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プロでもストラディバリウスの音色は聞き分けられない

プロでもストラディバリウスの音色は聞き分けられない
フランス国立科学研究センターの研究

世の中にはストラディバリウスという値段が億を越える楽器が存在する
17世紀から18世紀にかけて、ストラディバリウス親子が製作したバイオリンのことだ
一般的に、ストラディバリウスは音色が素晴らしく、聞くものを虜にする、とされるが、どうやらそんなことはないらしい

パリとニューヨークにあるコンサートホールに音楽に詳しい人を集めて、ストラディバリウスと現代のバイオリンの聞き比べをしてもらった
音楽に詳しい人とは、バイオリンの制作者、バイオリン奏者、ミュージシャン、オーディオマニア、音楽評論家、作曲家、音響学者

聴衆には先入観を与えないため、衝立を立てて、どのバイオリンが弾いているのか分からないようにした
また、奏者にも目隠しをしてもらって、自分が弾いているバイオリンがどちらか分からないようにした

聞き終わった後に、聴衆にどちらのバイオリンがよかったか好みを聞いた所、圧倒的に現代のバイオリンが好まれていた
何も先入観を与えずに、二つのバイオリンを聞き比べると、現代のバイオリンに軍配が上がることが判明した

また、どちらがストラディバリウスの音色か当てる実験も行った(格付けチェック的なやつ)
その結果は散々だった
多くの聴衆がストラディバリウスを当てることができなかった

それに、実際に弾いている奏者の正解率も7割だった
一番近くで音色を聞いて、自分の手で触れているにも関わらず3割の奏者が間違えていた
日頃から聞き分ける訓練でもしてなければ、当てられないだろう

プロを含む音楽に詳しい人が聞き分けることができないのなら、一般人に聞き分けることなど到底不可能である
私たち一般人は、わざわざストラディバリウスの高級な音色を聴かなくてもいいのだろう

ストラディバリウスの音色が素晴らしいのは、おそらく歴史だろう
今まで積み重ねた歴史が、思いとなっている
人はよくも悪くも、思いに左右される
強い重みによって、ストラディバリウスの音色は極上のものに昇華されているのだろう

同じ料理でも彼氏・彼女が作ったものなら、美味しく感じるのと同じだ
思い入れが評価を左右する

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参考文献
Listener evaluations of new and Old Italian violins
http://www.pnas.org/content/early/2017/05/02/1619443114

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