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司法試験 民事訴訟法 一元化教材(まとめノート)

割引あり

はじめに

本記事は、司法試験・民事訴訟法を学習した際に作成していた、一元化教材(まとめノート)です。
内容は、『リーガルクエスト 民事訴訟法』,『Law Practice』,司法試験過去問,予備試験過去問,法科大学院の授業 をまとめました。
概念を短文でまとめた後、答案にそのまま使える知識になるよう意識してまとめ、論証も自分で作成しました。
令和6年受験時もこのまとめノートで十分対応できたので、今後も数年は利用できると思います。


―訴訟が始まる前提問題―

訴訟と非訟

・非訟事件じゃないのに、非訟事件として非公開でやっていれば憲法違反となる。
・当事者の主張する権利義務の存否を確定するような裁判を訴訟事件という。
・非訟事件の中で、前提問題として、実体法上の権利義務を判断することはできるど、後で、実際にそれについて争えば結論が変わるかもしれない。
例)同居義務(訴訟)/その具体的内容(非訟)

【訴訟・非訟事件】
① 訴訟事件であれば憲法違反
② 訴訟事件とは 
『訴訟事件とは』
当事者の主張する権利義務の存否を確定する裁判のこと

司法権の範囲

・憲法と民訴法の間みたいな話
『法律上の争訟とは』
当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係に関するものであり、かつ、訴訟が法の適用によって解決されるものをいう
【審判権の限界】
① 審判権は「法律上の訴訟」にのみ及ぶ
② 法律上の訴訟とは 
 ⇨当該訴訟が当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係に関するものであり、当該訴訟の法適用によって解決されるもの
→住職の地位は①が欠ける
 寺の占有権は、法律関係に関するものといえるが、その前提が宗教上の解釈に基づいて、権利が認められているのであれば、②が欠ける。

移送と管轄

・まず、管轄があるか調べる。管轄は訴訟要件。そのうえで、管轄が間違ってたり、不都合があるときに、移送を検討する。

管轄

・事物管轄(簡易or地方の区別)と土地管轄(普通裁判籍と特別裁判籍)
・管轄を増やす方法として、管轄合意(訴訟契約)がある
 →管轄合意には、専属的管轄合意と付加的管轄合意がある
⇨管轄合意は、債権譲渡しても承継人において有効

移送

総論
・移送は主に、16条移送と裁量移送(17条)がある。
・自分にとって都合が悪い管轄であるときにいかなる方法で争うかが問題となる。
・管轄間違いではないか、裁量移送ならば、管轄合意の存在と専属管轄ではないか、というのを見比べる。
◯管轄合意の有無
 
→①そもそも管轄があるか
   →管轄合意による追加があるか
   ⇨ア)専属管轄でないか
    イ)当事者の変更はないか(△)
    ウ) 公序良俗に反しないか
  ②専属的管轄合意か付加的管轄合意
→司法試験では、文言解釈や明示的に書かなかったことを主張して判断した。
移送方法の検討
①管轄が間違っているとの結論に至った時→16条
②管轄は一応あるとの結論に至った時→17条を検討
              ⇨専属的管轄合意があっても(20条1項)できる。◯裁量移送の考慮要素
・証拠調べの便宜 ・本拠地 ・経済力 ・義務履行地の予測可能性

『管轄合意の承継 債権譲渡』
債権を譲り受けた者が管轄合意を主張できるかが問題となる。
判例は、管轄合意について、訴訟上の合意ではあるが、内容的にはその債権行使の条件として、その権利関係と不可分一体のものであり、いわば債権の属性をなすものであるから、債権譲渡の際には、この属性も引き継がれるべきものであるとし、管轄合意の承継を認めている。

