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【ボスニア旅行記】恐怖や孤独に打ち勝つ心の強さとは~紛争経験者の体験談に学ぶ

スレブレニツァメモリアルホールの見学を終え、私たちは一路サラエボへの道を引き返していきました。

スレブレニツァからサラエボまでの道のりは片道およそ3時間ほど。

私はその間、ミルザさんと様々な話をしました。


ガイドのミルザさん(右)

ボスニアの文化のことやミルザさんのイタリア時代のこと、コーヒーのことやサッカーのことなど、ここでは話しきれないほどたくさんのお話をしました。

そしてスレブレニツァでの衝撃的な体験の後に、私の中にどうしてもミルザさんに聞いてみたいことが生まれてきたのです。

そして私はこの帰り道、思い切ってそれをミルザさんに打ち明けてみることにしたのでした。

―ぼくは昨日強盗に遭いました。(もちろん、ミルザさんはこのことはすでに知っています。そのことについては「上田隆弘、サラエボで強盗に遭う。「まさか自分が」ということは起こりうる。突然の暴力の恐怖を知った日 ボスニア編⑨」の記事を参照)

本当にショックでした。まさか自分が暴力に遭うとは思っていなかったのです。

そして昨日の夜、ぼくは恐怖と孤独に苦しみました。

自分の心の弱さをつくづく感じました。

ぼくの心は動揺していました。

たったひとつの予期せぬ災難で打ちのめされてしまいました。

何事にも動じない心なんて程遠いものだと痛感しました。自分が情けないです。

ミルザさんは軍にも在籍し、紛争も生き抜きました。

その体験はぼくの想像もつかないほど困難なものだったと思います。

ミルザさんはどうやってその困難を乗り切ったのですか?

何か心の支えになるようなものがあったのでしょうか?

「・・・心の支え・・・すみません・・・私にはわかりません・・・

・・・ただ、warを通してhow to strive (努力の仕方、生き抜き方)ということを考え続けました。

水もない。食べ物もない。電気もない。お金もない。仕事もない。

ゼロからのスタート。

そういう時に頭が動き出します。フルに。

生き抜くために頭がフル回転します。

warの最中は、30分先のことすら考えることができません。

銃弾や砲弾がいつ飛んでくるかわかりません。目の前のことしかわかりません。

しかし、warを通して how to strive を身に付けたことで強くなりました。

それは言えると思います。」

私はこの答えを聞いたときにドキッとしました。

そして同時に自分の甘えた考えを痛烈に恥じました。

・・・告白しましょう。

私は期待していたのです。

「宗教が支えになりました」という答えを・・・

ミルザさんはイスラム教徒。

だから困難なときにもイスラームの教えや何らかの信念が胸にあったのではないか。

そう期待していたのです。

私は僧侶です。宗教家です。

だから宗教に価値があると言ってくれることを願っていたのです。こんな時にさえ・・・

自分が情けなくて仕方がありませんでした。反省するしかない。

自分は甘かったのだ・・・

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続きはこちらの記事にて

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