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#001 水泳指導における配慮事項

 水泳指導の配慮事項をまとめた。水泳は直接、命に関わる活動である。今回紹介する配慮事項を基に水泳指導を行っていくことで、より安全な指導ができることを願っている。

授業前

水泳の授業が始まる前に以下の点について確認しておく必要がある。

配慮児童の把握

 配慮児童の把握は、水泳の指導が始まる1週間前くらいには把握しておく。内容としては、ゴーグルの使用の有無や腰洗い槽の有無、健康上の留意点である。
 スイミングのコーチを経験してきた私は、ゴーグルの使用には賛成である。水中で目を開けることに抵抗感がある子供は、ゴーグルを付けて水中の世界を知らせてから水慣れを行うことの方が水に対する恐怖心が取れることが多いからである。
 腰洗い槽に関しては、現在使わない学校も多い。それは、今のプールには現代の基準に則った濾過器がついているため、必要がないからである(知識として持っていても良いだろう)。しかし、校長や養護教諭の判断で使用を続けている学校も多い。気を付けたいことは、アトピーや皮膚炎等で使用できない児童がいるため、保護者に対して確認し把握しておくことが大切である。

健康状態の確認

 健康状態の確認健康上の留意点は、「てんかん」など大きなものだけでなく、養護教諭と連携して子供の健康状態を把握することが大切である。
 健康状態の確認は、授業当日にも行う。朝食の摂取状況や体温、睡眠時間、保護者の了承を得ているかなど、当日の朝に確実に行っておきたい。熱中症対策として、水筒をプールサイドへ持っていくことも忘れてはいけない。

プールへの移動

 プールへの移動は、普段の体育と同じことであるが、転ばないように、タオルを腰に巻かずに手で持ったり水泳バッグにしまったりするように指導する。また、できる限り移動中は上履きを履いたり外靴を履いたりし、裸足での移動距離は少なくする

用具の準備

 学習中、プールサイドが濡れた状態で用具の準備をすることは危険なため、必要な用具は、授業前に出しておくことが望ましい。

安全上の留意点

その他安全上の留意点として

  • プール内外の危険物や異物の確認、撤去

  • プールサイド(マットがない部分)が熱くなっている場合は、水をまいてやけどを防ぐ

  • 雷雨など突然の天候不順に対応する判断基準

  • AED、担架の保管場所の確認


授業中

授業中の主な配慮事項は以下の通りである。

シャワー(腰洗い槽)

 プールに入る前は、必ずシャワーを浴びる。その際、確実に教師が見届けを行う。シャワーを浴びる際は、必ずスイミングキャップを取らせ、脇や髪など汗や汚れが溜まりやすい箇所を重点的にこするように指導する。腰洗い槽を利用する場合は、シャワー同様見届けを行う。腰洗い槽では、しっかりとかがみ腰まで消毒水につかるようにする。この時、スイミングキャップやゴーグルを消毒水に付けないように声を掛ける。

プールに入るとき

 プールに入る時は、スイミングキャップの中に、髪の毛を確実に入れるように指導する。教師の合図に従い、足→腕→頭→背中→お腹→胸の順に水を掛ける。この際、心臓に負荷を掛けないために「心臓から遠いところから順に」水をかけていることを伝える。
 プールに入る時は、プールサイドを持ち、後ろ向きで静かに入るように指導する。プールに入ったら、もぐったり浮いたりして、水に慣れさせる。

プールに入っているとき

 死角は作らない。個別支援や緊急対応があっても3秒以上死角を作らないよう細目に視野を変える。
 ひどく寒がったり震えたりしている場合は、活動を中止させる。
顔色が悪い、唇が紫色、全身に鳥肌が立っている場合は、活動を中止させる。二人組(バディ)でも、このような体調の変化を見るように習慣化する。
 活動を中止させた場合、スイミングキャップを取りタオルで全身の水気を取り暖かくさせる。可能ならば上着等を着る。
また、プール内や器具庫等の薬品は触らないように指導する。

授業後

 シャワーでしっかりと頭、体全身を洗わせる(体に付いた塩素を落とすイメージ)。
 子供の体、髪の毛、水着の水気がしっかり取れてるかの見届けをする。移動時は、タオルを巻かず両手が開いている状況を確認する。
プール内やプールサイドに危険物や異物がないか確認する。
プール指導を終えたら、確実に出入口を施錠する。

まとめ

 水泳指導における配慮事項をまとめてみた。学年に応じた詳しい指導法やねらいについては書いていないため、目新しいものはなかったかもしれない。ただ、こうしてまとめてみると、ついつい忘れてしまうようなことがあった(AED、担架の保管場所など)。だからこそ、ここで再確認をし、水泳指導に臨んでいただきたい。命に関わる活動であるが、しっかりとして配慮をし、各学年のねらいを達成する授業を行うことができれば、子供たちが自ら命を守ることができる活動となる。



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