【ドアウェイ効果】どうして別の部屋に移動するとド忘れするのか?
【ドアウェイ効果】どうして別の部屋に移動するとド忘れするのか?
あなたは、ドアウェイ効果という現象を知っていますか?
ドアウェイ効果とは、何かをしようと部屋に入ったのに、するべきことを忘れてしまう現象のことです。
言葉を知らなくても、多くの人が体験したことがあると思います。
ついさっきまで目的を覚えていたのに、部屋に入った瞬間に忘れてしまう。あるあるだと思います。
このドアウェイ効果は、2011年にアメリカのノートルダム大学の心理学の教授が名前をつけました。その際、ドアを通り抜けることで、頭がリフレッシュされて、少し前のことを忘れてしまう、と考えていました。
ですが、どうやらこの考えは間違っているみたいなんです。
ボンド大学の研究者がドアウェイ効果について調べてくれました。
・ドアウェイ効果の実験
研究者は四つの実験を行って、ドアウェイ効果について調べました。それぞれの実験の概要は以下の通りです。
実験①
29人の参加者にVR空間でたくさんの部屋を移動してもらいました。部屋を移動した際に、前の部屋にあった物を覚えているのか調査しました。実験②
45人の参加者にVR空間に入る前に数字を覚える記憶力のテストを行ってもらい、記憶力を使ってからタスクをこなしてもらいました。実験①と同じく、部屋を移動した際に、前の部屋にあった物を覚えているのか調査しました。実験③
26人の参加者にビデオを見せました。部屋から部屋に移動するビデオを見て、前の部屋にあった物を覚えていられるのか調べました。実験④
26人の参加者に実際に歩いてもらいました。ドア代わりに設置したカーテンがある廊下を歩いてもらって、前の部屋で覚えたことを移動した後も覚えているのか調べました。
・ドアウェイ効果の結果
以上の四つの実験から、ドアウェイ効果が起こる理由について分析しました。
その結果、ドアウェイ効果が起こるのは、「部屋の役割が大きく変わる場合」でした。
ドアを通り抜けること自体は、記憶に影響を与えませんでした。
では、どのような場合に記憶が失われるのでしょうか?
それは、部屋の環境が大きく変化するときです。
たとえば、オフィスから別のオフィスに移動するとします。この際、どちらの部屋も仕事をする場所です。部屋の役割がほとんど変わっていないので、記憶が抜け落ちることもありません。
次にショッピングモールです。
まず、服屋に入って、一通り見てから、晩御飯の材料を買うために食料品点に移動したとします。
すると、服と食べ物では大きく種類が異なるので、晩御飯の材料に何を買おうとしていたのか忘れてしまうのです。
役割が大きく異なる部屋に移動すると、認知的な負荷がかかります。これによってド忘れをする可能性が考えられます。
・自宅でド忘れしやすい……かも?
家の部屋はそれぞれ役割が決まっています。
リビング、キッチン、寝室、書斎、リビング、トイレ、浴室、どれもこれも部屋の役割が異なっています。
そのため、部屋の移動をするとド忘れしてしまうのかもしれません。