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酷い母親

スマホのアラームが鳴り、続いてiPadのアラームが鳴る。
5分おきにセットしてるようで何やらずっと鳴っている。
「鳴ってる!起きて!おーきーてー!」
大声で呼びかける。
近づいて覗き込んでみるも、体も目もどの部分も全く動かない。
気絶してるのと変わらない。
音に対する反応が全くない。
布団をはがし、体を揺さぶり、時にはおでこをひっぱたく。
ここでやっと反応がある。
が、しかし、ここで起きられることはまずない。
ここからさらに起こし続けなければならない・・・

アラームの音もっとおっきくならないの?
と聞くとこれが最大なのだと。
なるほど。
めちゃくちゃうるさい目覚ましを買ってみよう!ということでAmazonで検索・・・

大音量で2つの時間がセットでき、それぞれの時間2回ずつスヌーズ機能が付いているアストロノーツ型の可愛い目覚まし時計を我が家にお迎えする。
ムスメを起こすの手伝ってね・・・

お隣さんには本当に申し訳ないと思うが、ムスメが起きる時間にはもう活動されているようなので助かっている。
今のところ苦情は頂いていない。


日に日に学校に行けなくなるムスメ。
ワタシの起こし方も正気の沙汰ではなくなっていく・・・

怒鳴り散らし、手のひらが痺れるほど叩き、パジャマを掴んでベッドから引きずり下ろす。

苦しそうに何とか起き上がろうとするが思うように動けないでいるムスメ。

「何でよ!何で起きないのよ!何でよ!
もう嫌、もう嫌だ…」
感情のコントロールができない。
震えながら涙が溢れる。

そして起こしきれなかったムスメを部屋に残し、紫色になった手のひらに痺れを感じながら職場へと歩く・・・

ムスメを傷付けた狂気がそのまま自分に突き刺さる。
ワタシこのままじゃ…ヤバい。

この日は本当に苦しかった。
自分には無理だ。
ムスメと離れたい。
ワタシがもっとおかしくなる前に…ムスメを預かってくれるような施設はないのかな…と思いながら歩いたのを覚えている。


休みの日、ぼーっとテレビを見ていた。
なんの番組だったか全く覚えていないけど、宗教学者の先生と…偉い僧侶の方…の対談だったか…
とにかく仏教の難しい話をされていた。
本当にただぼーっと見ていたのだけど、ひとつだけ、強烈にワタシに入ってきたお話があった。

考えても考えても解らない、もやもやとぐるぐると…そういう「混沌」とした状況。
苦しい。
でも、その「混沌」こそが生きるということ。
人は皆、迷いながらもがきながら進む。
それが生きていくということなのです。

きっと言葉は違うと思う。
その偉い先生が見たら私はそんな言い方してないけどな…って思われるかもしれない笑
でも、意味合いはこういうことだったと思う。
とにかくワタシはこの言葉に救われた。
少し体が軽くなった。
























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