ALPS処理水はやはり流さない方が良かったのではないか
①当初のコスト試算では海洋放出を含め3つほど処理方法の候補があったと聞いている。海洋放出は安かった。だがその後風評被害対策で沖までパイプを伸ばして放出することになりコストが増え、更に予想できたはずだが放出開始後に更なる風評被害対策として予算約千億円を計上した。コスト面でのメリットはほぼ無くなったというかむしろマイナスになったのではないか。
②加えて現地の漁業関係者をはじめ国内や隣国からの迷惑電話等の被害に加え、韓国(おそらくは中国や東南アジアも巻き込んでいるだろう)を含めた海産物の売り上げ低下が起こったのは明らかである。一部にはこれによる経済損失を試算した研究なども存在する。汚染による健康被害は今のところ発表がないし少なくとも有意な差が出るとは思わない(何より地下水を固める実験に失敗している。地下水は当然未処理なので処理水の方が影響は小さいと考えうる)が、上記のように現地民に対し実害をもたらしている。
③風評被害をなくすのは不可能である。アメリカ人の陰謀論者の人口比率を見てもわかるが科学はそこまでの地位を築いていないし、事故当初の対応から事故現場で作業員が被ばくした際の隠ぺい体質に至るまでことに当たっている東電の信用が地に落ちている。国際的に見ればこれは日本に対する信用が落ちているに等しい。
海洋放出が国際問題に発展することは容易に想像がつくが国内の海洋放出推進派は風評払拭を謳いながら日本国内の海洋放出反対派に噛みつき日本語で書かれた”デマ”を日本語で”訂正”するに終始した。
結果海洋放出を実行し②のような実害が起こり①にあるようにコストが増大した。彼らは現地の味方を名乗りながら現地に不要な実害をもたらすものに迎合している。
④風評被害の責任者は消費者ではない。
大変な労力と時間的金銭的コストをかけて除染を行ったのだろうが一度汚染された以上ブランドの市場価値が猛烈に失われるのは避けられない。
科学的事実と市場価値は必ずしも連動しない。シリカ水や水素水がミネラルウォーターより高額で売られ利益を出すように。
一度汚染された土地の産物を摂取して将来自分ならばまだしも配偶者や子や孫に影響が出たらどうするのか。統計的に優位な差が出なくても個別具体例を見ればはずれ値は存在しうる。そして統計的に有意な差が出なければこそ、今”デマと闘っている”人々も生産者も企業も県も国も責任を取らない。何より避けるのが容易なものを避けなかった事実がそこにあるなら自分の責任が含まれると感じるのが一般的であるからして、避ける人は一定数生じ、売れ行きは滞る。自由市場において消費者が何を買い何を買わないかは消費者の選択に少なくとも表面上はゆだねられる。
ブランドを棄損したのはそこに原発を設置し杜撰な管理と対応により結果としてあのような事故を起こした人員及び組織である。ならばその補償の責任は彼らにある。商品を買わない消費者に怒るよりも責任者に補償を求めねばならぬはず。
そして海洋放出によりブランドは更にそしてもう一度棄損された。
⑤海洋放出のデメリットを上回るメリットがそこにあっただろうか?
おれは無いと思うよ。おわり。
サムネはねこをお借りしました。ねこは美しいので。
ありがとうございます。