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難民とインバウンド、意外と明るい日本の未来

今日は何かと悲観論の多い日本経済について、視点を変えて明るい見通しを記してみたい。

ヨーロッパでは相次いで政権交代

欧州諸国では、今年になり難民問題を主な争点に既存政党が選挙で敗れる事態が続いている。
また各国共通の事象として、フランスの国民連合(RN)やドイツのAfD(ドイツのための選択)などの極右やスペインのポデモスなどの極左のポピュリズム政党が大きく勢力を伸ばしている。
イギリスでは、保守党か総選挙で敗北し労働党が政権に復帰した。
フランスでは、大統領選挙は中道のマクロンが勝利したものの、総選挙では極右(保守)が台頭し過半数を失っている。そして今月に入り内閣不信任案が62年ぶりに可決された。
ドイツでもショルツ連立内閣が崩壊し、来年2025年早々にも総選挙が予定されている。

アメリカではトランプ復活

そして11月に行われたアメリカ大統領選挙では、ご存じの通りトランプ大統領が復活を決めた。

不法移民が押し寄せる

ヨーロッパ、アメリカ共に政権交代の大きな要因となったのが、不法移民の急増だ。
ヨーロッパでは2011年に発生したアラブの春の影響で、地中海を挟んでイタリアの南にあるリビア政府が崩壊し無政府状態が発生した。
またシリアでは10年以上続く内戦の火ぶたが切られた。(※シリア内戦では12月8日にアサド政権が崩壊)
当初ドイツなどは、難民の受け入れを渋っていたが、途中からメルケル政権が方針転換し難民の大量受け入れに舵を切った。
EU諸国にはシリアからの難民が急増した2014年以降、ウクライナ難民を除いても毎年300万人から400万人の移民が流入している。またウクライナ戦争が始まった2022年には700万人(!)の難民が流入している。

アメリカに関しても、コロナ明け後に中南米からの不法移民が急増し、足元では毎年200万人以上、バイデン政権が発足して以降では、累計で700万人以上の不法移民が流入している。
更に最近では、中南米以外にも中国からの不法移民が急増している。

日本における外国人の数が、日本生まれの在日韓国朝鮮人の人たちを除いて320万人程度なので、日本全体の外国人に匹敵する不法移民が毎年流入している計算になる。
正直、物凄い数だ。

国土が広大で移民の国である米国はさておき、欧州には、同じヨーロッパのウクライナからの難民を除いても、既に過去10年ほどで4000万人近い移民、難民が流入したことになる。これはEU諸国の総人口の10%近い。
日本に当てはめると人口の三分の一に迫る数だ。
これだけの人数の移民、難民が押し寄せれば、それは問題が起きるだろう。

インバウンドが押し寄せる日本

一方で、同じG7のメンバー国である日本では、全く逆の現象が起きている。
外国人が押し寄せているのは同じなのだが、押し寄せているのはインバウンドの観光客だ。

中国人富裕層の移住ラッシュ

コロナ後に目立っているのが、中国人富裕層の日本移住ラッシュともいえる現象だ。
2023年には、日本滞在ビザのある中国人が6万人増加して82万人程度になているそうだ。
その中国人の日本滞在者で最近増加が目立つのが、経営管理ビザを取得している富裕層の増加だ。
彼らは、ビザのために数百万を支払って日本国内に会社を設立するだけでなく、日本で人を雇用し、税金や社会保障費を払っている。
また多くが日本で高額な不動産を購入している。
正にEUやアメリカの不法移民とは正反対に、大金を持って日本に来ている
それでも総数は100万人にも満たない。

タイから観光客が来る時代

中国人以外でも、東南アジアからの観光客も増加している。
特にタイからの増加が多く、年間で61万人以上のタイ人が日本を観光などで訪れている。
タイには1970年代から日本企業の進出が始まり、今では数千社の日本企業が進出している。
特に自動車産業は、アジアのデトロイトと呼ばれるほどで、日本メーカーだけで年間に300万台も生産している。これは、軽自動車を除く日本での自動車生産の半分近い。
日本人でどれだけの人が、タイの自動車生産が日本の半分もあることを知っているだろうか。これは韓国に迫る数字だ。
この自動車産業が、タイに中産階級を生み出す大きな原動力となっている。そして彼らが今、日本に観光に来ているのだ。
日本に来ているタイ人は富裕層もいるが、大半がLCCのエアーアジアに乗って来る普通のタイ人だ。

日本の直接投資が実る

アメリカや欧州に旧植民地などから不法移民や難民が押し寄せている一方で、日本には、アジア諸国から金を持った観光客が大量に押し寄せている。
この対照的な現象の原因は何だろうか。

