投資メモ_ミスミグループ本社_241022
ミスミグループ本社とパンチ工業の資本業務提携
パラパラと値下がりをしている会社を調べていると面白い適時開示を見つけた。発表自体は10月7日に既にされているものだが、9962ミスミグループ本社と6165パンチ工業の資本業務提携に伴い、2024年10 月24日から 2024年12 月27 日までの間にパンチ工業がミスミグループ本社の株式を12.7億円を市場にて買い付け予定。
ミスミグループ本社の時価総額は大体7,000億円程度なので、そもそもの株価水準が変わるような金額ではないと思うが、さすがに24日には上がるんだろうか?別に24日に買い付けをする必要もないし、そんな簡単なことか?という突っ込みどころはあるのだが、成り行きを見ておきたい。
さて、個人的な関心事としては上記の通りで、パンチ工業の買い付けでミスミグループ本社の株価がポコッ上がるかどうかぐらいなのだが、ついでに今回の資本業務提携の内容についても検討しておく。
資本業務提携の考察
資本提携
パンチ工業の株式取得に対応する形でミスミ側は第三者割当増資により1株423円で300万株を取得予定だ。(ミスミグループ本社の議決権比率10.93%)
反対にパンチ工業側が取得する議決権はざっと0.2%ぐらい。
結局、金銭的には行ってこいなので、金銭伴わず業務提携で良くないか?と思う。売れもしない株式10億円は使い道としてどうなんだろうか?
パンチ工業側のメリット
パンチ工業側から見て可能性のあるシナジー効果は次のようなもを想定。
汎用品の生産統合
販売サイトの統合
物流の統合
競合関係の緩和
しかし、競合関係の緩和以外は、現実的にはシステム上の対応、情報管理等実利を得られるところまでのハードルが高いものが多い。
うまく行けば、コスト削減の効果は大きそうだが、運用に落とし込むまでに時間も追加投資も必要だと思う。
およそ1年分のフリーキャッシュフロー、手持現金の20%を1点勝負でかける打ち手としてはリスク・リターンのバランスが悪いように思う。
ミスミグループ本社側のメリット
ミスミグループ本社側から見て可能性のあるシナジー効果は次のようなものを想定。
パンチ工業の中国市場での営業力の活用
特注品ラインナップの強化
汎用品の生産統合
競合関係の緩和
こちらについては、比較的実現の期待値が高そうに思える。
取扱商品が幅広いため、1件の新規取引先の獲得から得られる売り上げはパンチ工業よりも大きいことが期待できるし、システム上で仕入れ先として扱えば特注品・汎用品の取り扱いについても既存のシステムの範囲内でできそうに思える。
また、現時点で10%強の議決権を握ることになるので、場合によってはより多くの株式を取得するということもあるだろうし、競争環境を有利に変容することを目的としたものと考えれば、大きな効果につながるかもしれない。
まとめ
この資本業務提携はミスミグループ本社側にかなり有利に見える。
パンチ工業については希薄化の影響を除いてもこの情報を基に積極的に買いたいとは思わない。
むしろ、手持現金の減少分ネガティブに感じる。
また、ミスミグループ本社側に関してもまだ皮算用の段階。
うまく行けば大化けするかもしれないが、過度な期待をできるようなものでもないだろう。