娯楽が多いほど退屈を感じてしまう
娯楽が多いほど退屈を感じてしまう
◆ 若者の8割が感じる退屈
内閣府の調査によると、若者の約8割が退屈を感じていると言われています。
退屈を感じる理由は様々です。
好きなことができていないから?
同じことを繰り返しているから?
目標がないから?
成長を感じられないから?
人間関係でトラブルが起こっているから?
他人と比較してしまうから?
アクションを起こせないからでしょうか?
◆ 環境がもたらす退屈
退屈を感じる理由は人それぞれですが、環境も大きく影響しています。
今回は、カナダのウォータールー大学の研究を参考に、退屈を感じる瞬間についてお伝えします。
◆ 研究概要
ウォータールー大学の研究者たちは、退屈の原因を探るために228人の大学生を対象に実験を行いました。
参加者は2つのグループに分けられました。
何もない部屋:机と椅子、黒板があるだけの簡素な部屋。
娯楽がある部屋:おもちゃのブロック、ジグソーパズル、ノートパソコン、紙とペンなど、様々な娯楽が揃っている部屋。
参加者には部屋に入り、椅子に座って15分間何もしないよう指示されました。
許されたのは頭の中で考え事をすること。立ち上がったり歩いたりすることは禁じられていました。
◆ 実験結果
実験の結果、退屈を感じたのは、娯楽がある部屋でした。
さらに、途中で退場した参加者も娯楽がある部屋の方が多かったのです。娯楽がある部屋での退場者は全体の25%、何もない部屋では15%でした。
◆ なぜ娯楽が退屈を増やすのか?
これは「機会費用」という経済学の概念が関係しています。
機会費用とは、複数の選択肢がある中で最も利益の高い選択をした場合と、それ以外を選んだ場合の利益の差を指します。
今回の実験では、何もない部屋では退屈を紛らわす手段がなかったため、機会費用は少なかったのです。
一方、娯楽がある部屋では、退屈を紛らわす手段が豊富に存在しました。
しかし、それらを使うことが許されず、想像と現実のギャップから退屈が増幅されたのです。
例えば、目の前にゲームがあるのにプレイできない状態を想像してください。これはまさに「おあずけ」を食らっている状況で、非常に退屈でつまらないものです。
◆ 退屈を克服するためのヒント
この研究結果から学べることは、環境や状況に応じて自分の時間を有効に使う工夫が重要だということです。退屈を感じる瞬間でも、自分なりの楽しみや意味を見つけることで、その時間を有意義に変えることができます。
例えば、待ち時間に読書や瞑想を取り入れるなど、日常の中に小さな楽しみを見つける方法があります。また、退屈な時間をクリエイティブに使うことも有効です。絵を描いたり、日記をつけたり、新しい趣味に挑戦するなど、意識的に活動を選ぶことで、退屈を感じることなく豊かな時間を過ごせるでしょう。
結局のところ、退屈を感じるかどうかは、自分の考え方や行動次第です。どんな環境でも自分なりの楽しみを見つけることで、退屈を感じる時間を減らし、より充実した日々を送ることができるのです。
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参考文献
Rich Environments, Dull Experiences: How Environment Can Exacerbate the Effect of Constraint on the Experience of Boredom
https://psyarxiv.com/58g2m/