
中之条ビエンナーレ2023鑑賞記【3日目】〜祝日に遊ぶということ〜
敬老の日にビエンナーレ!
私の定休日の変遷
今回は9月18日、敬老の日に観に行ったビエンナーレについて書きます。
過去4回中之条ビエンナーレ鑑賞しているが、土日祝いわゆる一般的な"休日"に行けるのは今回が初めてである。
なぜ過去には叶わなかったのか?
私が勤務している会社は所謂サービス業、土日は勤務で休日は平日である。ただ会社が動いている中で平日休も取りにくいという現状があり会社定休日が月曜日となった。
過去のビエンナーレ訪問歴をまとめて気がついたのだがほとんど月曜日に観に行っている。
ところがその程度の休みでは若い子がすぐ辞めちゃうということで第一月曜火曜が連休となった。これは休みの少なさに喘いでいた古い社員にとっては革命的なことで、大袈裟でなく夏休みが増えたくらいの感じがあった。
何よりミュージアム好きの自分にとって(ミュージアムは月曜定休が基本)毎月確実に心置きなく(会社から電話がかかって来ない)美術館等に行けるのは物凄い進歩だった。4回目の鑑賞となった前回一泊出来たのは以上の理由によるところが大きかった。
ところが月曜祝日だけは休みのスケジュールを変更して出勤となるケースが続いた。ここまで書くと何の商売だかバレそうだがそんな理由で土日祝に休みとなるケースはほとんどなかったのである(あっても冠婚葬祭や運動会等)。
休みとりゃいいじゃねえか、と思うかもしれないが諸々の事情で容易ではない。平日のビエンナーレは(及び様々な観光地、施設)すいていていいがイベントやパフォーマンスはほぼ無くて土日祝に見に行けることを羨ましく思っていた。
ところが月イチ連休作ったくらいじゃまだまだ若い子が辞めちゃう、ということで会社はついにほぼ毎週月火連休固定という英断に踏み切ったのである。これには古株の社員はむしろ畏怖した。こんなんで仕事回るの?(完全に仕事ジャンキー)。ただその恩恵で今回月曜祝日に鑑賞することが可能となった訳である。
初の土日祝ビエンナーレ
中之条ビエンナーレ2023鑑賞計画の中で9月18日、敬老の日に観にいくことは早々に決定していた。観にいくからにはパフォーマンスを観てフェス感満喫したい。また平日は出店の少ないマルシェで溢れた会場を見てみたい。
問題はどこにいくかで、散々考えた結果今回のビエンナーレは鑑賞3日目は一番賑やかそうなイサマムラ(旧伊参小学校)にすることとした。
どんな風景が待っているのだろうか。胸が高鳴る!
鑑賞開始‼︎
中之条に着くまで
朝早く出発。どうせならホリデーっぽくモーニング食べてから行きたいということで前橋のコメダ珈琲店に立ち寄った。そこで見たものは・・
うっ、混んでいる・・
店内満席。ファミリー多し。本とか読んでる人も。だって朝の7時だよ。
東京ですら朝飯食べにマックとか寄っても平日はほぼ空いている。休みの日ってこんな感じなのか。

暫く待って着席、モーニング注文。たくさんのファミリーを見ながらほっこりした気持ちでゆっくりコメダでのひと時を過ごした。
午前 イサマムラ


イサマムラ到着。開場時間ジャスト着だがすでに出店しているお店あり。やはり平日と比べ混んでいる。スタンプ押して鑑賞開始!

ビエンナーレ2023、メインピアニスト?野口さん作品。鍵盤に指を置きペダルを踏むと自分の心拍数に合わせ音楽が流れる。まるでピアニストの心境になった気分。

「さしがさばなとチェンバロの白い蛹(サナギ)」
まるで絵本から飛び出た様な美しい作品。チェンバロ羽化の様子は観れず。残念。


三輪途道さんの作品。よく美術館で作品をお見かけした三輪さん、失明されてたとは・・
失明後の作品で今回イサマムラ奥の公民館も合わせ視覚障害者アートの紹介があった。ボランティアの方に詳しく話を聞き、初めてそういう世界があるのだと知った。活動頑張ってください。
あっという間に11時、今日の目的の一つ、
ダニエル・ヘイズ東京のパフォーマンス「eggs」を見るために会場へ向かう。

白を基調とした美しい展示。演者が来るのを暫し待つ。

始まった。


舞う2人の天使。その瞬間からイサマムラの教室にあるこの展示空間は時の束縛から解放された天上界の河岸の様な風景に変わる。徐々に近くなっていく2人の距離。邂逅。
パフォーマンス終了を示す拍手の音で我に帰った。僅かながら投げ銭し足りない言葉でダニエル・ヘイズ東京のお二人にお礼を言った。心が洗われました。やっぱり今日来てよかった!

