鼻をすする音が大嫌いな人はもしかしてミソフォニア?おすすめの耳栓について
ミソフォニアとは
ミソフォニア(音嫌悪症)という障害をご存知だろうか。
特定の音に対して強い嫌悪感を示す症状が出る障害で、その音自体の大きさには左右されることがない。
特定の音とは、ときにトリガー音とも呼ばれることがある。トリガー音としてよく挙げられるのは、咀嚼音、鼻をすする音、呼吸の音、キーボードのタイピング音などで、人間から発せられる音全般が主な対象である。
医者の診断を受けたわけでもないが、筆者もこういった音が大の苦手であり、特に鼻をすする音のような、一定の間隔で継続するタイプの音が大嫌いである。
トリガー音が聞こえてくると、今すぐここからいなくなりたいと思ったり、ものすごい憤りを覚えたりしてしまい、頭の中のもう1人の自分が(頭の中で)暴れ回っている感覚になり、我を忘れてしまいそうになることが多い。
特に今の季節は外気と室内の温度の差が大きく、寒暖差アレルギーで鼻をすする人が多い気がしている。混雑した電車の中でもし隣の人が鼻をすすっていたら、と想像するだけで気持ち悪くなってしまう。
電車の走行音は大きいので、スマホの小さな音は聞こえないくらい雑音の多い環境であるし、話し声なども聞こうと意識しなければ雑音として処理されてしまうが、トリガー音だけは"雑音"として処理されず、ダイレクトに耳に届いてしまう。
もし、こうした症状のない人がこの記事を見ていたら、緊急地震速報のメロディがずっと一定間隔で流れているような感じを想像してもらうと分かりやすいかもしれない。(多くの人が嫌う音をイメージしたつもり。)
また、個人的には症状の重さはその時の精神状態にも左右されるところが大きいと感じる。ストレスが溜まっていてそれを発散する場もない時期は、症状がひどくなるからである。筆者は通勤のため、都心部の混んだ電車に毎日乗るので、逆にトリガー音が聞こえてきた時の自分の反応度で、ストレスの溜まり具合がどの程度なのか分かることもある。(でも大体いつも物凄い拒否感を覚えたり、トリガー音を出す相手を睨みつけてしまうことまであるので、いつもストレスが溜まっているのかもしれない。心当たりのある方は睨みつけてしまって申し訳ない。)
上記のように、不特定多数の人間がいる場所では常に症状が出る可能性があるため、ミソフォニアっぽい人はそもそも外出をしたくなく、外食などもってのほかだと思う人が多いだろう。
しかし人間が社会生活を送る上では、それらを全て避けて、症状が全く出ない環境を保ちながら生きていくことはかなり難しい。ではどうすればいいのだろうか。
対処法はある?
思い浮かぶ対処法としては以下の通りである。
①人へのアプローチ
②環境に対してのアプローチ
まず①の人へのアプローチについてだが、これはその名の通りで、トリガー音を発する相手に注意したり、自分の症状を伝えたりして何かしら音が出ないように働きかけをすることである。
しかし、現実問題ではミソフォニアという言葉自体の認知度が低いと思われるので、症状を正直に伝えたところで「いちいち神経質な人だな」と思われてしまう可能性が高い。
また、トリガー音は本人が自覚せず出している場合が多いので、勇気を出して伝えた直後は直っているかもしれないが、明日には忘れてまたトリガー音が聞こえる状態に戻るかもしれない。
そして、そもそも伝えるためのハードルが高い。家族や家族に準ずる関係性の人間ならまだしも、職場や学校、赤の他人など、相手との関係性が薄い人に対してわざわざこういう症状があるから慮れと伝えるのは相当億劫である。
一方で②の環境に対してのアプローチだが、こちらは直接人に対してアプローチするよりもまだやりようがあるかもしれない。
一つは社会人であることが前提だが、テレワークをすること、またはテレワークができる会社、職種に就くことである。昨今の感染症拡大の経験を経て、多くの企業にテレワークという文化が浸透した。この文化は多くのミソフォニアっぽい人にとって救いになると感じる。
またもう一つは1番現実的な方法で、音自体を遮断することである。トリガー音を発しているのは他者なのに、なぜ自分が我慢しないといけないのか、という感情的な問題はあるものの、やはりひとたび耳を塞げばストレスから切り離される。イヤホンやヘッドフォン、耳栓、イヤーマフなどをして音を聞こえないようにするのが結局のところ1番効果があると感じる。
しかし、こういったものをつけると話し声が聞こえなくなるという大きな欠点もある。
特に、昨今流行りのノイズキャンセリングタイプのイヤホンは周囲の音をほぼシャットアウトしてくれるので一見良いように思う。しかし筆者のような音楽を聴く目的がなく、トリガー音を避けるために耳栓代わりに付けることがある人間には、付けると代わりに自分の呼吸音がうるさくなってまた気持ち悪くなるというトレードオフのような効果が出てしまう。
筆者は自分から出る呼吸音や咀嚼音も嫌いなタイプである。さて困った。
そんな感じで満員電車の中でストレスMAXの時にふと出会ったのが、loop earplugsから発売されているengage plusである。
https://www.loopearplugs.jp/products/engage-plus
よくあるオレンジだか黄色だかの耳から飛び出るような「耳栓してます!」と主張するダサい耳栓ではない。
クリアな素材でできており、耳にはめると本体が耳の穴の中にフィットするように入り込んで存在感がなくなり、服装の邪魔もしない。
そして何より、自分の呼吸音が聞こえないことが大きなメリットである。また周囲の音量を下げつつも話し声は(こそこそ声でなければ)普通に聞こえて、自分の話し声もあまり籠もることなく、会話もそこそこできるところがノイズキャンセリングイヤホンとは一線を画していると感じる。
耳栓なのにこんなに高いのか…?と思うかもしれないが、見た目、機能性を考えたら妥当な価格だと思える。また、付属パーツも充実しており、シャットアウトする音量も調節できるところがポイントである。症状の緩和と社会生活を両立するには必須のアイテムだと感じている。
(ここまで書いておいて言うのもなんですが、この記事はloop earplugsのステマ記事ではありません)
さいごに
ミソフォニアのような症状がある人、というかミソフォニアという言葉を知っている人は、周りに似たような人がいない限り多分エゴサの鬼みたいな人だと思うので(筆者もブラウザで「鼻すする音 殺意」とかで調べるまでミソフォニアという言葉を現実世界で聞いたことすらなかったため)、ここに書いてあるようなことはもう他の記事やサイトで目にしたことがある内容ばかりだと思う。しかし、周りにこういう音を気にする人がいるような気がするな、と思っている人がもしこの記事を見ていたら、自分がトリガー音を発していないかどうか、ほんの少しだけでいいので意識して生活してみてほしい。
また画面の向こうにいるミソフォニアの症状がある人には、この症状があるのは自分だけじゃない、少なくともこの記事の筆者には気持ちがわかってもらえると思って安心してもらいたいし、少しでも苦しい思いをせずに社会生活を送れるようになるよう祈っている。
…ちなみに筆者は現在進行形で、職場で隣の席の派遣さんが毎日鼻をすすっている状況である。そのため毎日engage plusを付けて仕事をしているという、めちゃくちゃ静かな攻防(というより一方的な防御)を繰り広げているが、どのタイミングで自席の鼻セレブをそっと差し出そうか悩んでいるところである。