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蘇る若葉20(小説)(エッセイ・とんぼ)

コラム
   今朝、神社を散歩してきました。
   かじかむ手を擦り合わせていると
   朝稽古を終えたばかりのお相撲さんが
   まわし姿で歩いてありました。
   ありがたい気持ちになり
  「おはようございます」と挨拶させていただくと
   冷たかった手先が、不思議と温まりました。
   
   写真は境内のイチョウの木です。
  「生きている化石」と言われるイチョウの木。
   およそ2億9900万年前から2億5100万年前の間
   全世界に繁茂し、新世代(約6500万年前)にはいると
   世界的に姿を消し、日本でも100万年前に絶滅したのであります。
   山口県や北海道からイチョウの化石が発見されています。
   現在よく見かけるイチョウが、唯一現存する種。
   「生きている化石」として国際自然保護連合のレッドリストの
   絶滅危惧種に指定されています。
  (参照Wikipedia)
   文字がまだ存在しない時代、人はどうやって意思疎通をして 
   いたのか。音すなわち声や身振りで伝える事しかできなかったは  
   ずですよね。
   時には、葉をつかって相手に何か伝達していたかもしれません。
   そう思うと、イチョウの葉一枚一枚が、私たち人間に、大切な事を  
   語りかけてくれているような気持ちになりませんか。

蘇る若葉20
 ⚪︎詔(みことのり)とは。
  意味を調べてみるだけで、ぐっと話が読みやすくなります。

🌿秋津先生の著書で、難しい漢字や言葉、興味を持った事などは
 辞書やネットなどで調べながらゆっくり読んでみて下さい。
 きっと新しい気づきがあり、より面白く読み進められると思います。

蘇る若葉 20
原作  秋津 廣行
   「 倭人王 」より

阿津耳之命(あつみみのみこと)には、そのふわふわとした蒸気がまるで
若木神の御姿のように見えた。

 「潮(うしお)よ、かしこね姫神に若木神(わかきかみ)の
詔(みことのり)を伝えよ。」 と、阿津耳(あつみみ)が促すと、
潮(うしお)は、まるで若木神(わかきかみ)が磐座(いわくら)に座っているかの如くに畏まって応えた。

 「潮(うしお)がかしこね姫神に申し上げます。
ただ今、磐座(いわくら)に捧げましたる若葉なるは
高天原(たかまがはら)は、若木神(わかきかみ)の詔(みことのり)にて御座います。
高天原(たかまがはら)の新たな神は、未だ、言霊(ことだま)現れなき
若神なれば、天星山(あまぼしやま)の山風に誘われて御印(みしるし)を頂きました。金拆神(かなさくのかみ)は、この若葉は
『高天原(たかまがはら)の新しき命であり、若木神(わかきかみ)の
詔(みことのり)である。
かしこね姫神ならば、お分かりのはずである。』と申されました。」

 潮(うしお)は、金拆神かねさくかみに言われたまま、見たままを伝えた。

 「これこそが、若木神(わかきかみ)の詔(みことのり)にて御座います。」

 すると、斎(いつき)の庭に集まった皆々の視線は、潮(うしお)が捧げた若葉に視線が集中した。

 「われが、天星宮(あまぼしみや)にお伺い致しましたところ
若木神(わかきかみ)の前に枯れ葉が舞い上がり、その御身体にまとわりつきました。すると、干からびた枯れ葉は、たちどころに緑の若葉となり、瑞々みずみずしく命を取戻しました。しかも、その葉からは新たな芽めと根ねが出て、さらに勢いを増して伸びたのでございます。」

阿津耳之命(あつみみのみこと)は、満足気に、その若芽が伸びた一枚の若葉を、かしこねの姫神に差しあげた。

                             つづく 21


   
   
   

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