NISAはなぜeMAXIS Slim全世界株(グロカン)への長期積立投資なのか?

2024年1月の新NISA制度の開始に伴いeMAXIS Slim全世界株(以下グロカンと表記)が人気になっているという。

経済学の教科書が教える標準的な投資戦略は
「インデックスにコツコツ長期積立投資を続けなさい」
と言うもので、グロカンはその対象となるイデックスファンドの1つである。

新NISAの利用者が教科書に則った投資を継続するかは分からないが、インデックスファンドへの積立投資を継続すれば、難しいことをしなくても合理的な投資となる。

以下にインデックスファンドに長期積立投資をすべき理由を列挙する。
すべて根拠を示すことができる理由である。

インデックスファンドに長期積立投資をすべき理由

株式を投資対象とする理由
1.       長期的には株価指標は上昇してきた
2.       歴史的に株式が最も高い利回りを生む投資対象だった
3.       インフレ率への追随が期待できる

制度・税制上の理由
4.       利益確定時にNISA/iDeCoによる非課税のメリットを享受することができる
5.       投資信託への投資は少額から始めることができる
6.       売買回数が少なければ手数料を少なくすることができる

数学的性質
7.       インデックスへの投資は利回りに対して価格変動を小さくすることができる
8.       長期保有によって利回りの変動幅を抑制し、平均値を上げることができる
9.       積立投資により株価が最高値から下がった場合でもある程度株価が回復すれば利益を出すことができる
10.    複利効果を享受することができる

個別銘柄やS&P500などの特定の国を選ばない理由
11.    プロですらインデックスより高いパフォーマンスを出し続けることは困難である
12.    日本だけでなく米国にも長い低迷期があった

なぜ長期積立投資は難しいのか?
以上で述べた通り、理屈の上では、ほぼ文句のない投資法だと思う。
結局のところどうすれば良いのか?に対する回答は最初に述べた通り、「インデックスにコツコツ長期積立投資を続けなさい」以上の物はない。

半面で、心理的にはとても難易度の高い方法である。
例えば
1.       下落相場では今後株価が回復するという根拠は歴史的な証拠だけで、今回も回復すると言える証拠はないにもかかわらず買い続けなければならない。
2.       特定の分野や個別銘柄が短期間で2倍3倍と上昇していたとしても、自分の資産は年5%しか増えないかもしれない。それでも投資先をかえてはならない。
3.       インデックスが短期間で上昇したとしても、利確を行ってはならないし追加投資をしてもいけない。
など、売りたいと思うときに買い、買いたいときも余計に買ってはならないという投資法である。この心理的な売買したいという欲求を抑え込むのは先に述べた根拠に基づいた合理的な思考だ。
しかし、合理的に考えるだけの能力があると自認している自分自身の判断で買い時・売り時と考えているのに先に示した理由で踏みとどまれるだろうか?この状況は典型的な認知的不協和である。

長期積立投資では、相矛盾する2つの思考、「積立投資は合理的」と「私の判断は合理的」の2つの施行は頻繁に衝突する。そのような中20年以上、積立投資を続けることはとても難しい。先にの得たような理屈を自分で調べ・理解し・実践に移せるほどの人でれば余計に自分の判断に惑わされるのではないだろうか。

“どんな事態に直面しても「それにもかかわらず (デンノッホ)!」と言い切る自信のある人間。 そういう人間だけがグロカンへの「天職(ベルーフ)」を持つ。”
のかもしれない。(唐突なマックス・ヴェーバーエンド)

参考資料





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