おもしろ語彙の世界 미주알고주알
みなさんは,미주알고주알という,おまじないのような変わった響きの言葉を聞いたことがありますか。
미주알というのは肛門に至る腸の最後の所を意味します。つまり医学的に言うと内肛門括約筋のある場所です。
次の고주알というのは語呂合わせのための言葉で,べつに意味はありません。日本語でも,「うんともすんとも」の「すんとも」や,「何でもかんでも」の「かんでも」など,探せばいろいろとありますが,「エコーワード」とか,「こだま言葉」と呼んでいます。「うん」と言うことはできますが、「すん」とは言いませんからね。
미주알고주알というのは肛門の穴の奥まで見るようにという比喩から来た言葉で,「根掘り葉掘り」という意味の副詞です。ちょっと下品な言葉で言うと,「ケツの穴の中まで探す」ほど,ということですね。
“미주알고주알 꼬치꼬치 캐묻다”と言うように使います。
この미주알고주알にちなんだおもしろい話を1つ紹介しましょう。
“낮말은 새가 듣고 밤말은 쥐가 듣는다.”(壁に耳あり障子に目あり)という有名なことわざがありますが,これに似たような昔話です。
昔,手や足のつめを切っては,ところ構わず捨てていた老人がいたそうです。すると,その爪を食べて生活していたその家に住み着いていたネズミが,とうとうその老人と瓜二つの老人に化けてしまったのです。
ある日,この老人が便所に行って帰ってきてみると,自分に似た老人が部屋の中にデンと座っていました。びっくりした老人が「あなたはだれですか。なぜ人の部屋に来て座っているんですか」と大きな声で言うと,その老人も同じく「あなたこそだれなんですか,なぜ私の家に来て大声を出すんですか」と口答えをしました。
部屋で騒々しく喧嘩をする物音がするので,その家の人たちが出てきました。けれども,どちらが本物かは分かりません。そこで,家族たちは2人に同じ質問して紙に書くように言いました。
その家の土地の広さがどのくらいか,家族たちの名前は何か,何から何まで,あれやこれやと細かく미주알고주알聞いたそうです。
すると本物の主人は,大まかには知っていても詳しくは分からないのに対して,毎晩チョロチョロと走り回り家の隅々まで知り尽くしているネズミが化けた老人は,細かいことまでみな知っていたそうです。このようにして,本物の老人は,逆に家から追い出されてしまったのです。