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ふたりのゆくえ
昔の月桂冠のCMで
「わたしの趣味は、あなたです」
というキャッチコピーがあった。
他にも同シリーズで
「夫婦のつぎは、何になろう」
「夫婦は ずれてていいんじゃない」
のコピーのバージョンもあり、
いずれも何気ない日常を切り取るような、それでいて美しく暖かいCMだった。
当時から好きだった安藤裕子さんの「のうぜんかつら」の楽曲と、永作博美さんの肩の力の抜けた屈託のない大人の姿。
いつか、こんな風に思い合える人と出会えたら素敵だろうな、と子ども心に憧れを抱いたものだ。
https://youtu.be/i1Qn5nNBcsA?si=2Kqsj50GB5rZT_7y
出会った人と恋愛やお付き合いをしていく中で、次第に「あぁあれは容易に手に入るものではないんだな」「重ねていく時間の中で築いてきた関係なのか」と気づきはじめた。
大人になったら少しは近づけるだろうか?
落ち着いた関係になれば…
余裕ができれば…
一向に手繰り寄せられないまま、あの頃の倍くらい歳だけ重ねてしまった。
生まれ育った家庭の家族より、自分が母の位置にいる家族より、夫婦がいちばん難しい。
唯一、お互いに選べる相手だというのに。
子どもに関しては、すべてしっくりくるのだ。
彼女たちの感性や考え方に触れて、成長を見守ることは、私の趣味のひとつになっている。
母だから子だからどうこうではなく、一個人として彼女たちに教えられることが多く、友だちのようでもあり、難しい時期も含めて今後の関係性の発展が楽しみでしかない。
親子であろうと全く違う人間だから、その化学反応がおもしろい。ずれればずれるほど、それすら楽しめる。
どうして夫婦だけ、こうなったのか。
人は鏡。
一方だけがどうこう、というのはまずない。
もしかしたら、パラレルワールドの世界では、
かのCM夫妻も見せられないぶつかり方をしたり、
悟りに至るまでの紆余曲折があったりしたのかもしれないな、と想像してみる。
「夫婦」なんて枠組みにとらわれて考えず、至らぬふたりのそれぞれの人生修行くらいに思っていたほうがいいのかもしれない。