2021年1月まとめ
「ひと月をまとめる」という大袈裟なタイトルとなってしまっているけれど、ただ月ごとに観たり聴いたり感じたりしたあれこれをそれとなく並べておく場を設けたいなという弱い志をそう名付けている。
ぼやっとした日記
有難いことに年末年始は忙しくさせていただいており、仕事納めと仕事始めの境が曖昧だった。年越しの瞬間はスマホから流れるANNの年越し特番を聴きつつ、PCに映るももいろ歌合戦を横目に、TVで2020年の残り時間を指折り数えるラッパーを眺めながら、宙に浮いていた。
元日は夕方頃に起きて初詣に出掛けた。久しぶりにイヤホンを外して歩いていると、静かな街も多くの音で包まれていることを感じられた。近所の大きな神社ではぜんざいやおでんなど色々と売られていたが、一人で食べるのも何か侘しく思い、焼餅を二つほど買った。新年の空気を全身で感じつつ、一つを食べながら帰路についた。
昨年はあまり上手く動けていなかったなという強い反省があるため、今年は月ごとにある程度の目標を立てて何とかやっていこうと決めている。
久しぶりにちゃんとしたマンガを描くきっかけとして、ある企画に4p分のネームを送ることから始めた。結果は不採用となったが、編集の方から丁寧で的確な講評をすぐにいただくことができたので大変ありがたかった。一人で制作を行うとどうしても読み手の意識が欠けてしまって駄目だなと強く感じた。今回は最終選考で駄目だったようなのでまた機会を見つけては送っていきたい。
いただいた講評を元に台詞やコマの順序を見直したのが下の作品。
普段より多くの人の目に触れることができて大変ありがたい。
1月に観た映画
新年一本目は何を観ようかとぼや~っと悩んでいるうちに休みが終わり、今月はあまり観られなかった。三が日に『ティファニーで朝食を』を観かけたが、初めてオードリー・ヘップバーンを観るのに吹き替えで良いんだろうかという思いが先行し、冒頭で断念してしまった。
『荒野にて / Lean on Pete(2018)』
あらすじ
小さい頃に母が家出し、愛情深いがその日暮らしの父と二人暮らしのチャーリー。家計を助けるために競走馬リーン・オン・ピートの世話をする仕事を始めるが、ある日父が愛人の夫に殺されてしまう。15歳で天涯孤独になってしまったチャーリーの元に、追い打ちをかけるように届いたのは、試合に勝てなくなったピートの殺処分の決定通知だった。チャーリーは一人馬を連れ、唯一の親戚である叔母を探す旅に出るが、彼らの前に広がるのは、あまりに広い荒野だった―。
(Filmarksより引用)
2019年の日本での上映当時も観たいなという気持ちがあったのだけれど、都合が合わず観逃してしまっていた。
とても静かな作品でありながら、見事な映像美によって語り掛ける良い作品だった。少年とそれぞれを繋ぐ関係性の描き方も良く、少年から成年への成長過程の無力感や歪さ、やるせない部分まで多くを語らずに綺麗に掬い取っているように感じた。
A24配給の作品は『手紙は憶えている』、『スイス・アーミー・マン』、『ムーンライト』、『20センチュリー・ウーマン』、『フロリダ・プロジェクト』、『レディ・バード』、『パーティーで女の子に話しかけるには』『ミッドサマー』、……、と観ているが結構好きなものが多いように感じる。(全体的に映像がどこか明瞭?彩度や明度が高めでパキッとしている?かつ、ざらつきも感じられるような)
『1917 命をかけた伝令(2019)』
あらすじ
第一次世界大戦真っ只中の1917年のある朝、若きイギリス人兵士のスコフィールドとブレイクにひとつの重要な任務が命じられる。それは一触即発の最前線にいる1600人の味方に、明朝までに作戦中止の命令を届けること。
進行する先には罠が張り巡らされており、さらに1600人の中にはブレイクの兄も配属されていたのだ。
戦場を駆け抜け、この伝令が間に合わなければ、兄を含めた味方兵士全員が命を落とし、イギリスは戦いに敗北することになる―
刻々とタイムリミットが迫る中、2人の危険かつ困難なミッションが始まる・・・。
(Filmarksより引用)
これも機を逸して観ることができていなかった作品。Amazon Prime Videoで鑑賞したが「映画館で観たら比較にならないくらい良かったんだろうな」と反省した。
前情報以上にワンカットを多用した映像が面白く、映像の強さでどんどん前のめりに引き込まれていくような作品だった。勿論、脚本や演出もとても良く、全体的にかなり面白い作品だなと感じた。ああいった戦場の描き方ならではの決定的瞬間の描き方に魅力を感じると共に、恐ろしさを突き付けられるような。個人的には終盤のカットに映像の強さに魅せられた。
