司法試験 刑法 一元化教材(まとめノート)
はじめに
本記事は、刑法の一元化教材(まとめノート)です。
私は、予備試験でC、司法試験でB答案と刑法で特別いい成績を残したとは言えないのですが、まとめノートの出来自体は、他の科目と比べ、かなりうまくできたと思っています。
内容は、基本刑法1.2、刑法事例演習教材、司法試験・予備試験の過去問、その他模試の問題や授業で触れた内容です。
構成は、総論では特に答案フォーマットの作成を意識し、各論では各要件で問題になるところ及びその当てはめ要素・方向も含んで記載することを意識しました。
論点の網羅性とその書き方まで意識してまとめたことが特徴です。TKCの模試では上位0.7パーセントに入れたのですが、このような予備校の模試で点をしっかり拾えたのは上記のようなまとめ方ができていたからだと思います。
〔答案の型〕
第1 構成要件該当性
1 実行行為
(1)不作為犯
2 結果の発生
(1)既遂
(2)未遂
ア 中止犯
イ 不能犯
3 因果関係の有無
第2 故意
1故意があるか
(1)錯誤
2過失がないか
第3 違法性阻却事由
1 正当防衛
2 緊急避難
3 その他
第4 有責性阻却事由
《総論》
〔構成要件該当性〕
総論
〈行為の一体性について〉
客観 行為態様の共通性、時間的場所的近接性
主観 同一の意思か否か
不作為犯
不作為の構成要件同価値性
書かなくて良い。
不作為犯の流れ
1 因果関係があるか
→条件関係 ここは問題に書いてあるはず
2 作為義務
→主に排他的支配の存在にプラスαで論証していく
○プラスα要素
・制度的期待―親、職業 (法令上、なんちゃら義務がある)
・保護引き受け契約(契約しているからなんちゃら義務がある)
・先行行為―危険創出を本人が行ったこと
3 作為可能性の有無
『不作為犯の因果関係』
〇〇な行為がなされていた場合、結果は生じなかったと言えるので因果関係がある合理的な疑いを超える程度に確実であった
不作為犯と共同正犯
・作為義務は全員になくとも良い。
・誰かが殺そうとするのを放置したら、幇助犯の問題となるのが通常。寄与度、共謀の有無などが考慮要素。
→要件は、①正犯者の犯罪を防止すべきという作為義務があること②助けられたのに助けなかった(作為可能性)③正犯行為を阻止しなかったことによって、正犯者の結果実現が容易になった
未遂犯
総論
・実行の着手にあたるか否か問題である。
『実行の着手』
構成要件的結果発生の現実的危険性を有する行為
早すぎた構成要件実現(計画性のある実行着手)
・計画では第1行為と第2行為があり、第2行為で結果を発生させる予定が、第1行為で結果が発生してしまった、という場合。第1行為ではそんなつもりがなかったから、①未遂でおわった時、②どっちで結果発生したかわからない時などに問題となって現れてくる。行為を実質的に1つとして、第1行為時点で実行の着手を認める話。おそらく、第1行為そのものには、単体での結果発生の危険は要求されない。
・実行の着手と故意の2点で問題となる。
〈実行の着手〉
犯罪計画を前提に、①第1行為と第2行為の密接性②第1行為を開始した時点での結果発生の危険性
→第1行為の壁を達成したらほぼ第2行為もいける的な。だから、実質第1行為の時点で結果発生の危険が生じる、的な。
⇨具体的な考慮要素としては、①第1行為の必要性②第1と第2との間の特段障害の不存在③第1行為と第2行為の時間的場所的近接性である判例が挙げている。ただ、第1行為にしか壁がない時、みたいなのを論証できたら多分いける。
〈故意〉
全体を通すと、第1行為は殺人の実行行為の一部と言える。第1行為を行うことの認識は、殺人行為を行うことの認識認容がある。因果関係の錯誤があるが、これは重要な錯誤ではないので、故意は阻却されない。
中止犯
総論
『中止犯の必要的減免の根拠』
一種の報酬とした減免を規定することによって、中止を勧奨し、法益保護の機会を増やす政策であるから、中止犯には減免が認められている。
○中止犯の要件
①未遂犯であること(実効の着手と結果の不発生)