送達

総論
・手続き保障を全うするための重要な手続き
 ・訴状と判決書でしっかり区別。
種類
I. 交付送達
 →住所や法人の営業所で手渡し
i. 就業場所
→働いている場所で渡す
ii. 出会送達
→イメージは偶然あった場所で嫌じゃないなら渡せる。実際は郵便局に取りに行く
iii. 補充送達
→「相当のわきまえ」がある人に渡す。実質、代理人。
iv. 差置送達
→受け取らないといけない人(相当のわきまえがあるものを含む)が断った時に、差し置くことができる。
II. 付郵便送達
  →渡さなくていい。発送と同時に訴訟係属。住んでる場所はわかるけどもどうしようも ないから、一旦送達だけ出す感じ。上が全部できない時。
III. 公示送達
  →もう、どうしようもないから、公示で済ます

「相当のわきまえ」について

 ・結構緩めに認める(意思能力の欠如と訴訟の相手方はダメ)。
 ・補充送達はできているとして、その後、再審事由等になる。
 ・試験では、送達は、裁判を受ける上で手続き保障の出発点ともなり、重要な手続きである、として、基準を高めていくのもあり。
『相当のわきまえとは』
送達の趣旨を理解して交付を受けた書類を受送達者に交付することを期待することができる程度の能力を言う。
『補充送達の無効 双方代理』
「相当のわきまえ」がある者に当たるものとして書類を受け取る者は、書類受領の限りで、代理人となることから、当該交付を受けるものが訴訟の相手方に当たる場合には、たとえ相当のわきまえを有していたとしても、双方代理禁止の趣旨から補充送達は無効である。
『補充送達 実質上利害対立』
〇〇のような事情から、実際上は、受送達者本人に交付を受けた書類を受送達者に交付することを期待することができる者とは言えない。最も、そのような事実上の利害対立を判断することを送達実施機関に求めるのは困難である。したがって、受領権限の有無は外見から客観的に判断されるべきである。

争い方

イ) 裁判を受ける地位を失ったことに基づく損害賠償
→原則、既判力に実質的に抵触するため許されないが、当事者一方の行為が著しく正義に反し、既判による法的安定性を加味しても容認しえないような特別の事情がある時に限り許される。
『送達の瑕疵 損害賠償請求』
送達の瑕疵を理由に損害賠償請求をすることについて、判例は既判力に実質的に抵触するため、原則許されないが、当事者一方の行為が著しく正義に反し、既判による法的安定性を加味しても容認しえないような特別の事情がある時に限り許されるとしている。

ロ) 再審
→338条1項3号を類推適用する。
イメージは、当事者に保障さるべき手続き関与の機会が与えられていなかったら類推適用できる。
『338条1項3号類推適用 送達の瑕疵 再審』
338条1項3号の趣旨は、当事者に手続関与の機会がなかったことを理由に再審事由にあたるとしている。そこで、代理人が存在しなくとも手続き関与の機会がなければ同号の趣旨は妥当するため、再審事由は存在する。

ハ) 上訴の追完
→上訴できなかったことによる、例外事由を認めてもらうやつ。帰責事由の不存在が要求されるが、「公示送達」であるが故に、帰責事由の不存在を言うことは、通常、公示送達は知り得ないと考えられるので、常に認められてしまうので妥当ではない。原告の故意・過失や判決が出されることの予測可能性を加味して判断すべき。
『上訴の追完 公示送達の瑕疵』
上訴の追完が認められるためには、帰責事由の不存在が要求される。もっとも、公示送達は原則、受送達者が訴訟の提起を認識することは困難であると考えていることから、公示送達であるが故に帰責性の不存在を認めることは妥当ではない。そこで、原告の故意・過失や判決が出されることの予測可能性を加味して判断すべきである。

忌避、除斥

・変な裁判官がいた時に考える。
・除籍事由に当たるか否かをまず検討。その後、忌避に当たるかをその場で基準を立てないといけない。
・簡易却下をすることが許されるか、というのも一応論点。
『忌避 裁判の公正を妨げるべき事情』
当該事件または当事者との関係からみて、一方当事者が不公平な裁判がされるおそれがあると考える事情をいう

