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アルメニアの世界遺産ハフパッド修道院へ~時が止まったかのような不思議な空間に驚く

アルメニアで私が最初に訪れたのはハフパット修道院という場所。

とんでもない山の上にぽつんと立つ修道院。うねうねの急カーブを回りながら上っていく。あぁ、四国のお遍路を思い出す・・・景色もなんとなく似ている気がしてきた。

これから私は四日ほどかけてアルメニアの修道院巡りをするわけだがこうなってしまえばまさにお遍路だ。そんなことを考えると笑えてくる。結局私はどこに行ってもやっていることは同じなのだ。

さて、ハフパット修道院に到着だ。

中に入ってすぐに驚く。なんだこの廃墟感は・・・!

本当にここだけ時間が止まっているかのようだ。

今もこの修道院は使われているそうだが、申し訳ないがそんな雰囲気は感じられない。

祭壇もあるし、ロウソクも立っているし、椅子もある。だがどうしてもここで祈りが捧げられていることを実感できない。

ソ連時代は宗教が禁止されていたため全ての修道院が閉鎖されていたそう。だがそれでも人々は教会に来ていたらしいが、実際のところはどうだったのだろう。

ジョージアは今なお信仰が強いのをかなりはっきりと感じられた。参拝者も多く、何よりガイド自身が教会に入る時に頭にスカーフを巻き、常に十字を切っていた姿が印象的だった。

ジョージアの教会では祈りの空気というか、精神性を強く感じた。

だがアルメニアはどうだろう。たしかに柱の重厚さや、この空間の荘厳な雰囲気は素晴らしい。しかし圧倒的に勝ってしまうのが廃墟感なのだ。歴史に置いていかれたままになってしまった悲しき痕跡・・・

本で読んだアルメニアそのままだ。

「ここでかつて人々は祈りを捧げていた・・・」

この言葉がこれほど似合う場所があるだろうか。

もちろん、これは私の先入観であり、偏見でもある。ここは今でも祈りの場として機能しているのだ。問題は私がそれを感じることができなかったという点なのである。これまで私は世界中の様々な宗教施設を訪れたがこの感覚は初めてだった。アルメニアで訪れた最初の教会にしてすでに私はとまどってしまった。「アルメニアはわからない」。この念に私はこの後も苦しめられることになる。

改めて自分がとんでもないところに来てしまったことを感じる。まるでゲームの世界だ。

そして次の目的地サナヒン修道院へ向かう途中、アラヴェルディという町を通り過ぎた。ここはかつて銅山が有名でソ連時代に繁栄していたそう。

だが今やソ連も崩壊し、この銅山や工場も廃墟と化している・・・

ソ連時代の廃墟。話には聞いていたが実際に生で見ると強烈この上ない。もう今にも崩れ落ちそうなのだ。辺り一帯がくすんだ茶色一色。モノクロ写真を見ているかのような気分になる。これが「なれの果て」なのだと否が応でも思い知らされる。ここに住んでいる人はどうやって生きているのだろうと不思議になる。

どこもかしこもソ連的。ジョージアとは全く違う。

ソ連的空気が未だに残っているというのは本当だったのだ。どうしようもない「どん詰まり感」を感じてしまう。気分が重くなる風景だった・・・

さて、もうひとつの世界遺産、サナヒン修道院に到着だ。

こちらも山の中にある修道院。黒系の色をした重厚感のある外観だ。

では、その中に入っていこう。入り口の段階ですでに雰囲気がある。

私はここに入った瞬間思わず息を呑んでしまった。なんだこの圧倒的廃墟感は・・・!ハフパッドよりもさらに廃墟感が強い。床の石が崩れていてぼこぼこだ。気をつけて歩かないと転んでしまう。柱も壁も床も、すべてが遠い昔を連想させる。完全に時が止まっている。一体何なのだアルメニアは!

ここにももちろん祭壇はある。ここも現役の祈りの場なのだ。

だが、この時が止まったかのような場所で現代人が祈りを捧げているというのがどうしても私にはしっくり来ない。ここまで違和感を感じたのは本当にない。いよいよアルメニアという国がわからなくなってきた。

最後にこの教会内部と道中の映像をご紹介してこの記事を終えたいと思う。


この記事は以前当ブログで公開した以下の記事を再構成したものになります。

この元記事ではアルメニア入国の体験や私がアルメニアに興味を持つきっかけは何だったのか、そしてアルメニアの興味深い点はどこにあったのかも詳しくお話ししています。ぜひこちらも合わせてご覧ください。

またアルメニアの独特な宗教文化については篠野志郎著『アルメニア巡礼 12の賑やかな迷宮』という本がおすすめです。

私のアルメニア訪問はこの本に強い影響を受けています。上の記事でこの本について詳しくお話していますので興味のある方はこちらもご覧ください。

以上、「アルメニアの世界遺産ハフパッド修道院へ~時が止まったかのような不思議な空間に驚く」でした。

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