②中止の余地があったか
→あったとして、ちゃんと中止したというのが大切。
③中止行為があったか
④自己の意思によるか(任意性があるか)
○中止行為があったか総論
・作為が必要な場合と不作為でいい時に分かれる。特に、作為が必要なときは、他人の力を借りる必要があるかが重要となる。
→作為が必要なときかつ他人の力を借りるときは、真摯な努力があった場合かつ、結果が発生しなかった時に認められる。
→不作為なら、やめたらおっけい。ただし、中止の余地は当然いる。
・真摯な努力と認められるか
→自らが犯人であることを言う必要があるか
⇨・必要という説
・過度の要求に当たるとして、結果発生防止に向けられた真摯な努力があれば足りる説
・中止行為と結果の不発生に因果関係がいるか
『中止犯と因果関係』
中止犯による必要的減免が認められるのは、自己の意思によって中止したことにより、責任が減少するからである。つまり、中止行為それ事態によって、責任が減少する以上、因果関係は必要といえない。
『中止犯 真摯な努力を要する場合』
結果の発生を防止は甲のみでは無しえず、他人の力が必要といえる。このような場合、甲には、結果発生防止に向けられた真摯な努力が必要である。
任意性について
広義の後悔が認められる場合に、任意性が認められる。
〈広義の後悔の例〉
あたるもの
「大変なことをした」「はっと我に帰った」
当たらないもの
「びっくりしてやめた」「発覚のおそれ」「やめた方が得だろう」
中止行為と結果の不発生の因果関係
作為が必要な中止行為の場合、因果関係が必要。
『任意性の説を取るための口上』
中止犯の減免の根拠は、自己の意思により犯罪を中止したことによって責任が減少するからである。したがって、中止犯の成立には、任意性が必要であるが、中止行為が広義の後悔に基づいてなされたものである場合に限り、任意性が認められる。
不能犯
・実行の着手に当たるか、という議論に集約させられるはず。
・神の目から見たら危険がない場合に、現実的危険があったと言えるか、という話にできるはず。
→行為者と一般人の目から見て判断すればいいか。
・騙されたふり作戦は不能犯としていないはず。
『不能犯の判断基準 抽象的・具体的危険説』
行為時点において、行為者が特に認識していた事情及び一般人が認識し得た事情を判断基礎として、一般人の立場に立って判断すべき
『不能犯の判断基準』
行為当時に存在した全ての事情を判断基礎として、結果発生の具体的危険があるかと視点から判断すべき。
因果関係
総論
・危険の現実化で考える。
・寄与度を考える→その原因は本人か
書き方
・まず、危険が内在しているか
・現実化しているか
→介在事情の発端、異常性、内在する危険を見る。
パターン
①介在事情なしパターン
→シンプルに、行為の有する危険が現実化したみたいな感じで良い
②行為後の介在事情の方がしょぼい
→しょぼいとは、結果に対する寄与度が小さいということ
第一行為とどっちが結果に対する寄与度が高いかという視点も重要
介在事情の寄与度が小さいので、実行行為の有する危険に介在事情が内包され、その危険が現実化したに過ぎない
③行為後の介在事情の方がでかい
→でかいというのは寄与度が高いこと
寄与度が高いと、行為の有する危険に含まれないので原則、因果関係否定
⇨ただし、その介在事情が、行為者のせいで起きた場合には、例外的に肯定される。
『因果関係のフレーズ』
誘発された 死期を早めたに過ぎない 結果が起因する
故意
・故意は、①客観的個性要件に該当する事実を認識認容していること(構成要件的故意)と、②違法性阻却事由の不存在を認識していること(責任故意)の両面が問題となる。故意がある、とは、〇〇罪の構成要件に該当する事実が存在していることを認識している状態をいう。
・認識している事実と現実が異なることが、事実の錯誤であり、構成要件的故意との問題。あると思っている事実がなかったり、ないと思っていた事実があったりする。
・現実にある事実を認識している。しかし、その事実に対する評価に誤りがある。これが、違法性の錯誤であり、責任故意との問題。
