禍話リライト 人呼びこっくりさん(狐狗狸博士と憑き物使い)
夕方、いわし雲が夕日に染まる頃9月上旬、
国道9号線を西に移動する。
霊柩車には、真っ黒な服装の男、憑き物使い深見胡堂の姿があった。
今回は、ある依頼を受けて
その専門家と合流して、移動していた。
迎えに、行かなればならない、理由があった。
狐狗狸博士の見た目と言動に問題がある。
身長2m弱にして、足元まで伸ばした髪
昔の、中国映画の道士のような服をまとい
肌は、青黒く、目は小さくほとんどが黒目で
手の爪の全部が2センチほどの長さで尖っているのだ。
目立つ上に、近づくとゾンビのようである。
明るい日の下を、歩かせてはいけない。
更に、狐狗狸至上主義
この世で、一番大事なことが、狐狗狸さんだと言う。
頭のおかしい怪人の一人。
狐狗狸さんが全て、後にも先にもだ。
俺の、数少ない知人の一人。
今回の件は、この男以外にない。
ただ、自称、狐狗狸博士は、助手席で
珍しく、語り始めた。
ネットで見つけた、コックリさんの話には
全てに目に通さないと気が済まない、
最近、見た記事の内容を語りはじめた。
こっくりさんの思い出を、あることをきっかけに思い出した。
小学校の時だった、
俺と、同年代ぐらいの時の人なら
ギリギリ、知ってるエンジェルさんだったかな。
Aちゃんは、誰と結婚するのかと質問すると
その、答えはめちゃくちゃだった。
ここまでの質問の回答は、割とまともだったので
今回の回答は、良くわからず。
「こんな字無いよね、」
皆も知らないため、急に調子、悪くなったねと、盛り上がった。
その時の思い出は、十年後に思い出すことになった。
22歳のころ、Aさんは、結婚したと友達から聞いた。
その友達は、あのとき、こっくりさんに、Aさんは、誰と結婚しますかと聞いたやつだった。
そいつが言うには、Aさんの名字が、結婚して
苗字が変わって、すっげぇ難しい漢字が使われていたらしいんだけど
鬱みたいな、感じでさ、
それで、俺、思い出したんだけど、あのときやったこっくりさんの答え
もしかして、こっくりさん、漢字読めなかったと思うんだよ!
勝手な、思い込みですけど、コックリさんが馬鹿で、こっくりさんの学力が分かったって、笑って話したけど。
この、話をネットで発見して憤慨した奴がいる、
今回の俺に来た依頼を、代行する
数少ない俺の知人だ。
狐狗狸博士、奴は
コックリなら、どんなことも受け入れる
頭のおかしい怪人の一人だ。
奴が、言うには、どのように狐狗狸さんを使うのは自由だが
本来、型や、しきたりを外れて行った場合は
如何なる結果をもたらすのかは、自己責任である。
今回のこの話は、おかしな点がありすぎて納得いかないと言う。
通常の狐狗狸さんなら、
名前について、読みは現わせるが
書き方については、現わせない。
仮に、10円玉の動きで示した場合
それも、漢字を。
この場合、一筆書きになって、かなり複雑に感じるだろう
エンジェルさんでも同じ理由だ。
画数多くなれば、なおさら解読できない。
つまり、狐狗狸さんが間違えたのではなく
彼らが読み間違えたと考えるのが正しくて。
狐狗狸さんに、学力を求めるのなら
それ、相応の霊を降霊してから述べるの筋ではないのか?
