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盗作騒ぎのケチは付いたけど、スピリチャルな感覚で文章を紡ぐ(田口ランディ編)
小説紹介第17弾!
「逆さに吊るされた男」 田口ランディ
2017年発売
本日紹介するのは人間が持つある種の特別な感覚を大事に小説を紡ぐ女性作家(田口ランディ)。
初めはエッセイを中心に活動していたのですが、小説を書き出し(コンセント)(アンテナ)(モザイク)という三部作で一気に有名作家となりました。
スピリチャルな感性で描かれる世界観は他には無い作品で、私も一気に嵌りました。
しかし盗作問題が持ち上がり、本人も一部ネットから拾って使用した事を認めた為、一躍逆の意味で時の人となった時期もあります。
無断で使用した事はイケないことでしょうが、個人的には彼女の世界観が好きで、ズーッと読み続けています。
その中で私が一押しなのは、恐らく彼女にとって今の所最後の小説となっている今作です。
今作はオウムの地下鉄サリン事件の実行犯にして死刑囚だった林との面談のやり取りから生まれた物語なんです(これは事実です)。
そのやり取りの中で作者が感じたオウムと言う団体に信仰を求めた人達の心の闇をじっくり描いた傑作です。
私は神も宗教も信じてないけど、真面目で良い人の方が嵌っていくという事実。
もしかしたらあなたも、信仰していたかもしれないという恐怖を感じる一冊でした。
それでは田口ランディさんのマイベスト・スリーを紹介します。
第三位 オカルト 2004年発売 小説の様なエッセイの様な不思議な一冊。彼女は霊も観えないし、自分には何の特殊な力は無いけど、他の人より感じる力が強いと言う。暫く会ってない人から連絡が来ると言う予感、晴天でも雨が降るという予感。それもある種の特殊な力だと。
第二位 コンセント 2001年発売 田口さんの名を一躍有名にした三部作の一冊目。実の兄がアパートの部屋で餓死した過去をベースに書き上げた作品。初めて読んだ時は衝撃でした。しかしこの作品のヒットが盗作に向かわせたと思うと微妙な感じもします。
第一位 逆さに吊るされた男 2017年発売 オウムに関する文献や映画を沢山見たけど、映像は(A)(A2)の森達也氏、小説は今作が痺れました。
以上がマイベストスリーです。
他にも田口さんにしか書けないスピリチャルな物語は、嵌る人はドハマりすると思います。