[インタビュー]親から虐待を受けた子どもは人生終わるのか①
「虐待やネグレクトを受けた子どもたちが保護される施設でボランティアをしています。そこにいる子どもたちの中には、社会的養護を受けたら人生終わり。って思っている子、全然いますよ」
彼はインタビュー中「社会的養護」という言葉を頻繁に使っていた。
耳慣れた児童養護施設をもっと大枠で捉えた言葉だ。社会的養護には里親や乳児院、母子生活支援等も含まれる。
令和3年度における児童養護相談所の児童虐待相談対応件数は20万7,659件に及ぶ。
過去最多の人数であると厚生労働省より公表された。
私も過去に、児童虐待相談件数の一人としてカウントされたことがあった。
同様にカウントされたことのある青年と会話を交わした。
青年とはファミレスで待ち合わせをした。約束の15分前に声をかけられた。
高身長で、綺麗な二重線の持ち主。黒縁メガネをかけているからだろうか、理知的な雰囲気がある。身だしなみに気を使っているのだろう、ほんのり香水の匂いがした。
20歳の青年の名前は、ナオト(仮名)さん。
落ち着いた印象があるためか、実年齢より上に見えた。
彼は今、自立援助ホーム(なんらかの理由で家庭にいられなくなった15歳〜20歳の人達が暮らす場所)で生活をしている。
彼が生活している自立援助ホームは、6人程度の集団生活でシェアハウスのようなものだ。24時間体制で寮母さんのような大人が1人以上居て、朝以外食事が出る。
部屋は一人部屋で、キッチン・冷蔵庫・お風呂は共同。
彼のホームは門限がないため、比較的自由な生活をしているという。
彼は来月で通信制の高校を卒業する。今はまさに大学受験の勉強中だ。大学は奨学金を利用する。高校生のうちは自立援助ホームの居住費は光熱費含め不要だが、大学生・就労している人は月3万円の支払いが必要になる。
未成年のうちのアルバイトでは、施設長がサインをしてくれるため保護者が居なくとも行うことができる。
「社会的養護・虐待の経験者だからってことをネガティブに考えてない。自分はこの属性だからって上限を決めて、下向きに生きていくのは勿体ない。社会的養護の偏見がすごくあって、社会的養護に入ったら人生が終わるって思っている子どもがいる。社会的養護を受けている人=可哀想をなくしたい」
彼は自分や自分に似た境遇の人を、このように捉えている。
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