狐狗狸さんは、基本動いたとしても
人間が持つ、観念運動と、自己催眠、予期意向の結果で
ごくたまに、何らかの霊、動物霊、浮遊霊が来るだけで
このようなもの達が、未来を透視出来るはずが無い。
つまりは、どのくらい、本気で狐狗狸さんに挑むか
それによって、答えは正確性をますのだ。
そこまで、本気で狐狗狸さんを行うのはお前だけだと告げると
確かに、その通りだが、本当の狐狗狸さんの恐ろしさと
極めて高い能力を知らなさすぎるのだ。
いやいや、そうなったら、裏の世界の俺たちはどうなる、
素人に毛が生えたような奴らが跳梁跋扈して
滅茶苦茶になり、混沌と化すのが目に見えている。
俺は、いつも思う、身分相応のオカルトを楽しめ。
さらに、別のネットの話題を話始めた。
こっくりさんに使う10円玉の使用後は、使わないといけないと
一般的には言われていて
その、使用方法の一つに、前回のブームでは
公衆電話で一回かけて、すぐ切ること。
一回で必要な金額が10円で、一部の地方では
こっくりさんの、10円玉は、公衆電話で処分するようだったが。
現在では、公衆電話を探す方が難しい。
10円単体で、使用するには駄菓子屋に行くかと考えるが
これも、最近地方の方が、姿が消えつつある。
最近のスーパーによっては、消費税の関係10円では足りない、
というわけで、気が付いたのは、お賽銭である。
今から5年ほど前に、こっくりさんで使った10円玉を
近所の神社の賽銭箱に投げて処分していた。
仲間内で、突然○○ブームは、やって来る。
夏休み、突然こっくりさんに、ハマって週3,4回のペースでやってて
その度に10円玉を賽銭箱に入れ、その当番を
当番制にしていて、2週間が過ぎた頃。
仲間の一人のB君が、やめた方がいいよと言い出した。
理由を聞くと、先日、その10円玉を処分する番で
神社に行ったけど、普段は、遊び終わってから
夕方に神社に行くんだけど。
この日は、塾の終わってから行ったら、
21時ぐらいで暗いし、田舎で街灯も少ないため
すぐに終わらせようと、10円玉を賽銭箱に入れ
鈴をジャラジャラと鳴らし、よろしくお願いしますと呟いたとき
「お前かぁ、」と右横の藪の中から声がした。
すると「お前が、不浄なものを置いていく、不届きものかぁーっ!」
藪の中から数人の白い服を着た、女性が飛び出した来た。
怖くなった、B君は慌てて逃げたと。
「それでさ、神社の人怒ってたから、10円玉入れるのやめよーぜ、」
「そうじゃねぇから。」
Bくんは、馬鹿だから、本当に神社の関係者に怒られたと思ってて
「神社の人だったら、藪中に隠れてなくてもいいし、あそこは、普段巫女さんもいない、確か、神主のじーさんと、管理のおばさんが一人いるだけだから」
つまり、神社の神さんが怒ってるんだよって、話になり、
そのあと、10円玉を賽銭箱に入れるのは辞めた。
その話の何が気に入らないんだと聞き返すと
狐狗狸さんのを呼び出したとき
乗り移る物が、10円玉だ、
だから、遊んだ後、気味が悪くなる、持っていたくない
気持ちは解る。
ようは、穢れ、または、障るような気がする。
使った紙は、どうするんだ
燃やしてしまうだろう、そのときに10円玉も
燃やすのが正解だ、お焚き上げのセルフ版だと思えば良い。
ようは、気持ちの問題で、炊き上げたことで
一度霊的なものは、祓われたと解釈して
普通に使えばよい。
