生き写しバトル


 馬鹿やってた頃からの友人が急逝した24歳の秋、まだまだ俺たちは磨きたてツヤツヤした馬鹿だったし、いなくなったアイツはその先頭を無駄に綺麗なフォームで走っていたような奴だった。

 通夜の後、あいつの両親が集まった僕らに頭をさげて手紙を渡してきた、汚ねえ字はあいつからの手紙ってすぐにわかった。
 わけのわからん別れやらPCのフォルダの削除依頼やら書かれた最後に

 両親の前で俺の生き写しバトルをしてくれ


 それを見た一人が笑いだす
 あいつ語彙力が小学生だよな
 成人はバトルなんて言葉使わねえよな


 可愛いあの子が
これって故人を偲んで話して欲しいってことぉ?


 喪服がビシッときまった仲間内の出世頭も
いや、あれじゃねぇかな
 あいつのモノマネ的な
さっき、あいつの小物や服が不自然にハンガーに沢山かかってるの控え室で見たわ、、、


 両親もノリノリじゃねえかとみんな顔を見合わせた


 みんな一抹の不安と不惑と奴との急な別れで感情はジェットコースターから放り出されたようだった。

 俺は言う

 やってやろうじゃねえか
両親さんの前で見せれないくらいのオマエをよ!
 完璧に生き写して俺がこのバトルの優勝いただくぜ!

 叫び終えて控え室に俺は走った
俺は奴がいつも女の子にひどくフラれる原因になる
 女の子の耳を誉めるときの仕草を完コピしたことがあるのだ。すごくキモいやつ。

 横を見ると出世頭も走っていて
メガネを光らせ自身ありげにこちらを一瞥する

気がつくと皆自信ありげに走っていた。

先頭にアイツの気配を感じた、やたらと綺麗なフォームで走るアイツの。


 
でも
おまえ、どんだけマネする特徴あるんだよ馬鹿野郎。

#毎週ショートショートnote

お題は
たらはかにさんからの
#生き写しバトル
でした

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