[詩]中秋、長雨に流るる
◯中秋、長雨に流るる
秋は、停滞と寂しさの季節だ。
私と貴方の間に秋雨落つる。
貴方がいるのに、ただ淋しい。
貴方もそうでしょう。
貴方と私のワンルーム。
かび臭くて嫌になる。
雨降りで憂鬱、貴方の顔は晴れ模様。
そんな貴方に嫌気がする。
これも、あれも、全部、秋のせい。
長雨が流れ続けている。
貴方は、怒ると無口になる。
私は、斬りつけるような饒舌になる。
ジメジメと薄暗いところから飛び出す。
雨が立つの中、肩を濡らす。
後悔が、濡れて、溶けて、流るる。
寛容じゃないことを賢いと思っている貴方が嫌い。
でも、どこまでも、正しい貴方に憧れる。
ああ、淋しい、悲しい、寒い、風に引き摺られる。
もとに戻ると、貴方の長くキレイな睫毛が乱れている。
もっと、悲しくなった。
ただそれだけ。
長雨が流れ続けている。
澄まし顔で、文庫に目を落としている貴方を不満に思う。
どこもいけないのに、唇に紅をさす。
そんな様子を、貴方は滑稽だと笑う。
頬にも紅がささる。
熱と朱色を貴方の唇にうつす。
その澄まし顔が崩れる。
外に、月が浮ぶ。
私は、貴方の手を取る。
名月を楽しむために、団子を買いに行く。
長雨は流れ終わった。
◯ps
秋って、なんでこんなに寂しいのでしょうね。夜が辛くて嫌になっちゃう。それに、秋の花粉に上顎が痒くて不愉快。鼻の調子悪くて、頭が鈍って肉になりかける。
気候や音や視界は気分のいい季節なのに、心身ともに調子が悪くなる。秋という季節は、いいのか悪いのかまったくわからない。複雑だ。