私は、500回ぐらい、連続使用実験して、大成果を得たので
お守りとして持っている。
狐狗狸さんを、やりたくなるような者は
こころの、どこかで神、幽霊を信じている、また、居て欲しいと思っている
そんなオカルト信者が、10円玉を、神社のお賽銭箱に入れたら、名案と思うよりも
もしかしたら、良くないかもと、思うのが当たり前で
これは、狐狗狸さんあるあるの一つで。
子供の時から、狐狗狸さんをやるとこうなるんだという例の一つ。
じゃあ、学校でも、家でも正しい狐狗狸さんを教えるかというと
そうでもない、あそび、占いとして、そこまで難しくないと言う点で
流行り過ぎた、実は、降霊術が始まりだと教えるべきだった。
「流行ってしまったからには、もう遅いんだよ、だから、今回の依頼のように、
こっくりさん言えど、俺たちのような裏稼業の出番がある。」
飯のネタは多い方が良いんだの返すと。
「まぁ、狐狗狸さん絡みなら、致し方ないか」
こいつは、狐狗狸さんが絡めば、ただでも請け負う
それだけ、真摯に狐狗狸さんと向き合うからこそ
あらゆる事態に、対応できる。
まぁ、自らを10円玉の代わりに使ったり、他にもヤバいやり方を続けた結果が、
狐狗狸さん専属霊を4体持ち、圧倒的な千里眼を持つ
まぁ、生きる狐狗狸さんになってしまった。
俺から、してみれば、交通費と小遣い程度の金額で
狐狗狸さんがらみの案件を請け負ってくれるのだから
ありがたいことで、だから、こいつの、愚痴の一つでも聞いて
置こうと思うわけだが、まだ、話そうとしているので
「ここらで、案件を喋ってもいいかね。」
狐狗狸博士は、「おっと、そうだったな、いつも周りの霊たち聞かせても無反応で
話相手が生きていることに、つい、興奮したようだ。」と言った。
今回の依頼内容を話し始めた。
とある学校で
コックリさん、にハマったグループがいて
最近、調子が悪いのか
キューピットさん、エンジェル様にも手を出していたが
なかなか、動いてもくれないし。
最近は、動いても意味のある返事が返って来なくなっていた。
刺激が足りないのか、要は、飽き始めていたころに、
その中の一人、Aちゃんがこんなことを言い出した。
「不特定多数の中から、呼ぶから、来ないんじゃないの。」
積極的にコックリさんを仕切っていたAちゃんが、そう言いだした。
Aちゃんの家は、資産家で、若干、人を見下しがちな子だった。
実は最近、ある地区の団地で、悲惨な事故があって
交通事故で歩行者を2台の車が連続して引かれる事件があり
その歩行者は死亡した。
歩行者は、黒い服を着ていたせいで、発見が遅れて事故になったと、TVの地方ニュースで流れていた。
その被害者の名前が何故か、その地域一帯で広まっていた。
その被害者の身バレも早く、住所もばれるのはあっという間だった。
この学校の近くだし、死んで間もないので
呼んだら来るんでしょうと言い出し
やることとになった。
交通事で亡くった人を、本当に呼び出すことになった。
本当に、指名できるのか、その理由も
不特定多数では、降りて来る確率が悪いからと
更には、霊として、出来立てほやほやだからと言う
すごい理由であったのにも関わらず。
実際、こっくりさんをやってみると
10円玉は、動き出した、
本当に、交通事故で死んだ、その人かどうか分からないまま
質問が続いたが、その内容が、明日のテストだの、
誰が誰を好きなのかだとか?
