これって子どものためになってる? その2 中体連編
PTAだけでなく中体連も大きくなりすぎて本当に子どものためになっているのかどうか疑問に思う。組織というものは、大きくなればなるほど前例踏襲に陥りがちで、それが当たり前となり改革が進まない。本来の中体連の設立目的に立ち返り、中体連の存在そのものから見直さなければならないのではないか。部活動を地域へ移行するとは、中体連の組織も学校教育から切り離していくということなのではないだろうか?
なぜそう考えたかというと、中学校体育連盟(中体連)の成り立ちを調べたことと自らの経験からである。もともと各競技団体が行っていた全国大会などで勝利至上主義が過熱し、子どもの教育のため全国大会を規制する立場として中体連が設立されたという。それが1955年のことである。
では、現在の中体連の大会はどうなっているだろうか?正式な大会として、春と秋の2つの大会があるが、春の大会は地区大会、県大会、ブロック大会、全国大会へと勝ち進むしくみになっている。そして全国大会は、いつも暑い真夏に開催される。
ここで3つ、指摘しておきたい。
1つ目は、中学生に宿泊を伴う大きな大会は必要ないということ
2つ目は、真夏に大会を行うのは命を守るためにやめるべきだということ。
3つ目は、勝利至上主義に陥りがちな部活動から、生涯スポーツの基礎となるような活動に地域で取り組むように変えていくこと。
1つ目については、過去の関東大会引率経験から、規模の大きい大会(全国大会、ブロック大会等)は必要ないと思ったのである。慣れない環境のもとでの大会では実力が発揮できないと思う。また、宿泊に慣れるためか遠くまで遠征をする部活動もあるが、中学生には必要とは思わない。
大学を出てすぐ赴任した中学校では、クラブ活動(週1時間の授業)との兼ね合いもあって全員が部活動加入となっていた。当時は土曜日も学校があり、また唯一の休日の日曜日も部活動があった。部活動がない日は、テスト前の数日とお盆とお正月の2、3日ずつだけだった。
その年、元警察官の方の熱心な指導もあり、なんと女子チームが関東大会出場を決めた!しかし、宿泊を伴う遠征は初めてのこと。関東大会へは、顧問2人で子どもたちを引率した。前日に電車で大会開催地へ行き、一晩泊まって大会当日を迎えた。残念ながら初戦で敗退してしまったが、親元を離れ慣れない土地での大会は緊張感が半端なく、いつも通りの実力が出せなかったのではないかと思ったものだ。
また教員の立場からは、顧問の負担が大きすぎることがあげられる。生徒は卒業すれば部活動は引退するが、教員はほぼ退職までこの状態が続くのだから。下手をしたら自身の家庭崩壊となる危険性もはらんでいる。
もとより、中体連は各競技団体の行っていた全国大会の開催を規制するために設立された組織である。それがオリンピックを機に、競技団体などの要請に抗しきれず、中体連が全国大会を主催するようになってしまったというのだから、本来の姿に戻すべきなのである。
2つ目について、これだけ地球温暖化が進み、これまで経験したことのない猛暑が続くことから、真夏に大会等を行ってはいけないと思う。スポーツは本来楽しむものであり、命がけでするものではない。
例えば、高校野球の真夏の開催も大人の事情で子どもたちに過酷な試合を強制しているとしか思えない。どうしても猛暑の中でやるというなら、冷房のあるドーム球場を使うなど選手ファーストでなければならない。これは、本気で考え直さなくてはいけないことである。命の危険があるのだから。もちろん、中学生の全国大会も同様である。
3つ目については、日本の中学生にスポーツ活動を通して何を身につけ、どのように成長することを目指すのか議論が必要だと思っている。実際に、子どもの意識の差もあり、部活動の目標をどうするかを何度もミーティングで話し合って決めたものだ。部員間の目標が違いすぎると部活動運営はとても難しい。これだけ価値観の多様化が進んだ現在においてはなおさらである。
みんながアスリートになるわけではないので、競技スポーツだけでなく、健康のためとかスポーツをする楽しさを知り生涯を通してやり続けるきっかけとしての活動を、部活動の地域移行を機に行っていけばよいのではないだろうか。
その際、中学生の参加する大会は宿泊を伴わないレベルに規制し、それと同時に中体連を学校から切り離していくことが必要だろう。
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