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君とお昼を。

頓挫しちまった猫とネズミの和睦交渉がニュースで伝えられる
キャスターはミシシッピアカミミガメ
のびきったうどんを口からぶら下げる姿に定評のあるオヤジが
またか、とつぶやき、のこりをすする

お愛想まちのカップルが二度目の呼び鈴を鳴らす、ひるがれひ 終えて、午後の情事を。

薄ぼんやりの夢のあけに
日陰で寝ていたはずだと
教授が馬を飛ばしていなくなる
太陽はあくびなどしないから
気配なく真上をすぎナナメに

シャープすぎる唇をもった彼は更に唇を尖らせ
ガードレールであの娘来るの待ってる
手向ける言葉を思案してる
まだまだ狂気が降りてこないから
今日の残りを明日に回して
明日の密度をあげるか
お布団と相談したいところ


餞別などありゃあせん
残された者には日常が牙を向く
どうして、ぼんぼやあじゅなど言えるのか
あの娘の周りを睨んで捨てて
ニヒルを煮詰めて半年、ただの悪口
その言葉をあつめた花束を渡す決意はついた


太陽のお節介
あの娘が近づいて来てるのは影が教えてくれる
そっちを見てやるもんか、地面に目を伏す
影が踊ってる。

あの娘が何を言おうと俺は謗るをやめないだろう、さあ、なにか一言、言ってみろ。
捻くれる俺は中腹姿勢の一等兵だ
塹壕に篭って機会を伺う意地の悪い兵士だ

小走りで近くに来て息の上がった彼女は
対人に使うには非道すぎる兵器をあっけなく口から漏らす

「君とお昼を」

気がつけば、学食で
気の抜けたランチを食べていた。

色気のないテーブルを挟んで
素敵すぎる彼女と。



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