茫洋とした気持ちでさらに山形さんの美しい風景画を鑑賞。なんか午前だけで幸せいっぱいな気持ち。気がついたらお昼時なので昼食食べに一旦イサマムラを離れた。
お昼ご飯は・・
一瞬マルシェでそのまま食べようかと思ったがこの日の気温は30℃オーバー、流石に屋外で飲食はきついと思い食べにいくことにした。

ネットで前々から行きたいと思っていた中之条町折田の”らーめんダイニング 庵"へ。
さすが人気店、案の定混んでいて行列である。私はラーメンが好きでラーメン屋の行列は慣れているので何とかならぁと列に並ぶ。
ところが・・暑い。
太陽は店の反対側から容赦無く差し、店のひさしの様なものは全く日陰を作らす効果ゼロである。行列に並ぶという特性上ウロウロするわけにもいかない。
ひたすら並ぶ。気温は30℃。すでに背中は汗だくである。
ようやく次の順番になったが店内のラーメン供給の状況で案内する人数をコントロールしているらしくなかなか入れない(まあ当たり前ではあるが)。何とか案内され肉そばチャーシュー丼セットを注文。

汗びっしょりの状態で麺と肉とメシをかっこむ。今思い出しても涎が出るほどうまかった。暑さと満腹と満足感がこんがらがった状態で退店。大急ぎで展示会場へと戻った。
午後① 旧五反田学校・霊山たけやま
午後は旧五反田学校からスタート。ここでもパフォーマンスを見ることができるからだ。


旧五反田小学校は明治時代建築の小学校で展示会場屈指の古さ。室内の美しさも素晴らしい。大好きな会場である。

以前の作品もそうだけどこの建物に鳥越さんの作品って最高に合う。窓から差し込む柔らかな光も美しい。
この極上空間で"Tarinof dance company"のパフォーマンス「水の時間」が始まった。


素晴らしいパフォーマンス。全くダンスには疎いが会場の雰囲気とダンス、まるで80'sアメリカのダンスユニットのMTVのPVを見ている様な印象。これも観れてよかった!

古い教室で役割を終えた古着が昇華していく様な作品。

これも衝撃的作品。草子や商家の収支記載等紙を見るだけでも面白かった。
旧五反田小学校を後にして道の駅・霊山たけやま到着。

作者が"泣きながら作った"ビエンナーレ名物釣り物。ここに来ないと体感できない自分アート史上最大級の作品。天候や見る位置によってまた違う印象に。
午後② イサマムラ〜伊参スタジオ
午後3時、イサマムラに戻ってきた。校庭の駐車場が満車に近い。平日開催時裏の駐車場に数台しか止まってなかった過去のことを考えると今回の盛り上がりを実感。
会場入り口前もキッチンカーが一杯、あたかもフードコートの様だった。

喉カラカラだったので"KURASHINO CAFE"さんでアイスコーヒー注文。
マスターとコーヒー談義で花が咲き、アイスコーヒーの美味しい入れ方も教えていただいた。自分もコーヒー淹れるので大いに参考になった。好きなことだけ話すのって、楽しいなぁ。

唯一の?18禁作品。映像作品で裸体の集合体の山の様なものが不気味で目が離せなかった。



校庭にテント、入るとデコトラと古いテレビに意味不明映像という電波感強い作品。こういうの大好き!
イサマムラ楽しかったな〜
その後伊参スタジオ到着。ジェット金次郎が出迎えてくれた。校庭南はオートキャンプ場となっている。キャンプ場か・・。

「あの時、一緒にいられたら。2020-2023」

天井から吊り下げられた枡の底は写真で、下から覗くと光が光景をフォーカスする様に見えた。


色鮮やかな絵を追いながら進み振り返ると全く色彩を失っていて唖然とした。(この時はまだ教室に入れた)。
伊参スタジオ鑑賞し、本日はこれで終了。
ギャラリー newroll

帰り道、ビエンナーレ出品作家の西島雄志さん経営のギャラリー"newroll"に立ち寄った。自分の休みと開廊日が合わず行けなかったギャラリーだ。

ビエンナーレ出品作家の桑山彰彦さんと坂本太郎さんの個展が開催されていた。
中へと入る。そして出迎えてくれたのは何と!西島さん本人とビエンナーレ出品作家の山形敦子さんだった。そして会場2階には同じく桑山さんが在廊していた。
過去に何度も見て、このビエンナーレでも見て感嘆してきた作品の作家さん本人が3人も目の前にいる。私は緊張しながら作品のこと、アートのこと等聞いたりビエンナーレや中之条への思い入れなど話したりした。

ああ、なんて素晴らしい1日になったのだろう。
1日を通して過去最高のアート体験、さらに感動体験をこの中之条の地で受けた自分は満足感と興奮に包まれながら夕暮れ、まだ作りかけの上信自動車道を通り家へ向かったのだった。
明日もビエンナーレ!
