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断り方の極意

コロナ禍が明けて1年、
人との交流がとても盛んになってきたと感じる今日この頃である。
食事会に誘われることもとても多くなった。
気の合う人との食事やおしゃべりは、やっぱり楽しい。

でも、とても苦手になってしまったものもある。
「夜の飲み会」である。
数年前までは、苦手どころか率先して行っていたのに……。

朝散歩を始めたことによって、私の生活は完全に朝型になった。
朝5時に起床するために、夜は9時過ぎにはベッドに入る。
この生活サイクルを回すためには、
夜の飲み会はどう頑張ってもうまく組み込むことはできない。

とても熱心に夜の飲み会に誘ってくれる友人がいて、
つきあいもあり、一度は参加したのであるが、
やはり生活サイクルは大きく乱れて不調をきたしてしまった。

さて、今回はどんなふうに断ろうか。

「その日は予定があります。ごめんなさい。」
「行きたいのはやまやまですが、今回は行けません。」
頭の中をいろいろな言葉が浮かんでは消えていく。

でもこんな断り方をされたら、私が相手の立場だったら、
予定があるんだったら別の日に誘おうと思うかもしれない。
今後私は、夜は誘ってほしくないのだ。
こんな付け焼き刃な断り方は、
誘ってくれた相手に対して失礼だという思いに行き着く。

散々考えた挙句、
「せっかくお誘いいただきありがたいのですが、
 朝型のせいか、夜出かけると体調を崩すため、
 夜のお出かけは遠慮させていただきます。
 ごめんなさい。」
シンプルにこう返事した。
これ以上でも、これ以下でもない。
事実とお礼のみである。

すると程なくして、
「分かりました。
 では、今度ランチをご一緒しましょう!」
と返事をいただいた。

これでよかったのだと思う。
もし今後お誘いがなければ、それはそれで仕方ないことだと思う。

シンプルに事実を伝えたということが、
私の気分を晴れやかにさせていた。
変に取り繕って、嘘の予定などをでっちあげて言わなくて本当によかった。
相手にも自分にも、嘘をつかず真実を述べることができた。

断り方は、ともするととても難しい。
相手の気持ちを汲み取りすぎたり、自分を良く見せようとしたりして、
ついつい余計なことまで言ってしまいがちだ。
けれども、誠意を持って簡潔に伝える。
これさえ守れば、きっと相手は分かってくれるんじゃないだろうか。

自由なひととは、ディナーの招待を言い訳することなく断れるひとである

ジュール・ルナール

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