仮に、その人が来ていたら、分からないようなものばかり。
そんな事聞かれても嫌だろうなと、Aちゃん以外のメンバーは
もうやコックリさんを続けるテンションが無くなっていて。
それに、気づいたAちゃんは、ムキになって、ヤバい質問を連発した。
「死んだとき、どんな感じでしたか。」
すると、10円玉は、ぐちゃぐちゃに動いていたが
その中でも、痛いとか、挟まれたの時は、ゆっくり動いたように見えて
それだけは、みんな分かったのか、それぞれがぼそりと口に出していた。
「やりたい事あったと、思うけど、何かありますか?」
結構、失礼な質問を色々聞いて、この時は何事もなく終わった。
Aちゃん以外のメンバーで、「今のって、無いよね」
「もし、自分が死んで、そんなバカなこと質問されたら、
まるで、マスコミが無神経に被害者に聞いてるみたいで良くないよね。」
と感想残して、その日は、解散になった。
翌日の、金曜日、Aちゃんは、学校に来ていなかった。
土曜日は、授業があったのだが、来ていなくて「風邪でも引いたのかな、」
「罰でも当たったんじゃぁねーの」とか噂されていた。
月曜も、火曜も、水曜日も来ていない、
それで、担任に聞いたみると、詳しく分からないんだ
親からの説明だと家族旅行でしばらく休ますしか言われてないそうだ。
その後、偶然Aちゃんの家の事情が分かることになった。
そのクラスの中で、一人お兄さんが居る人がいて
そのお兄さんが夜に、ジョギングするのが好きで
いつも通り、団地の中をジョギングしていて
一息つけるような、自販機が沢山あるような場所で
コーヒーを買って、そういえば、この近くにAちゃんの家があるよな
確か、金持ちの大きな屋敷だったかな、
お兄さんは、妹から聞いていた。
交通事故で亡くった人を、こっくりさんで呼び出して
失礼な質問とかしたらしく、その罰が当たって、学校を休んでいて噂になってると。
そんことを思いながら5分ぐらい経つ頃に、向こうから人が来る気配があって
その団地は若い人が少なくて、夜、出歩く人なんてほとんどいない
自分以外に居るんだなって、変な話、自分ぐらいの年齢かと思って
どんな人がジョギングしているのかと思い、ジョギング仲間かなーと思っていたら。
「うー、」「あー」とか言いながら、黒色のフード被った奴が
何度も「うー」って言ってるけど、痛がってる訳でもない、そいつが自分の前を通り過ぎていった。
どこ行くのか、興味が沸いて、距離を取って、後からついて行った。
すると。噂のAちゃんの家の前に居た。大きな門があって確か近づくと防犯ライトが点くはず。
その当時では、防犯ライトがついている家はお金持ちだけだった。
フードの男は、門の目の前で腕を組んで「うー、あー」言っているけど。
ライトは点灯していなかった、あれっとおもったけど、故障か、電球が切れたのかと思ってけど
そういえば、家族で旅行するって聞いてたな、だから切ったのかな
でも、防犯のためなら、点いてたほうが
安全だよなーと思っていると、普通に、門を開けて入っていったんだ。
どんどん奥へ入っていく、庭を超え玄関に近づいていく
明らかに不法侵入だ、だってどう見ても不審者だし
警察に通報したほうがいいかなって思いながら、周りを見ていたら
駐車場に、車が2台あるんですよ、あれ、出かけてないと思って
旅行には、車で行ってないのかな、もしかした、家にいるのかなって疑問に思い始めた。
遂に、玄関の前にフード男が腕組みしながら立っていた、
ここでも、防犯用のライトはあるけど、点いておらず
インターホンを押すのかなと見てたら
玄関の取っ手に手を掛けて、普通に開いて
通常、良い家なら、2重ロックが付いてそうなのに。
あいつは玄関の中に入っていった。
これは、いよいよ泥棒なのか、わかんないけど
どうしようと思うけど、どうなるのかが気になって、様子を伺うことにした。
