを。
第三位 墓地を見下ろす家 1993年 私の小池作品の初体験はホラー小説でした。(リング)のヒットで、角川ホラー文庫というのが出来て、今作もその一つでした。新築で建てられたオシャレなマンションに住んだ家族の恐怖体験。王道の展開でしたが、筆力でゾワゾワさせてくれました。ホラー小説の傑作の一つだと思ってます。
第二位 神よ憐れみたまえ 2021年 実生活で夫を亡くし(作家の藤田宣永氏)、その後に出た晩年の大傑作。12歳の少女は、ある日両親を何者かに殺されて一人になってしまいます。その後多くの人の優しさで、素敵な女性に育つのですが、事件の影が何時までも影を落とし中々人生が上手くいきません。そんな中犯人が分かるのですが。。。という物語。壮大な戯曲を読むかの様な壮大な物語。
第一位 青山娼館 2006年 ホント衝撃的作品でした。直木賞作も読んでますが、性の神髄にここまで迫った作品は少ないと思います。何故か小池作品は死の香りが纏わりつくものが多い。でもそこが持ち味な気もします。
男性は殆ど読んだ事ない人が多い作家さんかもしれないですが、流石の筆力で長編でもグイグイ読ませてくれる作品が多いです。