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読書の虫が辿り着いた女性の一代記(桜庭一樹編)

小説紹介第19弾!

「ファミリーポートレイト」 桜庭一樹

2008年発売

本日紹介するのはライトノベルから一般小説に代わり独自の立ち位置を築き上げた女性作家・桜庭一樹(さくらば・かずき)さんです。

(私の男)で直木賞受賞しておりますが、私の一押しは受賞後に出した書き下ろしの大長編の今作です。

物語のスタートは、幼い主人公と母が何者から今すぐに逃げる所から始まります。

その後も城塞都市に住む老医師や奇妙な海辺の温泉街、豚の解体工場の暴力的な社長、そして、大富豪の屋敷と、一時期だけそこに身をを置き、何処かへ逃げるという母と娘の逃避行が描かれます。

その中で少女が大人になり、自我を確立していくという物語。

読んだ時これは小説なのか?

もしかしたら作者の自伝ではないのか?

と思ったほど、リアル感というか肌感を感じる不思議な作品です。

しかもこれが書き下ろしと言う奇跡。

作者が乗りに乗っていた時なんでしょう、自分に中からあふれ出て仕方ない物を、書き殴ったかのような傑作です。

それでは桜庭一樹のマイベストスリーを紹介します。

第三位 私の男 2007年発売 直木賞受賞作。一人の少女が一人の男と出会った人生を、現在から過去に遡る逆展開で書いた名作。三位にしましたが小説としてのレベルは一位レベルだと思います。二階堂ふみ主演&熊切和嘉監督で映画化もされており、これも傑作です。

第二位 赤朽葉家の伝説 2006年発売 ライトノベル世界で認知度あげた作者が、一般小説でもブレイクを果たした記念的作品。とある地方に昔から君臨する赤朽葉家の女性達の代々の記録の物語。日本推理作家協会賞受賞作。人気を受け続編と言うか関連作(鋼鉄少女)も書いていて、これも面白かったです。

第一位 ファミリーポートレイト 2008年発売 正にこの時期の桜庭作品は勢いありました。どれ読んでも傑作だった時期です。そしてこの時期で無ければ書けなかった作品だし、決して売れる系のエンタメ小説では無いので、この時期で無ければ出版が難しかったかもしれない作品です。でも個人的には大好きな作品です。

以上がマイベストスリーです。

現在も独自の世界観の作品を書き続けて全作読んでますが、やはりこの時期のパワーには及ばない気がするかな?

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