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この気持ちはなんだろう

この気持ちは何だろう
ぼくの腹へ胸へ そしてのどへ
声にならない叫びとなってこみ上げる
この気持ちは何だろう

谷川俊太郎/春に

合唱曲として耳にしたことがある人も多いのではないだろうか。
私は中学の合唱コンクールで他のクラスの選択曲として聴いて、また、国語の授業でこの詩を目にした。
当時は「これってどんな感情なんやろ。でも曲自体はすごく綺麗で好きだな」くらいにしか思ってなかったけど、昨日唐突にこの歌詞を思い出した。

明日入院でもいいですよ

現在臨月でもういつ子がこの世界にリリースされてもおかしくない時期に来たが、妊娠後期でも胎動は変わらず元気で、「明日も変わらず穏やかにこの胎動を感じながら産後のイメージのために調べ物したりお部屋のお片付けかな」とのんびり構えていた。

ところがどっこい。

昨日、検診に行ったところ、経過も順調でお医者さんから一言。
「明日入院でも良いし、3日後でもいいですよ。出産日、いつにしますか?」。
急に迫ってきた現実。ほぼ予定日通りなのでそりゃそうなのだが。
むしろ、それに向けて今まで準備してきたのだから何を今更!という感じである。
しかしながら不思議なもので、第三者から改めて告げられるとより現実感を帯びてきた。わーーー!ついになんだ。早く会いたい。楽しみ楽しみ。

喜びだしかし悲しみでもある

自宅に帰ってから休日だった夫と部屋の片付けや家事をし、一息ついたところで「もういよいよだね〜」なんて会話をする。
夫自身も、自分はお腹に手を当てることでしか感じられなかった我が子の誕生を大変心待ちにしていて、楽しみの表情を滲ませている。

私ももちろんその1人である。
…が、急になぜかポロポロと泣けてきてしまった。自分でも驚きである。

10ヶ月の間、確かに、私は自分のお腹で育ってきた赤ちゃんと対面できる日を今か今かと待っていた。
一方で、胎動や赤ちゃんを育てるために膨らんだお腹、エコー越しでしか見えない相手を慈しむ気持ちがあと3日ほどで終わってしまうのかと思うと急激に寂しくなってしまった。

つわりもなく幸いにも今でと変わらない日常を過ごしてきた自分ながらも、少しずつ気持ちの面で母親になっていたんだなあと実感した。

いろんな感情が出てきてなぜか唐突に表題の「春に」を思い出したが、この歌詞にここまで共感できたのは今回が初めてだ。(いま秋やけど。)

妊娠・出産は大変な経験であることはイメージしていたが、ここまで感情面での経験をできると思っていなかった。これからも子育てを通して今まで感じたことのない感情を子どもと一緒に経験していくのかな、なんてことも思ったりした。

赤ちゃん、早く出ておいで

夫からは、「ここまでお腹の中で順調に育ててくれてありがとう。気持ちはすごくわかるけど、出てこようとしてる赤ちゃんも戸惑っちゃうよ」と言われ、我に帰る。

確かに、赤ちゃんとしては、「え?"出産予定日あたり"に"3000グラム前後"で、"健康"に出ておいでって毎日注文してたのに出んほうがいいんですか?」となってると思う。

たしかにそうやんな。出産予定日ほぼわかったのになんか母体泣いてるし。つわりも起こさず、産後の準備をちょっとサボってる時も夢に出てきてフォローしてくれて。(以下参考)

とても元気で順調に成長してくれた赤ちゃんに失礼だよな。

ということで、昨日今日とちょっとセンチメンタルな気持ちだけど、貴重な感情と向き合いながら前向きにあと少し準備できたらなと思います。
赤ちゃん、外の世界で待ってるよ。


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