フード男は、玄関の入った所で立ち止まり「○○さーん。」って大きな声で叫び始めた。
「○○さーん、聞こえてますよねー。」
その光景が、怖くて黙って見ていたら。
「こう言うのって、意味ないんですよー、こっちから、行こうと思えば
いつでも、こうやって入って来れるんですよ、だから、設備とかどれだけ良くするとかじゃーないんですよー。」
こいつ、抽象的だけど、怖いこと言ってる。
「○○さーん、色々されてるみたいですけど、宗派か違うとか、レベルの段階がどうだとか
そういうことじゃぁ、ないんですよー。」
うぇ、何言ってんのって思った。
だんだん暗さに慣れてきて、フード男の足元には、白い紙みたいなものが散乱していて
良く見ると、恐らくお札みたいなもので、玄関の壁中何かが貼ってある
色んな宗教のお守りのようだった。
フード男は、まだ叫んでいた。
「こういうのは、もう意味ない段階にきてるんですよ。」
「俺、いつでもそっちに行けるんです、本当は、今、言ってもいいんですけど
今日は、今、言ったことを理解して頂きたくて、意味がないこと伝えにきました。」
「分かって、頂いているみたいで、今日は帰ります。」
こっちに向かって歩いてきた。
まずい、こっちに来ると思って、門の前まで戻り、横にずれて隠れてれていた。
フード男は、こっちに気づかず、もとの道を戻っていった。
そしたら、「ガチャっ、ガチャっ」って、玄関の鍵の閉まる音が聞こえた。
中に、家の人が居て、無駄だと思うけど、やっぱり怖いから閉めんだんだ。
そして、玄関の防犯ライトが点いて、門のところのライトが点いて明るくなった。
フード男がいる間だけ、ライトが点かないんだって、恐ぇーなと思って。
とりあえず、這う這うの体で家に戻り、次の日、妹に話した。
学校で、朝のホームルームの時間に、担任の先生から
Aちゃんは引っ越すことになりましたと報告があり、続けて
○○田さんと〇林さん宛てに、手紙を預かったと言って
受け取ることになった。
二人とも、あの時Aちゃんとコックりさんをやったメンバーだった
その場では、中身を見ず、休憩時間に二人で確認した。
その内容は、シャーペンの殴り書きみたいなもので
あんたたちの、所にも来るはず、自己責任だから、がんばってねって書いてあった。
まぁ、ここまでが今回の依頼を受けるにあたって
調査した内容だ。
Aちゃんは、こっくりさんで、フード男を呼ぶ出すのに、成功したようだ。
そして、Aちゃんは、見事にフード男に呪われる、正確には祟られることになって
防犯設備の強化をしたり、寺社にて、お守りを購入したり、宗教的な相談もしながら
対策を講じてきたが、全く通じてないため、お金に物言わせて
どっから、俺のことを聞いたのだろう。
腕の立つ男が居る、報酬が高いことと、評判は凄く分かれるってね。
それで、連絡があったが、言ってる内容が
精神的に参っているのか、要点がつかめない、細かく聞こうとしても
電話のスピーカーの音に雑音が混じる、
相手の霊の妨害が見受けられるところからも
調査が、必要というわけで、まぁ、お祓いなんてものを
素人風情がやろうとしても、中途半端で終わるのがオチだし、
宗教関係者も、形としてお祓いをする連中が多い。
だから、舐められるんだよ、たかが亡霊ごときに。
だが、おかしな点がいくつかある、
一つ目は、素人ごときの、簡易降霊術こっくりさんで
ピンポイントで、死んだばっかりだとして、降りて来る保証は一つもないこと。
二つ目は、その辺の、幽霊がここまでの力を持つかどうかだ。
不慮の事故だ、しかし、怨霊になるには、ちと色んな面で不足がちな向きもある。
だが今回は、こっくり絡みの案件なら
うってつけの奴が居る、今回はそいつ任せて、高見の見物と行こう。
フード男が、すぐに襲わない理由は
家族が、完全に恐怖によって、精神も体力も弱り切った所を、襲いたかった。
と言うか、物理的に、人を殺すには、霊的な者たちは基本出来ないからだ。