当事者の確定

総論

・当事者の特定と確定をしっかり区別すべき。
 →特定は、原告がすること。甲さんを被告にします、とかXさんを被告にします、とかその類。そうして、一応、この人間っぽいやつを訴えるのだな、と特定したところで実際に訴訟を追行させたり、判決効果を及ばせるのは誰か、と考えたりするのは裁判所がやること。
・問題として現れるパターンは、
イ) 死者名義訴訟
→死んだ人を訴えている場合(途中で死んだなら当然承継の話)。原則、二当事者構造がないので、訴え却下。ただし、訴え提起→送達の間で死んだ場合は問題。
ロ) 氏名冒用訴訟
→第三者のふりをして、訴訟を追行する場合。
ハ) 法人格濫用訴訟(適当に名付けた)
→濫用するのは、一例で、会社というのは名前が似ていたりするので、そのせいで訴えてしまう場合を含む。意識したいのは、元々の会社を称号変更して、新しく作った空の会社にその名前をつけるパターン。

訴訟維持の手段

・人違いが出た時に対処する手段は、①表示の訂正と②任意的当事者変更と③当然承継の趣旨の類推がある。①は同一性が認められるとき。②③は違うから、どうにか持っていこうと考えた結果、承継の趣旨を類推したり、いっそのこと当事者を変更する、という手段がある。
・①は、単なる名前をミスった時のような場合。言葉通り訂正をすれば足りる。逆に言えば、当事者の同一性が認められなければ使えない。
・②は、人間違いの時のような場合。原則、人が違うのであれば、その訴訟はその時点で終了。ただ、訴訟経済とかの理由で、どうにかそのまま続けたい時がある。そのような場合に、(承継系は法律上の根拠有り)、当事者を変更することをいう。
 →任意的当事者変更は、原則、新訴の提起と旧訴の取り下げと考えられていることから、共同訴訟の要件と当事者の合意、という要件を満たす必要がある。しかも、第一審の口頭弁論終結前しか許されない。
 ⇨訴訟資料は原則、別個。
・③は、前提として、訴訟係属後に死んだら、当然承継となる。この考えを膨らませる。つまり、現実に訴訟係属はしていないが、訴状発送後の死亡など、実質的に見て裁判が始まっている又は訴訟係属が起こっていると言える場合など、潜在的に訴訟係属があれば、訴訟係属させて、相続人を被告と持ってくる。これは、弁護士の選任がすでにある、などの事情も使える。
『任意的当事者変更 要件』
任意的当事者変更の法的性質は、新訴の提起と旧訴の取り下げと考えられていることから、共同訴訟の要件と当事者の合意、という要件を満たす必要がある。
『当然承継の類推』
当然承継が認められるためには、承継原因が訴訟係属中に発生しなければならないところ、本問では継続前に当事者が死亡している。ただし、(死亡は訴え提起後に行われていることから潜在的な訴訟係属が認められor訴訟代理人が選任されているので)であるから、124条1項1号の類推適用を認める。

確定の基準

A) 意思説
→原告が誰を狙って訴訟提起をしたか、という基準。おそらく、処分権主義が根拠となる。しかし、他者にとって、不安定。
⇨そうすると、死者を訴えても、意思によっては相続人にと解釈できたりする。
B) 行動説
 →その訴訟を誰が実際に関わったか、関わった人が名宛人となる、という基準。
C) 表示説
→1番徹底すると、当事者欄を見る。緩やかに訴状全体を見て判断という方法もある(実質的表示説)。
⇨誰が当事者に当たるかは、訴え提起後直ちにかつ明確に判断されなければならないから。
○キーワードとなる話
 ・原告の意思の尊重、被告の手続き保障、訴訟経済、既判力を及ぼしていいかなど。

訴訟行為

・申立て・主張と訴訟法律行為に分かれる。
 →後者は、原則、それ自体で訴訟法上の効果を生じさせるものであり、訴えの取り下げ、和解、放棄認諾などが挙げられる。

訴訟に関する合意(訴訟契約)

任意訴訟の禁止[原則]

