誰が望み捨てたか

平和とは、海猫の鳴き声が聞こえる
海沿いの縁側で齧るスイカのおかわりを欲しがる夏休みの焦げた小学生。
晩ご飯は従姉妹たちと囲む大皿料理、花火もしよう。
平和とは、愛する人に片手を伸ばして両手で包んでもらえること
息をするように調和の取れた日々。

しかし荒野は待っている
次の瞬きすら保証されぬ緊迫と
殺されたものが悪い、無知が罪の夜
いつまでそこを寝床にするつもりか?
訪ねてきた聖職者の身包みを質屋に流す
その金で遊郭の女を水揚げする
一生の添い遂げを約束して
次の日、香りも残さず消えるまでが様式美

期待はすべて裏切り
弱いことを責める世間の中で

平和から、遠く離れたら
平和がとても美しいことに
気付く。

そして美しいものたちを
悪しきものや
誘惑から守るものになりたかったが
どうやら
私が美しきものたちの行く旅を
脅かす北風
踏みつけ超えて成長を促すための
悪しき存在だと気付かされるのだ

悪いけど
そうなんだ
知恵と勇気とやらで
殺してくれ。

#シロクマ文芸部

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