「イギリス出身です。」が言えません①🙄
Hallo, Guten Tag!
授業でハリー・ポッターの翻訳を始めました!
通常、翻訳の仕事は一人で進めるので孤独ですが、授業では一緒に進められる生徒さんからも気づきもたくさんもらえるので、ますます楽しみです♪( ´▽`)。
ハリー・ポッターの舞台、イギリスといえば・・と、大昔に読んだ『エムズワース卿の受難録』を引っ張り出してきて呑気に読み返しておりました。
ところで「イギリス」っていうけど・・・実際どこのことなん?
から始まって、よく考えたら「イギリス出身です」なんて簡単なドイツ語にもつまづいた、という話を書こうと思います。
・・というわけで、今回はイギリスってどこ?意外と知らない国の名前と、なんか習ったことと違うドイツ語文法について、ドイツ語学習者の多くの人にとってさえどうでもいいような(これ以上需要落とすな)ニッチなことについて書いていこうと思います。
出身を言ってみる
どの外国語を学んでも、自己紹介のトピックに出てくる出身国の言い方は初期に習うフレーズだと思いますが、ドイツ語では以下のように表現します。
aus 出身国名 kommen
Ich komme aus Deutschland. 私はドイツ出身です。
この場合のドイツ"Deutschland"のように、ドイツ語の名詞には文法上の性というものがあって、多くの国名は中性名詞です。中性の国名はゼロ冠詞、つまり冠詞(英語のtheとか a,anに当たるもの)はつけなくていいよ、と習います。冠詞を付けないということは、名詞の性や格による語尾変化の煩雑さを考慮しなくともよく、そのためドイツ語で出身を言うことはそれほど難しいことではありません。
Ich komme aus Deutschland. 私はドイツ出身です。
Ich komme aus Korea. 私は韓国出身です。
Ich komme aus Italien. 私はイタリア出身です。
Ich komme aus Indien. 私はインド出身です。
Ich komme aus Brasilien. 私はブラジル出身です。
ただ時々、中性名詞ではない国名があります。
例えば、
【男性名詞の国名】
der Iran イラン
der Kongo コンゴ
この場合は冠詞を付けて
Ich komme aus dem Iran. 私はイラン出身です。
Ich komme aus dem Kongo. 私はコンゴ出身です。
【女性名詞の国名】
die Ukraine ウクライナ
die Mongolei モンゴル
この場合も冠詞を付けて
Ich komme aus der Ukraine. 私はウクライナ出身です。
Ich komme aus der Mongolei. 私はモンゴル出身です。
【複数名詞の国名】
die Niederlande オランダ
die Phillippinenフィリピン
この場合も冠詞を付けて
Ich komme aus den Niederlanden. 私はオランダ出身です。
Ich komme von den Philippinen. 私はフィリピン出身です。
このように、中性の国名には冠詞を付けず、中性以外の性を持つ国名には冠詞を付けて使う、というのがルールです。
ここまでが初級で学習し終える内容です。
それは聞いてない
次に「それは聞いてない」出身地の言い方について。
冒頭に戻ってイギリスの話。
一般的に「イギリス」をドイツ語で以下のように表します。
1. England
グレートブリテン島の一部地域
2. Großbritannien
グレートブリテン島(イングランド、ウェールズ、スコットランド)
3. das Vereinigte Königreich
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国 (U.K. とも)
1と2は北アイルランドを含まないため、厳密な意味ではイギリスとは完全に表現しきれていない、ということになりますが、ここではポリティカルコレクトネスの話は脇に置いておきます。
さて、正確ではない表現があるにせよ一般的によく使われていることから、これらを「イギリス」という意味で使い、ドイツ語で出身地として言い表すときについて考えます。
1. Ich komme aus England. 私はイギリス出身です。(Englandは中性名詞)
2. Ich komme aus Großbritannien. 私はイギリス出身です。 (Großbritannienは中性名詞)
3. Ich komme aus dem Vereinigten Königreich. 私はイギリス出身です。(das Vereinigte Königreichは中性名詞)
3番、冠詞付きの中性名詞の国名、
存在していいの( ̄▽ ̄;)?
冠詞付き中性名詞の国名の存在は、学習したルールを根底から揺るがしています。これはイギリスの正確な呼び名に関する政治的な正しさの問題などよりよほど看過ならないと思っている・・のは私だけでしょうか(笑)?
長くなりそうなので次回にまた。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。
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