・訴訟手続きは、民訴法等の訴訟法規の定めにしたがって統一的な方式で進められる必要があるため、裁判所や当事者が任意に手続きを定めることは許されない(任意訴訟禁止の原則)
・訴訟に関する合意(明文なき訴訟契約)との関係で問題が顕在化する。
→訴訟手続きに関することを当事者で合意しても裁判所を拘束しない。
⇨ただし、私的自治の範囲(弁論主義・処分権主義)については例外的に効力があるか。
・第1にそもそも、明文にない訴訟契約を許容しているのかという問題提起。

『任意訴訟の禁止』
訴訟手続きは、民訴法等の訴訟法規の定めにしたがって統一的な方式で進められる必要があるため、裁判所や当事者が任意に手続きを定めることは許されない(任意訴訟禁止の原則)
『訴訟に関する合意の効力』
したがって、訴訟手続きに関することを当事者で合意しても当該合意は裁判所を拘束しないのが原則である。もっとも、私的自治の表れである処分権主義や弁論主義か打倒する事項については、当事者の意思を尊重しても公益に反しない場合も想定される。そこで、処分権主義・弁論主義が妥当する事項であり、かつ、その内容が合理的かつ明確(不利益の予測可能性)であれば当事者の合意を有効として扱うことができる。

訴訟契約の例

◯管轄の合意
・管轄のところに記載。
◯訴え取り下げの合意
・この合意から直接、訴えの取下げが擬制される(訴訟行為説)見解と、訴訟法上の効果は訴えの利益を失わせるに留めるという(私法行為説)見解がある。
・判例は、後者をとっているっぽい。
・前者であれば、再訴禁止効を発生させるはず。一方、私法行為の場合は訴え却下となる。
 →ただし、訴え却下に訴訟要件の不存在という既判力が生じるならばあんまり差はない。
◯不控訴の合意
・要件がある。
 →飛越上告の合意を明文で許容していることとの関係。
・一方のみが控訴をしない旨の合意は無効。
『不控訴の合意について』
281条は飛越上告の合意について明文で許容しているが、飛越上告は不控訴の合意の特別な形と言えるため、不控訴の合意も許容されると考えられる。ただし、同条2項は、要件を満たすことが要求されており、不控訴の合意についても類推適用されると考えられる。よって、①一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、②書面で行う場合にのみ許される(11条2項、3項)
『一方のみの不控訴の合意』
社会的または経済的に優先的な地位にあるものから社会的または経済的に不利な地位にあるものに対して押し付けられるおそれがあることから認められない。
◯証拠制限契約
・弁論主義の範囲内なので許容される。自由心証に反しないので弁論主義の範囲内だし許される、と雑に論証。
→ただし、事後的にいうのは自由心証を害するのでだめ。

争点整理手続き

3つの違い

・準備的口頭弁論は、明文化されていないが、口頭弁論である以上、公開と証拠調べは当然できる、というのを忘れない。
・当事者へのお伺いは、弁論準備手続と書面等よる準備手続きでは忘れない。
 →この二つは遠隔でできる。

手続内の発言

・これが出てきたら、時期に遅れた攻撃防御方法と争点整理手続きの趣旨に鑑みて、自由な発言を尊重すべき、との視点を有しておく。


―訴えについて―

訴えの利益

・確認訴訟、給付訴訟、形成訴訟、形式的形成訴訟
訴えの利益があるか
・訴えの利益とは、本案判決をすることの必要性及び実効性を、個々の請求内容について吟味するために設けられた要件である。
・問題となるのは、確認訴訟と将来給付訴訟である、と考えておく。

確認の訴え

総論

・確認の訴えは、その対象が論理的には無限定であるから、本案判決をするのに適しない内容の訴えが提起されることも考えられる。そこで、確認の訴えの利益があることが要求される。具体的には、原告の有する権利や法律上の地位に危険または不安が存在し、そうした危険や不安を除去するために確認判決を得ることが有効かつ適切な場合である。
・確認の訴えの利益のチェックポイントは①方法選択の適否②対象選択の適否③即時確定の利益である。①は、確認より給付がいい場合など。②は、過去より現在がいい場合など。③は原告の権利・地位に不安、危険が生じており、その危険不安が現実的なものである場合をいい、うまく当てはめる。
・論点は、過去and未来の法律関係を対象とできるかである。前者を判断する特徴は、とにかく、当該法律関係を判断することが抜本的解決となるか否か。後者は、条件付きのみ認められているイメージ。