[定義・論証]
『故意 定義』
構成要件に該当する客観的事実を認識、認容すること
→認識しているならば、認容しているといえる。
⇨行為者が特に認識していないことや、認識していたが結果が発生しないと認識していたという特段の事情があれば、認容しているとは言えない。
故意が認められるか
客観的に結果が発生する可能性の高い行為であるか
→行為者が特に考えていたことが違うならば、特段の事情として、故意がこ否定できる。
錯誤
ここでは、構成要件の話が主だから、事実の錯誤について。種類は、具体的事実の錯誤と抽象的事実の錯誤がある。抽象的事実の錯誤は異なる構成要件にまたがる錯誤。具体的事実は構成要件内の錯誤。そして、勘違い、誤りの仕方は、3つある。客体の錯誤はAをBと見思った。方法の錯誤はAを打とうしたらミスって、Bをうった。因果関係の錯誤は認知していた因果関係と違う因果関係で結果が生じた。その時に、故意があるか否かを判断する指針として、具体的符合説と法定的符合説がある。法定的符合説は勘違いしていても、構成要件に該当する事実なら○。具体的符合説は、その人というのが一致しないといけない。狙った人に効果がないといけない。
また、上記は故意の有無の話。刑法は、故意→過失と流れる。つまり、そこで、故意が上の基準から見て、認められないとして、そんな錯誤をするなんて、過失があるのでは、というのが別の論点となる。
・錯誤は、①事実の錯誤②広義の違法性の錯誤③狭義の違法性の錯誤である。②は、違法性
第1 事実の錯誤
1 具体的事実の錯誤
(1)客体の錯誤
(2)方法の錯誤
(3)因果関係の錯誤
2 抽象的事実の錯誤
(1)客体の錯誤
(2)方法の錯誤
具体的事実の錯誤
『客体の錯誤』
客観的にはBに対する殺人罪が問題となっているのに対し、甲の主観ではAに対する殺人罪が成立している。両者はおよそ人に対する殺人罪という点で構成要件内の符合が認められる。
『因果関係の錯誤』
因果関係についての錯誤が生じているが、この錯誤は重大とは言えないから問題とならない
抽象的事実の錯誤
原則ルールと例外ルールの逆転
例外ルールとは、構成要件が同質的で重なり合う限度で故意犯の成立を認めるもの。
→行為態様と保護法益で判断する。
原則ルールとは、認識していた事実について、故意の未遂犯、発生した事実には過失犯の成否を検討する。
〈抽象的事実の錯誤 例外ルール〉
構成要件が同質的で重なり合う限度で故意犯の成立を認める
→行為態様かつ保護法益の共通点
〈抽象的事実の錯誤 原則ルール〉
認識していた事実については故意の未遂犯の成否を検討し、発生した事実については、故意が認められないので、過失犯の成否を検討する。
遅すぎた構成要件実現
・本当は第1行為で結果を発生させていた予定だったのに、第2行為で発生してしまった。第1だけなら、未遂で逃げられてしまうから、後の結果発生の責任も負わせるための考え方。
・原則、第一行為と第二行為は別々のもの。だから、最終的に第1行為に吸収させて、包括一罪と考えるシステム。
⇨第二行為は結果発生に近接しているから、簡単に成立をいえる。
⇨第一行為は、行為と結果の間に、第二行為という介在事情がある。まず因果関係を危険の現実化を使って認めるべき。そして、結果発生の理由が違うが因果関係の錯誤に過ぎない、とする。
第1 第二行為について
1 実行行為&因果関係&結果
2 故意
→錯誤の検討
第2 第一行為について
1 構成要件該当生
(1) 結果は発生している。ただ、第二行為という介在事情がある。ただし、危険が現実化したに過ぎない
2 故意
(1) 因果関係の錯誤がある。しかし、この錯誤は重要ではない。
過失
『過失』
(結果発生)予見可能性、結果回避可能性を前提とする、結果回避義務違反のことをいう
【過失の認定】
① 予見可能性があるか 薬の間違いで死ぬことはある、と予見できる
② 結果回避可能性があるか ちょっと気を遣ったら気付けたから、可能性ある
③ 結果回避義務認定 薬を間違えていないか確認し、人を殺さない義務