それは欧米と日本の過去の経済政策の違いにあると思われる。
日本企業は、特にバブル崩壊以降、主に円高対策で中国やタイなどの東南アジア諸国に膨大な直接投資を行ってきた
中国だけでなくタイなどでも五千社以上の大企業から中小企業まで、多くの日本企業が工場を作り、現地の雇用を生み出してきた。合弁会社などを加えると更に数は多い。
その数十年に及ぶ努力の結果、多くのアジア諸国が急速な経済発展を遂げた。
今では日本を凌ぐほどの生産力や技術力を身に着けてきている。

もちろん日本企業の海外投資の影響で、日本の国内、特に地方は空洞化してしまった。
しかし、この日本企業や日本の投資で建設された工場で働いた人たちが中産階級となり、いよいよ日本に観光旅行に来るようになっているのだ。
日本の地方は、過去20年の衰退から復活するチャンスが到来しているのだ。

搾取しかしないヨーロッパ

対照的なのがヨーロッパ諸国だろう。1989年の冷戦崩壊後にヨーロッパ諸国も海外直接投資を行ったが、投資先は主に同じ欧州の東欧諸国が中心だった。
アフリカや中東の旧植民地諸国に対しては、相変わらず天然資源の搾取を続けてきた
特に酷いのがフランスで、多くのアフリカ諸国をセーファーフランと呼ばれるフランスが発行する通貨を強制的に採用させることで経済支配してきた。
実は煌びやかなパリの繁栄を支えているのは、この旧植民地からの搾取だということは、知る人ぞ知るフランスンの暗部だ。
そして今、その反動が膨大な不法移民と難民となって噴出している。
既にフランスでは、人口の30%以上が、北アフリカや中東など、旧植民地からの移民またはその血を引く国民で占められているそうだ。
イスラムの出自をもつフランス人が急増しており、将来的にはイスラム教がマジョリティーになるとの説もあるくらいだ。
正直、極右が台頭するのも分からないではない。

アメリカも同じだ。19世紀のモンロー主義の時代から中南米諸国を実質的に植民地支配してきた。
そしてアメリカによる植民地支配の結果、経済発展が遅れた国ではギャングや麻薬が横行し、膨大な不法移民を生み出している。

没落する欧州と発展するアジア

以上の構図を理解すれば、日本の未来も決して暗くないことが理解できるだろう。

現状を客観的に見れば、21世紀はアジアの時代になることは、ほぼ確実だ。
そもそも人類の歴史においては、常にアジアが世界経済と文明の中心だった。
ヨーロッパ人が手掴みで食事をしていた時に、中国では、庶民でも陶磁器と箸を使って食事をしていた。
ヨーロッパが世界を支配したのは、この200年ほどの話だ。
今それが元に戻りつつあるのだ。

一方で、欧州はこれから過去200年の帝国主義の報いを受けるのかもしれない。

既にイギリスでは、”ムハンマド”が新生児の男の子の名前で一番人数が多くなっているそうだ。
もしかしたら100年後と言わず30年後ぐらいには、フランスで女性の多くが「ヒジャブ」を被るようになっているかもしれない。

アメリカは孤立主義?

トランプ大統領が再選されたアメリカはどうなるだろう。国内の政治的分断は、抜き差しならない状況になっており、「内戦」が勃発するという物騒な映画も公開されたばかりだ。

また専門家の中には、最終的に「白人労働者階級」と「アフリカ系アメリカ人」の政治的連合が誕生するという意外な未来を予想している人もいるようだ。

どちらにしても、ある種の「孤立主義」に向かうことは避けられそうにない。

問題は日本人のアジア蔑視

アジアの成長に従って、日本の国際的地位は、相対的には低下するだろう。
しかしアジアで最初の近代国家としてアジア全体の発展のご相伴にあずかることで、今後も繁栄を維持することが可能だろう。

むしろ問題は、日本人の中に依然としてある「アジア蔑視」の思想だろう。
しかしそれも、それ程心配ないかもしれない。既に日本のJKやJDの間では、韓国が大人気だ。
また若者の間では、DJIのドローンやAnkerのバッテリーなどの中華ブランドが人気だ。安かろう悪かろうの中国製品のイメージは払拭されつつある。BYDの車が日本で売れ始めたら本物だろう。
いずれ東南アジアと日本を対等に考える世代が日本でも主流になるだろう。

その時には、アジアを蔑視するアジア差別主義者の老害は、繫栄する未来のアジアと日本では出番がないだろう。

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