あなたのためのあいさつ
何故か私の枕に身体を沈めたがる。山から拾ってきたので、山で暮らした分、思う存分甘やかす。
いつも柔らかい物に囲まれて、私の帰りを待っている。硝子のような瞳と砂糖菓子みたいな鳴声。
あなたのような生き物に出逢えた幸せをどう表していいか分からない。あなたは死の概念を持たない、永遠の端っこで柔らかな肉を私に擦り寄せる。
この小さな獣と遊んでいると、私は私に戻れるし、獣は私を凡ゆる循環へと連れ回す。
そこではありとあらゆる欲が沢山重なり合って、誰が誰とか時間の隙間隙間に詰め込まれているので、私は安心してあなたのそばで眠る。
目覚めればいつものように1人と1匹が違う形を持っておはようと挨拶をする。それはそれは世界中のどこでも永遠と繰り返される儀式。