自分から、命を閉ざす、自殺に追い込んだり、疲労困憊で車の操作を間違える。
幻覚で、道路を走っている、車の前に誘導する、崖から落とすなど
最終的な手段は、この世のものを使わなければ、とどめを刺せない、
つまりは、霊的な攻撃とは、自分で自分を傷つけることである。
しかし、本人は、霊に襲われているという、思い込みが真実になっている、
俺なら、ここを起点に反撃するが。
狐狗狸の専門家はどう判断するかは、やらせてみなければ分からん、
お手並み、拝見と行こう。
様子の変わった、娘を助けるため
その町の名士であった両親が手を打ったのだが
状態は、悪化するばかり
そこで、俺に依頼が舞い込んできたと言うわけさ。
狐狗狸博士が言うには、Aちゃんのやり方でも
必ず、希望する霊が来るとは限らない。
其の霊との繋がりが必要だ。
降霊術と同じ、肉親を使う、本人の持ち物を使う、住んでいた家で行う
それでも、降りてくるとは限らない。
それでも、降りて来たのは、Aちゃん自体の、霊感が強く、巡りあわせがなければ、偶然ではやってこない、
つまり、Aちゃんと、彼は結びつきが強いのだ。
この場合、どうやって解決するか、
狐狗狸博士は言った。
「答えは、単純、自分がもう一度、こっくりさんで彼を呼び出し、
自分に憑りつかせる、」
「そして、彼の状態は
幽霊、浮遊霊でも無い、亡者へと代わり、
さらに、幽鬼へと成り下がることで
地獄でもなく、成仏するわけでもなく
鬼道も持って、鬼や邪が住まう、異界へと送ってしまう。」
そこで、彼が持つ憎悪や執着心が消えるまで
何百年、何千年、とその時を待つことになる。
Aちゃんの、自宅は、昼間でも照明は切られていたが
今回の、段取りでリビングを片付け
家具などは、壁際に寄せ30畳ほどに広間に
俺と、Aちゃんと、狐狗狸博士の3人だけになった。
狐狗狸博士の段取りで
部屋の隅で待機している、Aちゃんを守れなんて言うではないか。
しかし、あいつがどうやって彼を呼びだすのか、
まさか、普通に10円玉使って、こっくりさんをするわけはと思えない。
狐狗狸博士が、部屋の中央に立つと
仮面をとり、あいつの家から拝借してきた
フード男の遺品、恐らく家族写真らしきものを
足元に置いた。
「こっくりさん、こっくりさんお出で下さいと、お願い奉り候。」
「ごうっ、がはぁっ」なんと自分の手を貫き手に構え、の長い爪を
口の中に突き込んで、血を吐いたではではないか
結構な量を吐き続けている、しかし、
床に落ちるなり、その血は線状になって四方、八方に広がって行き
こっくりさんに使うあの紙書かれる形、鳥居、はい、いいえ
51音のひらがな、数字なって部屋いっぱいに使ったものになった。
血を吐くなら、吐くと最初にいっておけ
このガキが、血の気が引いて倒れそうだぞ。
しっかり、肩を抱きかかえ、しっかり見とけ
自分が何をやったかを。
狐狗狸博士は言う、「こっくりさん、こっくりさん、準備は整いました。」
あいつが目を閉じ、まるで全ての力が抜けたように
だらりと両手を下げ、体を丸くした、
「ひゅぅぅぅぅぅぅーぅ」と口から吸い続ける呼吸音が聞こえ
奴の体が、青白光始めると
カッと目を開き、眼球は真っ赤に輝き、瞳孔の代わりに
目には、鳥居のマークが黒く浮き上がり
カぁっと開いた口から、青白い火の玉、狐火が漏れだした。
足元が、床から数センチほど浮かびあがると
そのままの体制で、滑るように水平移動しはじめて、鳥居の上に移動したのだ。
自分自身を10円玉見たてるとは
確かに、自分に憑りつくだろう
だけど、この後、どうするつもりだ。
「我は、鬼道より、来たり名を、白眉
これより、同胞を迎えに参った。」
狐狗狸博士から、声が聞こえるが。
口は動いていない。
「○○田○○也よ、我が呼び出しに答えよ。
我の所へ来るか?」
すると、狐狗狸博士が滑るようように動いて
いいえで止まった。
まだ、この世に未練があるか?
