見出し画像

GPSは愛に変わる

GPS。すっかり今ではお世話になっている技術で、カーナビやスマホの地図アプリやら無くてはならないものになりましたね。
私がGPSですぐに思い浮かべるのは、小説の中にも書いた「位置情報発信器」。

第31話で設置して、

第43話のような使い方をしていました。


私が自分で探偵事務所を開業した頃は、ちょうどネットが普及し始めて来た時期で、ネットにホームページを作って依頼を受けるという形は私とあと2~3社、いずれも個人探偵事務所がパイオニアだったと記憶しています。

大手は金にモノを言わせてタウンページ(懐かしっ!)の1ページ広告を出したりしてましたし、都内中にポスター貼ったり看板立てたりして宣伝していました。
まだまだ断然そっちの方が依頼人の選択肢だった時代です。

ひとりでやっていく分には十分な依頼も入ってきましたが、なかなか一年を通してコンスタントに仕事があるわけでもなく、暇なときはツテのある大手調査会社や弁護士事務所などから仕事を回してもらっていました。

大手探偵社から下請けで回ってくるような調査は、だいたいがそこのポンコツ調査員が調査に失敗したものが多かったです。
失敗、つまり対象に調査していることがバレている状態で、発覚した対象者は警戒度が格段に上がります。

電車に乗ったふりをしてすぐに降りるとか、後方をやたらと注意するとか、下手な変装をしたりとか(笑)とにかくやりづらい対象者ばかりです。
車の尾行はそもそも難しいものなんですが、警戒している対象者ともなると赤信号ギリギリで交差点に突っ込んで巻こうとしたり、同じブロックを一周して尾行する車を確認したり、と普通に尾行するのは至難でした。

とは言ってもそこをなんとかバレずに尾けていくのが探偵の腕なんですけど、「保険」の意味で発信器を取り付けていました。
GPSを使った器械が出てきたのはだいぶ後の話で、当初は「音」で位置を探す発信器。

特定の周波数で発信される「音」を頼りに位置を絞り込んでいくのです。
どうにも尾行が困難でこれ以上の追尾はできないと判断した時は、一旦尾行をやめます。
完全にバレてしまうと次の調査が出来なくなってしまうから。

距離を充分に離してから指向性のアンテナを付けた受信機で音を聞きながら尾行を続けたり、完全に見失った時は首都高速を低速で周回して都内のどこかで「音」を拾えないか延々と走りました。

これが案外見つかるものなんです。
音量を最大にして聞いていないと、ふいに入る「小さな音」を聞き逃してしまうので、受信機の音量をマックスにしたり車内スピーカーに繋げたりして、ザーッと言うノイズを爆音で何時間も聞いていると頭がいかれそうになります。

そんな中で突如、「フィッ」と言う発信音が飛び込んでくるともうテンションは爆上がり。
すぐに首都高速から降りて、音の大きさを頼りに位置を絞り込んでいくんですね。

一度だけ、奇跡のようなことがありました。
神奈川県Y市の自宅スタートの対象者。週末に独りで車で旅行に出かけると言う対象者を尾行して宿泊先と、本当に一人なのかを調べる浮気調査。

スタート時間の早朝、調査開始の1時間前に到着するとすでに対象は出発してしまった後でした。
依頼人が寝ている間に出発してしまったようで、いつ出発したのかもわからない状態。
念のため事前に発信器を付けていたものの、行き先は皆目見当がつきません。

東西南北どちらに行ったのか。
とりあえず冬だし、寒い方にはいかんだろって安易な気持ちで南に向かって適当に走り出しました。(適当過ぎる・・・)
半分ドライブ気分で海沿いの道を南下し、やがて静岡県に入り、もう少し行って見つからなかったら帰ろうかと思って走っていると、聞こえたんですよ「フィッ」て音が。

一発入ればもうこっちのもんです。後は、「フィッ・・・フィ・・・」の間隔が短くなって、音が大きくなっていく方向を聞き分けて絞り込んでいくだけ。
見つけましたとも。結果は依頼人には残念なクロでしたけど。

さて。ここからが本題。(前置き長っ)

フォロワーさんの月子さんの投稿で知ることができた、りゆさんの「ときメーター」

壊れた夫婦関係に散々関わってきて、自らもバツ2のろくでもない私には眩しすぎる「推しがご主人」と言うりゆさん。
2人が出会った頃のドキドキ感を思いだす「ときメーター」と言うなんともまぁ可愛らしいモノを製作していらっしゃいます。

なんなの?この幸せ発想😆

対象者の位置を探すくらいしか使ってこなかった私と、
待ち合わせ場所で、推しの旦那さんが近づいてくるドキドキを感じたい、恋のGPS発動中のりゆさん。

なんなの?この違い(笑)

愛だろ?愛。
くぅぅぅ。

りゆさんご夫婦に探偵は無縁のモノですが、元探偵になってこんなラブラブ夫婦のラブラブプロジェクトを知ることができたのは、何の因果だろかね😁

わたしもほんの少しこのプロジェクトに支援させて頂きました。
人生の贖罪の意味も込めて😱

プロジェクトの成功、見守ってます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?