④ 検討
○過失の共同正犯
→共同の注意義務が認められる時に限り、過失の共同正犯が認められる。
〔違法性〕
同意
[定義・論証]
『錯誤のある同意』
・錯誤がなければ、同意しなかったという事実につき、錯誤があれば、同意は無効
・法益侵害の種類、程度、範囲について、錯誤がある場合にのみ無効となる。
『被害者の同意』
被害者の同意は、単に承諾が存在するという事実だけではなく、承諾を得た動機、目的、身体障害の手段、方法、損傷の部位、程度など諸般の事情を照らして、その有効性を決すべき
正当防衛
総論
・急迫性、不正性、防衛行為、についてが雑な論点となる。
急迫性の要件
総論
・侵害があるかどうか微妙のとき、不意打ち的な侵害とは言えず一定程度準備できていた時などはここが重要。
・論点は、①時間場所機会の切迫(原則)②侵害の予期(積極的加害意思)③特に自招侵害、喧嘩闘争
『急迫の侵害 定義』
法益の侵害が元に存在しているか、または間近に奥迫っていることをいう
急迫性の判断スキーム
イ) 客観的事実
・時間的、場所的近接性があるか、というのを客観的事実から判断する。
・過去の侵害と将来の侵害を意識する。
→先制攻撃(将来の侵害)は基本的にNG。
⇨ただし、趣旨から考える(緊急対応的な)と、島などの助けが来ない場合は、例外的に認めてもいいかも、という感覚。
・過去の侵害については、侵害の終了と一時中断を区別する必要がある。
→再度の攻撃可能性を事実から判断する。
ロ) 主観的事情を考慮する。
・検討要素として、侵害の予期と積極的加害意思。
『正当防衛 急迫性 再度の攻撃可能性』
加害の意欲が旺盛かつ強固であり、間も無く体制を立て直し、再度の攻撃に及ぶことが可能と言えるので、侵害はなお継続している
侵害の予期
・攻撃されることを知っていた場合でも正当防衛が成立するか。
→予期だけではだめ。
⇨積極的加害意思があれば一発アウト
⇨そこまでじゃなくても、総合考慮的にアウトになる可能性がある。
・積極的加害意思については、急迫性の否定事情になると同時に、防衛の意思否定事情にもなる。
[思考過程]
・相手方の侵害を予期しているか→積極的加害意思の有無
・積極的加害意思がないなら、急迫性の考慮要素《従前の関係、予期した内容、予期の程度、回避の容易性、出向く必要性、侵害場所に留まる相当性、準備の状況》を使う。
『正当防衛の趣旨』
刑法36条は、急迫不正の侵害という緊急状況の下で公的機関による法的保護を求めることが期待できない時に、侵害を排除するための私人による対抗行為を例外的に許容したものである。
『侵害の予期 前提』
よって、正当防衛について、侵害の急迫性を要件としているのは、予期された侵害を避けるべき義務を課する趣旨ではないから、侵害がほとんど確実に予期できたとしても、直ちに侵害の急迫性が失われるわけではない
『侵害の予期かつ積極的加害意思 確実アウト』
(正当防衛の趣旨より)予期された侵害を避けなかったにとどまらず、その機会を利用して積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、急迫性の要件は満たさない。
『積極的加害意思 フレーズ』
行為者がその機会を利用し積極的に相手方に対して加害行為をする意思で及んでいる
『侵害の予期のみ 考慮するパターン 急迫性の基準』
行為全般の状況に照らし、許容されるものとは言えない場合には急迫性の要件を満たさない。
自招侵害
・自招行為を行った後に侵害を受けた場合は、急迫性が問題となる。
・流れは、①自招行為→②相手方の攻撃→③攻撃《これが正当防衛に当たるか》
⇨②相手方の攻撃に違法性がいる。
つまり、ア)過剰防衛の時 イ)普通の攻撃(単なる悪口に腹を立てたパターン)
・状況としては、一方的な挑発(攻撃)or喧嘩闘争
→自招行為に基づくものと言えるか。
・一番の大枠は、反撃のレベルが過ぎる時こと。
→その時の考慮要素は、急迫性の考慮要素を使う
・侵害の予期の有無で適用するスキームを変えていそう。
[思考過程]
・自招行為がある