また、動き出し、はいに止まる。
やつとしては、そうであろうよ
「残念ながら、お主は、ここに呼び出された時点で
お前の家族とも、お前を呼び出した○○からも
もう、因縁は絶たれ、我が主の命により、
我ともに、闇へと落ちようぞ。」
「全ての縁を絶ち、わが身の闇へ、誘わん。」
すると、狐狗狸博士が上を向くと
天井に立ち込めていた、黒い霧状のモノが
大きく上に開けた口にの中に吸い込まれていく。
すると、床に書かれていた文字が、消えて行く
狐狗狸博士の足が地面に着き
閉じていた目を開き直すと
黒い瞳孔が戻ったのが見えた。
いわば、封印的処置である。
お祓いとは、結果的に正解である。
例えば、幽霊を見て、精神的に異常が認められ、日常生活に問題がある場合に
現代では、病院で診てもらうことになり、大概の場合は、精神科に通うことになり。
症状が治まるまで、薬による投薬治療になるが、薬による、不安の低下
では、一旦症状は治まっても、きっかけさえあれば
幽霊を見ることになるだろう。
これは、単純に幽霊が見える人に、実際には幽霊は存在しなと、幻覚であると説明を受けても
心の中では、納得が行かず、中には、鮮明に幽霊を思い出す人もいる、
これは、あなたの中の幽霊を信じる心が、あたかも本当に幽霊はいると思い込んで
あなたの中では、幽霊が存在することになっている。
信念になっていて、その人のなかで、幽霊が存在することが当たり前の世界が構築されている
幽霊の存在が肯定されている世界が現実であるとして
生活をしてきたから、薬だけでは、根絶できない。
だったらどうするのか、お祓いやエクソシズムで失敗する理由は
払う側と、祓われる側と信頼関係が築けるなかった場合に起こる、
霊を信じて、霊障が起こるような人にいくら、科学的いないと説明しても
理解できない、心が拒否反応を起こすのだ、
まず、子供だと、大人の理屈が通用せず、宗派が違えば、神の言葉も理解できない
その人の価値観を壊さず、その霊を祓えるものを見つけ、
それを、自分の中に取り入れ
行うことで、取りつかれた人と、信頼を得て、心から納得できる流れを
作り出すのがベストな対処だ。
いかに、イエス・キリストであっても、理解できなければ
救うことは、叶わない。
つまり、昔ながらの、お祓いや、憑き物落とし、悪魔祓いが
一番効果的であった。
祓う側も、実は、本当は、霊とか、悪魔とか存在しないことを知りつつも
一番、効果的な
お祓いを行っていたと考えられる。
だが、しかし、中には意思疎通できな場合は、他の手段で祓うのみ。
俺は、俺のやり方でやるし、今回はあいつのやり方で行っただけである。
信じる者は、救われるは本当の話だが、どこまで、お前らは信じることができるのか?
「全くもって、派手な演出だ。」
「しかし、あの男の霊はどうなった?」狐狗狸博士に問う。
「ほどぼりが、覚めるまで
己の身で、封印したのと同じだ。」
「待て、お前がくたばったらどうなる?」
「出てくるかもしれんし、出て来ないかもしれん
くたばってみないと、解らん。」
「長生きしても、あと30年ぐらいだろう
?」
「胡堂とあろうものが、私の状態が分からないのか
すでに、生きるミイラのようだ。
本当に、死ねるのか分からん身になってしまった。」
どおりで、生気をを感じないと思ったぜ。
見た目、キョンシーか、中国人のゾンビだ
こんなのが、街中歩いていたら
大騒ぎのはず、でも普段は一歩も外に、出ていないと言う。
それに、しても、今回の件は、これで丸く収まったのか?
いや、最後まであの男は、犠牲者のままだったな。
そして、狐狗狸さんは、節度をもって付き合え
これが、今回の教訓だ。
今回のようなことになったら、喜ぶのは
俺と、狐狗狸博士だけだ。
生けるゾンビを、霊柩車の助手席に乗せ。
俺は、今度から、手配だけで十分だと
ほくそ笑む男の姿があった。
終
出典
この記事は、猟奇ユニットFEAR飯による青空怪談ツイキャス
禍ちゃんねる 新春初禍話スペシャルから
こっくりさんシリーズ「よめない」「おまえか」と
禍話』のTHE 禍話 第26夜(2019/01/18)にて約40:14から語られた(人呼びこっくりさん)を合わせて、
編集および再構築、表現を加えて文章化したものです。
何度も、お世話になります。
ありがとうございます。
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