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ベーグルについて(Action Reaction)

 metaverseはベーグルに全てを乗せる。成績表、全ての犬種、この世界を構成するマテリアル。
 
 ベーグルは焼かれる事はない。
 ベーグルは熱湯で茹でられる。蚕と同様に。
 
 鍋の中で起こるのは破壊と再生。

 そして、metaverseのでは善悪の基準など存在し得る訳がない。あるのは個体の存在の強弱のみ。
 あえて述べれば、より背徳的であればあるだけ高く飛べるシステム。常識と言われるデフォルトの世界では道徳が共通認識として、metaverseはほぼその対極に存在するからだ。
 バタイユを例に出すまでもなく、観念から外れた行動、思考は背徳的な喜びを導く。
 そして、母親に理解をされなかった娘は絶望から圧倒的な力を与えられる。
 なぜ母親という役職に与えられる権利は全か無なのか。母親は子供の全てを受け入れなければならないのか。今のところ、女の股から子供が産まれるシステムなので逆説的なミソジニーに繋がると私は感じる。
 生命の誕生は混沌そのものであり、人間は理解し難いものに根源的な恐怖を憶える。
 そして、その放り出した命の所有権をいつまでも主張するのもまた母性であるのだ。

 metaverseの存在そのものが現行の世界から見ると混沌そのものであるが故に、母性を有した主人公は理解し難い娘と共にそこへと導かれる。

 程よい痛みと共に。

 

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