フォーマット

①確認の利益で訴訟を限定する必要性
②確認の利益が認められる原則と、その当てはめ要素列挙
③各要素の検討
 ⇨対象選択の適否
1) 一般論 → 2)事実and将来and過去
⇨方法選択の適否
  1)原則、給付訴訟
 ⇨即時確定の利益
  1)定義

過去の法律関係確認

総論
 ・例としては、親子関係、遺産確認、遺言確認。
遺言について
 ・認知症の場合
  …即時確定の利益が問題となる。どうせ、書き換えられないなら、認めていいのでは、というのが考え方。しかし、判例は、形式通りダメとしている。

将来の法律関係確認

総論
・認められるのは、敷金。
・確認訴訟の紛争予防機能を意識しているらしい。
敷金について
 ・条件付きの現在の権利とする。

即時確定の利益

ア)法的地位が具体的・現実的なものか 
イ)被告の態度が原告の地位に対して、危険不安を生じさせているか 
ウ)確認判決によってかかる危険や不安が有効・適切に除去されるか。
  →原告の法的地位の保護や紛争解決に有効適切か。
⇨最低限、イとウで認定する。
 
『確認訴訟 限定の必要性』
確認の訴えは、その対象が論理的には無限定であるから、訴訟提起が認められるためには、本案判決をすることの必要性及び正当性(確認の利益)が認められる必要がある。
『確認の利益 列挙』
確認の利益が認められるのは、原告の有する権利や法律上の地位に危険または不安が存在し、そうした危険や不安を除去するために確認判決を得ることが有効かつ適切な場合である。具体的には、①対象選択の適否②方法選択の適否③即時確定の利益の有無、という観点を持って判断される。
『対象選択の適否 一般論』
現在の紛争を解決するためには、現在の法律関係を確認することがもっとも直接的であるから、確認の対象となりうるのは原則、現在の法律関係である。
『対象選択の適否 例外』
もっとも、仮に現在の法律関係以外を対象とする場合であっても、むしろ、基本となる法律関係や行為の存否や特定の法律関係の前提となる事実の存否を確認することが、紛争の抜本的解決をもたらす場合には、本案判決をすることの必要性及び正当性が認められるため確認の利益は認められる。
『遺言確認訴訟 判例 対象選択の適否』
遺言行為の有効性の確認は、過去の法律行為の効力を確認対象としている。
しかし、遺言行為が有効であることが確認できれば、ある財産を現在、取得する権利を失うといえ、これは遺言行為の有効性を確認することから生ずべき現在の特定の法律関係が存在しないことの確認を求めるものといえるので、対象選択に誤りはない。
『方法選択の適否』
給付判決は執行力を伴う点ため、確認判決よりも紛争解決に資するといえる。
『即時確定の利益とは』
原告の権利・地位に不安、危険が生じており、その危険不安が現実的なものである場合。
『遺言確認訴訟 死亡前 即時確定の利益』
存命中の被相続人の財産処分の有効性を確認訴訟によって争う場合、推定相続人の法的地位は期待権に過ぎず、原告の法的地位に対する危険不安が現実的なものとは言えないため、即時確定の利益を欠き、訴えの利益は認められない
『敷金返還請求権の確認訴訟  将来 対象選択の適否』
判例は、敷金返還請求権は、賃貸者終了後、建物明け渡しがされた時において、それまでに生じた敷金の被担保債権一切を控除し、なお残額があることを条件に、その残額につき発生するものであるから、条件付きの現在の権利として認められるとしている。
『将来債権確認の訴え 認める場合』
①侵害の発する危険性が確実視できる程度に現実化しており②侵害の具体的発生を待っていたのでは回復困難な不利益をもたらす場合には、訴えの利益を認める。

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