私は丙午の年に生まれた。

 私は丙午の年に生まれた。仕事柄、日本の人口ピラミッドの表を見る機会が多くある。その時極端に人口が減っているのが私の生まれた丙午の年である。
 外国の人にこの表を見せるとこの年日本で何が起こったのかと聞かれる。地震、戦争があったのね、とも。
そのぐらい出生人口が前後の年とくらべて急激に減っている。その原因は日本にある「丙午」という年にある迷信によるものである。

元々は舞台の中で、好きな男性に再会するために当時死罪であった放火、つまり火事を起こした情熱的な主人公の八百屋お七の設定で彼女の生まれた年を丙午としていたからと言われている。1964年オリンピック開催に向け各家庭にカラーテレビが普及し、女性週刊誌など多くのメディア媒体が発達し1965年の売りあげ、視聴率アップのテーマに丙午に生まれた女性は不幸になると特集が行われて大騒ぎ。それぞれの立場で煽り立てていたそうだ。私の母祖母も妊娠したときにこの年に子を産むのはどうしようと悩んだそうだ。たまたまそういう噂を気にしない父が、はじめての授かった子供である。そんな根拠のない報道や迷信は気にしないと言って、無事、私はこの世に生まれてきましたが、世間一般の噂を気にする親であれば、私はこの世に存在しておりません。人の噂親戚の思い、多くの人々の支えによって人1人が生まれる生まれない。そんな悩みを持った人が何万人もいて、結果世界的に見て不思議な人口減少の結果が現れたのだと思います。その日野馬と言う特別な事情のおかげか、たまたま私の母の実家の隣が産婦人科でした。本来なら私は実家で生まれる予定でしたが、産婦人科がベビーブームを見込んで木造から鉄筋に建築を始めたのです。あまりにもその工事の音がうるさくて、とても実家で出産することはできないと言うことになり、私は三重県四日市の市立病院塩浜病院と言うところで生まれることになります。四日市と聞くと四日市喘息と必ず教科書で習う歴史的事実を皆さん知っていると思います。資源のない日本は外国から石油を輸入し、そのタンカーが海岸につき石油を下ろしコンビナートと言われる科学工場に運ばれ、そこで生成し、新しい商品を作りそこから世界に輸出をする。その四日市のコンビナートから出された煙、そして廃棄物によって空気空と海伊勢湾の海産物豊かな海産物が汚染され多くの死者を出しました。塩浜地区は最も被害が多く、私が生まれた塩浜病院に当時入院していた喘息患者たちが初めて訴訟を起こし、相手に裁判を行ったのです。その病院で私は初生声を上げ初めての空気を吸い込みました。本来は9月18日出産予定でした。出産日に合わせて祖母は浴衣をオムツに縫い直し、私の出産の準備をするために別府から四日市に上京してくる予定でした。しかしたまたま自宅にあった持ち運びの黒い白黒テレビを持ち上げた途端急に3気づき、急遽病院に行くことになってしまいました。私が生まれてからもそのポータブルの大きな持ち運びができる白黒テレビが自宅にありました。父は慌てて母を病院に連れて行き、全く準備をしていなかったため、夜中にさらしなど買いに大騒ぎをしていたと聞きました。13日の夜中11時45分ほどに私はこの世に生まれてきました。5日も早い。出産になったのは、母がテレビを持ち上げたせいだと言うことです。世間の噂を気にしないと言う父親でしたが、母祖母は噂では無いですが、占いと言うものに頼り、私が釘島でも塚本でもいいようにと言う気持ちで、占い師さんにhirokoという名前をつけていただいたそうです。塚本裕子釘島浩子私は5歳まで塚本裕子として育ちます。その後祖母両親の手続きにより母の実家の名前苗字である。釘島家に幼女として登録され、小学校からは釘島浩子として生活をします。釘島浩子この名前を書いた名刺を出すたびに初めて聞きました。どちらのご出身ですかなどいろいろ聞かれます。私はこの釘島浩子という名前で過ごすことが嫌いでした。当時家に1台しかない電話を出たとしても、塚本さんのお宅ですかと聞かれます。私は釘島なのになぁと思いながらはいそうですと両親に来た電話だとつなぎます。この時に日本の家制度というのを改めて感じました。私のいとこが塚本のおばあちゃんがあんなに怒っているのを初めて見たよと言われる位。内孫と外孫との違いを父方の祖母はとても気にしていたようです。
釘島は佐賀の種族だったそうです。佐賀には1度も住んだことがないのですが、検索をしてみるともともと島であって釘島と言う地名が残っています。現在は道路でつながっており、既に島ではなくなっております。もともと過労だったけれども、お家騒動で責任を感じてその島に身を引いて住んでいたと言う話を聞いたことがあります。本当かどうなのか調べた事はありませんが、佐賀でお家想像と聞くと化け猫騒動を思い出してしまうのですが、それとこれとどう関係があるのかご存知の方がいらっしゃればぜひ教えて欲しいものです。さてそんなわけで釘島と言う名前を名乗り多くの人たちからいろいろ珍しい怒られ、そのことについて父親に不満を申し上げると、女はどうせ結婚したら苗字なんて変わるから、何でもいいじゃないかと言う返事が来ました。最も丙の馬でも私をこの世に生み出してくれた父ですから、苗字なんてどうでもいいということですね。

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