→侵害の予期の有無
⇨予期があるなら、予期の流れ
⇨予期がないなら、反撃としてはやりすぎか否か
『自招侵害 導出』
もっとも、相手方が侵害行為に及んだのは、甲の自招行為があったからである。
『喧嘩闘争の基準』
(正当防衛の趣旨を書く)から、自招行為を行なった場合は、その自招行為と一連一体の侵害行為に対しては、当該侵害行為が自招行為を行うことによって予想される侵害の程度を大きく上回るなどの特段の事情がない限り、何らかの反撃行為に出ることが正当とされる状況とは言えない。
不正性
対物防衛について
・不正性の論点かどうかは不明。ただ、対物(特に犬とか)からの攻撃に防衛行為をすることに正当防衛が成立するか。
・前提として、人がけしかけた犬は当然正当防衛が成立するし、野良犬にはそもそも刑法上、犯罪行為が成立しないので議論の枠外。
・他人がけしかけることなく、勝手に来た犬には器物損壊罪の構成要件が成立する。
→説が分かれるが、被害者の正当な利益を侵害していること、人からは防げるのに動物はダメなのはバランスが悪い、などを理由に肯定したらいいか。はっきりしない。
防衛の意思
・基本的に必要
→反撃時に積極的加害意思を有したならば否定される、とのイメージ
・防衛の意思は主観的要件と言えるので、従前の関係、相手の侵害、選択肢、行為態様、言動等の事実から認定すべき。
『防衛の意思』
「防衛するため」という文言より、防衛の意思が求められるところ、防衛の意思とは、急迫不正の侵害を認識しつつ、これを避けようとする単純な心理状態をいう。
相当性の要件
・武器対等をまず比べる
→①身体的条件②両者の行為態様③代替手段の有無
『相当性 定義』
やむを得ずにした行為とは、反撃行為が侵害に対する防衛手段として相当性を有するものであることを意味する。
過剰防衛 総論
量的過剰防衛の検討
① 単純に行為が一つか二つか判断する
〈行為の切り取る要素〉
・行為態様 ・時間的場所的近接性 ・意思の連続性 ・急迫不正の侵害の有無
② 1個の行為なら、全体について量的過剰防衛を考える。
③ 2個の行為なら、前者に正当防衛を認定、後者は単純な暴行罪
正当防衛と共同正犯
・基本は、正当防衛の各要件につき、人ごとに、個別に判断していく。ただし、相当性に関しては、そもそも、一部実行全部責任であるため、全体に照らして判断すべきと考える。
→相当性が欠ける行為を一部の者がしているがこれに気づかなかった場合、つまり、過剰性を認識していなかった場合は、誤想防衛と考える。
・正当防衛を共同して行なった場合、急迫不正の侵害中と侵害終了後で行為を分ける。
→共謀が終了後に認められて初めて量的過剰に持っていける。
緊急避難
自招危難
『自招危難』
社会通念に照らしてやむを得ないものとして避難行為を是認することができないので、37条は適用できない。
〔有責性〕
書き方
・心神喪失は有責性のところで書いていいはず。
・心神耗弱は全て成立した後に、量刑のところに足す感じ。
→ただ、心神耗弱と認められるか否かは有責性の場所で書く感じ。
違法性の錯誤
・自分の中で、錯誤とは、①構成要件的錯誤②狭義の違法性錯誤③正当化事由の錯誤(広義の違法性錯誤)がある、と考える。構成要件的錯誤は、上述の通り。
・広義の違法性の錯誤は、責任故意に関わるものである。違法性阻却事由がないのに、あると勘違いした場合(正当化事由の錯誤)と、事実への評価を誤った場合(狭義の違法性の錯誤、または法律の錯誤)がある。
・法律の錯誤はこれをやっても、犯罪にはならないでしょ(本当はなるのに)、という錯誤であるから、①法を知らないこと、②法解釈を誤ること、という点で簡単に生じる。
・感覚は知らないこと、知ったかぶりの人がするイメージ。
正当化事由の錯誤
総論
・違法性阻却事由があるからこと、反撃してしまった、という話。誤想防衛が代表例。おそらく。公務執行妨害においても生じる。
・しっかり勉強しているが故になりそうなイメージ。
誤想防衛
・有責性阻却事由がないにもかかわらず、あると誤解したパターンと、攻撃の程度の評価を間違えたパターンがある。
