#022 とにかく仕組み化 ①なぜ「とにかく仕組み化なのか」
夏休み読書4冊目は、「とにかく仕組み化」(安藤広大著)である。書店で本探しをしている際に、目に入り「学校運営(対大人)にも「学級経営(対子供)」にも応用できると感じ、すぐに手に取った。今回も章ごとに私が大切だと感じたことや学校現場に活かせそうなことをまとめていく。
「個人」を責めるな「仕組み」を責めよ
まさに、その通り。たとえば、学校現場では個人情報の扱いが問題視されている。ある職員が、子供の個人データを持ち出し、そのデータを紛失するという問題だ。この場合、紛失した職員が処分を受けたり勤務校の校長、教育委員会が矢面に立たされ謝罪したりする。職務上知り得た情報を紛失したのだから、仕方ない。しかし、そこで終わっていては同じような過ちは再び起こる。
近年では、情報を校外に持ち出すことができないように「仕組み」は作られつつある。ロックをかけることができるUSBの使用や校務用PCとネットワークの遮断などが挙げられる。これで解決するとは、私は思わない。
これらは、情報を持ち出せないようにする「仕組み」は変わっているように感いるが、業務量が減らずに仕事のやり方に制限をかけて個人を苦しめようとしている。そうなると、個人が抜けな穴を見つけ、情報を持ち出さざるを得なくなる。そして、また情報に制限をかけられ、さらに仕事のやりにくさが増す。最終的には、紙媒体で成績やテストなどの個人情報を持ち出し、家で仕事をする人も出てくる。デジタル化が進む反面、アナログで非効率に仕事をこなす人が出てくるということだ。仕事量が減らず、PCの制限をかけ続けるとこういったサイクルになるのは、当然である。
学校現場で大事なのは、目に見える仕組み化(情報に制限をかける)ではなく、個人が守れる仕組み化(仕事の精選)である。個人情報の扱いを例に考えたがこういったことは他にも起こっている。
たとえば、最近、私の自治体では放課後に残して課題に取り組ませることはしてはいけない。子供の安全を考えると時代に合ったルール(仕組み)だと思う。しかし、課題の量や進め方が変わっていないと個人を苦しめるだけのルール(仕組み)となり、苦しんでいる子供にとっては学校が嫌になってしまうのである。
「頑張れ」を多用していないか?
「頑張れ」を多用せざるを得ない組織は個人に負担を与えることにつながる。「頑張る」必要はない。仕組みが整いやるべきことできていたり、つけるべき能力が付いていれば良いのである。「頑張れ」と声をかけるのでなく、仕組みとしてできるようにする必要がある。
もちろん、教育上子供達に努力させる必要はある。「頑張れ」という声かけも必要だ。しかし、頑張ることで能力をつけさせるのではなく「仕組み」でつけさせられるようにしたい。
「締切」を設定しているか?
学校では、締切は多くある。しかし、一部の人や場面では機能してない。締切のあるお便りには必ず子供達に締切日が書かれている箇所にアンダーラインを引かせている。このようにして子供自身に締切を意識する「仕組み」を作っている。
また、職員でも締切が機能していない場合がある。特に校内での指導案提出やアンケート回答などである。私は守っている。守っていない人が悪い。といえば、そこまでだ。提出を求める側から、必ず提出をさせるための仕組みを作っておく工夫は必要だ。
「ここだけのルール」を許していないか?
これは耳の痛い話だ。職員関係ではあまり多用していない。しかし、教室では個に応じた指導や合理的配慮などといい、「ここだけのルール」を使っている。学校は、会社とは違う。「ここだけのルール」も必要だと思う。しかし、多用すると「ルール(仕組み)」が機能しなくなる。本当に必要な時に限って使うようにしたい。
あなたの仕事を誰かが「引き継ぎ」でいるか?
これも耳が痛い。職員室には、その人にしかできない仕事が多い。それは、能力的な問題ではない。実際に、年が替われば他の人ができる程度の仕事だ。仕組みとして、その人しか理解できないように仕事をしてしまっている。抱え込んでしまう傾向があるといってもよい。もっと、業務内容をオープンにし、共有すればよい。共有することで、自分のクラスに応用できたり、もし自分がいなくなっても周りの人が自分の仕事を引き継げるはずである。
自分にしかできないという誇りを持つのは素敵なことだが、そんな考えは組織として働く上では無用である。学校では、もっと仕事を共有するという考えを大切にしてもらいたい。
「全員の納得」を得ようとしていないか?
学校規模にもよるが、職員は少なくて10人程度、大きな学校では50人以上が働いている。全員の納得は、不可能だ。しかし、全員の協力が無いと教育的価値を最大限引き出せないのも事実である。納得は得られなくても、協力を得られるように根回しをしておくことは必要だ。この点は、学校独自のものかも知れない。民間企業などでは、淘汰される人材も学校にはいる。そういった人物の納得は得られなくてもうまく協力してもらう術は持っておきたい。
まとめ
学校こそ、仕組み化を通してより充実した教育を届けられると感じた。教育公務員であるため、民間企業とは、少し異なる部分はある。しかし、そういった会社組織から学ぶことは多い。また、子供の保護者の多くは民間企業の組織人である。学校は特別なんて考えはもう通用しない。学校も一つの組織として機能していかなければならない。
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