戦争を題材にした作品はそこまで多くは観ていないが、昨年観た『ヒトラーの忘れもの(2015)』同様、かなりやられてしまう部分はある。
『足跡はかき消して / Leave No Trace(2018)』
あらすじ
現代社会から逃れるように広大な森林公園で生活を行う父と娘。父は従軍経験からPTSDを抱え、社会から距離をとっていた。小さなミスで警察に見つかってしまった二人は社会復帰を余儀なくされるが、社会と対峙した二人の関係性には次第に変化が起こり始める……。
一般的な社会から隔絶された場所で暮らす家族というと『はじまりへの旅(2016)』が思い出されるが、それとはまったく違った形の作品だった。
綺麗な映像で淡々と描き出されるものには重さがあり、最後の選択では様々なことを考えさせられる。原因や事象をはっきりと描くことは少ないが、示唆的なカットに富んでおり個人的にとても好みの描き方だった。
結構珍しい形での終幕だなとも感じた。
1月は何となく余裕が無く『燃ゆる女の肖像』すら劇場で観逃してしまった。
2月以降は週1~2本くらいは観られると良いな。
1月に聴いて良かったアルバム
2020年といえばSuiseiNoboAzの『3020』やROTH BART BARONの『極彩色の祝祭』など本当に良いね…………というアルバムを聴くことができてとても良い年だったが、他の作品など色々と語り始めると長くなりそうなので、ここでは1月に聴いて良かったアルバムについて簡単にまとめたい。
dimen / NOT WONK
前作から特に「凄いな~」と思って聴いていたが、今作は本当に滅茶苦茶素晴らしかった。あまり音楽を語る手段はもっていないので「良い」とばかり言ってしまうが、端々まで感じられる音の豊かさと聴き終えた時の多幸感が心地よく、ここ最近は毎日再生している。
まだ1月だが年間ベストに入ると思う。
find fuse in youth / 崎山蒼志
前作のEPでは諭吉佳作/menや長谷川白紙といった面々とのコラボがあり、今の空気が詰まっていてとても良いなという印象を受けていたが、メジャーデビューアルバムとなる本作もとても心地よかった。
Collapsed in Sunbeams / Arlo Parks
昨年発売されたEasy LIfeのアルバム『Junk Food』の「Sangria(feat. Arlo Parks)」で初めて知り、アルバムが出るとのことで聴いてみたら結構良かった。個人的に「良いな」という判断基準のひとつには「止まることなく一枚通して聴けた」というものがあるが、このアルバムに関してはまったくストレスなく聴くことができた。
On All Fours / Goat Girl
Goat Girlは前作のアルバムを一応ライブラリに追加していたもののあまりピンときていなかったが、今作は良いなと思える曲が多かったのか印象に残った。ここ最近良いなと思えるものが広くなっている実感があるので、今聴き返すと恐らく前作も良いものなんだろうな。
Drunk Tank Pink / Shame
Shameも前作を追加していながらもあまり聴いていない…………といった感じだったが、今作はちゃんと通して聴いて良いなと感じた。
(似ているかどうかは分からないがCabbageとか好きなので。)
ここからは新譜以外で新たに聴いて良かったものを簡単に紹介したい。
IGUBU LAM / Kanyi Mavi
Apple Musicの「アフリカン・オルタナティブ」というプレイリストを流していた時に気になったアルバム(EP?)で、ケープタウンのラッパーらしい。
今まで南アフリカの音楽は殆ど触れたことが無かったが、「アフリカン・オルタナティブ」で耳にする曲はどれも新鮮で面白くて良いなと感じた。耳慣れない言語や、根底にあるリズム感の違い、様々な要素から生み出される音がとても良い。このアーティストはラップの中に口の破裂音でリズムを生み出すといったことをやっていてかなり興味深く感じたこともあり、特に良いなと思ったアルバムだった。
この「アフリカン・オルタナティブ」のプレイリストは本当に良くて個人的に感銘を受けたのでオススメしたい。
(他にも良いプレイリストがあれば教えていただけると大変有難い。)
まとめ
2020年1月はこのnoteも含めて色々と新しいものに触れることができて良い月だったなと感じる。少し長すぎる気もするが2月も何かまとめられるくらいのトピックがあるような日々を過ごせるようにしたい。
今年は何となく良くなるような気がする。
因みにお御籤は凶だった。
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