『故意責任の本質』
故意責任の本質は規範に直面し、反対動機が形成可能であったにもかかわらず、あえて行為に及んだことによる、道義的非難である。
誤想防衛の種類
① 襲われていると勘違いして殴る。
② 本当に襲われているが、間違えてやばい方法で撃退した。
(③)襲われていると勘違い、また、撃退の程度も間違えてしまった(わざとではない)。
→④ 襲われていると勘違いしたが、撃退の程度はやばいのをわかってした。
⇨誤想過剰防衛であり、③は両方に当たる。
【誤想防衛】
客観的に正当防衛を否定した後に、違法性阻却事由の錯誤として検討する。
【誤想過剰防衛】
・客観的事情から正当防衛を否定した後に、違法性阻却事由の錯誤として検討する。
イ〕責任故意が阻却されるか ロ〕36条2項を適用できるのか というのが論点。
① 事実の錯誤説で考える。
→事実の錯誤説をとることについて、論証がいるか。(故意責任の本質の話?)
→故意の認識対象事実を構成要件該当事実と違法性阻却事由の不存在という事実とする。違法性阻却事実の不存在という事実について、錯誤があるため、責任故意を追求することは許されない。ただし、錯誤したことについて、過失があった場合には、過失犯に当たる。
行為の過剰性について、認識があれば、確かに、違法性阻却事由については、錯誤があるが、行為の過剰であるという事実の認識があり、違法性のある行為の事実の認識がある以上、責任故意は認められる。
原因において自由な行為
総論
・原則として、行為と責任の同時存在の原則がある。
・ただ、行為時に責任がなかったとしても、完全な責任を負うと考えないと感覚的におかしい状況がある。この時に「原因において自由な行為」論を使う。
・先に否定する見解として、間接正犯説がある。
→実行行為を飲酒等の責任を失わせる行為とし、その後の自分を道具として利用するという考え方。同時存在の原則を守ることができる。
⇨①間接正犯的な理論を使うので心神耗弱者には使えない②飲酒行為に構成要件的結果発生の現実的危険性があると言えない。
結果行為説
・責任を求める趣旨から同時存在の例外を考える。
→責任能力があるタイミングで違法な行為をするという意思決定をし、実現したがゆえに責任がある者に帰責させるのであるから、結果的に完全な意思能力がある時点でした意思決定の内容が実現できていれば形式的に行為時に責任がなかったとしても、帰責させてもいいはず。
・感覚的に、酒を飲む前にAをしようと考えていてその後Aをしたならば、Aの罪を問えるみたいな感じのはず。
『原因において自由な行為 間接正犯説』
行為と責任は同時存在しなればならない。そこで、飲酒行為自体を実行行為と考え、責任無能力状態の自分を道具として利用して犯罪を実現した、と考える見解がある。しかし、飲酒行為に構成要件的結果発生の現実的危険性があるとは言えない以上、実行行為と捉えるのは無理があり、また、同理論は心神耗弱にとどまる場合は道具として使うとは言えない以上採用できない、との不都合がある。したがって妥当でない。
『原因において自由な行為』
責任能力ある行為者が犯罪の成立について罪に問われるのは、責任能力がある状態で違法な行為をするという意思決定をし、これを実現することにつき、その行為者を非難できるからである。したがって、形式的に行為時に責任能力がなかったとしても、完全な意思能力がある時点でした意思決定の内容の実現として行為がなされていればなお、非難の対象となり、例外的に責任能力が認められる。
【実行行為の途中から責任能力がなくなる】
① 自由な意思決定が貫かれているか(自由時代の意思決定が、どのくらい影響があるのか)
→・故意が継続しているか(同様の行為を継続しているか)
・責任消滅後の行為がしょぼいか
・なんで、責任能力が欠けたか
② 原因において自由な行為 を用いる。
→責任能力が欠けた時点を境目に前後にわける。
⇨説に分けて検討。
〔共犯〕
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