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ビジネスパーソンと現地言語(ドイツ語の場合)②

Hallo Guten Tag!

さて、前回はグローバルに活動する企業の社員たちが、ビジネスコミュニケーションに求めるものと、ドイツにおけるドイツ語の英語化のようなものに少し触れました。

今回も、ビジネスパーソンにとっての英語以外の現地語ってなんだろう、について、ドイツに出向・駐在する日本人や日本に出向・駐在するドイツ人が事前に受ける研修について触れながら、考えます。


赴任前「語学」研修


日本で対象者に提供されるのは主に、赴任前の「語学研修」に限られているのが現状のようで、ビジネスパーソン向けの異文化コミュニケーショントレーニングを提供する機関や企業はわずかです。

「語学」を中心に据えても、外国語をある程度モノにしようと思えばそれなりの時間が必要だということは、経験上多くの方が知っています。ターゲット言語を実践的に使いこなせるまでには多くの時間を費やすため、赴任前の限られた期間の中でその言語を習得するということはなかなか困難です。
しかもドイツ語は業務で使用しないのだから、おのずと生活全般に起因する、食事や買い物、ゴミの捨て方や病院などで意思疎通ができるドイツ語が求められる、ということが珍しくありません。

ところが、この生活部分で発生する様々な場面というのは、言い換えれば(多少大袈裟ですが)生死に関わる、言葉が通じようが通じまいが、クリアしなければばらない局面であることが多いのです。
よって、病院や子供の就学などの手続き、役所関係、ゴミ出しのルールなどは、意外にも現地に行けば自身の生存本能がどうにかしてくれてるものです^_^
数ヶ月の語学研修で、ドイツ語をゼロから、という人が現地の役所と丁々発止のやり取りを繰り広げ、また病院では検査や同意書、保険の契約内容が理解できる、というのは現実的ではありませんが、皆さんどうにかやっています。

身振り手振り、表情、スマホで通訳や翻訳機能、なんでも使って乗り切っています。

サバイバルだから、です。

ですので、そのような生活部分で発生する(多くの人はレストランでの注文や公共交通機関の使い方などをイメージしているのですが)緊急事態のドイツ語は、自身の生存本能を存分に信じて頂きたいし、レストランでの注文や公共交通機関の使い方は、該当する自分の赴任先の地域から日本語で生活に役立ちそうな生活情報を現地から発信している日本人がいることもありますし、学習アプリやYouTubeなどを使って、生活にすぐに使えそうなドイツ語のフレーズを学ぶことも可能です。

学習ツールや語学の講義も無料動画に山ほどある時代。あるレベルまでの外国語の習得は無料で可能という素晴らしい時代です。

そんな中、自習ではない形で、限られた期間に貴重な時間とお金をかけて多忙なビジネスパーソンが赴任前の研修を受けるなら、「語学」という枠を超えた実践的な異文化コミュニケーションの理解こそ求められるはずです。

ビジネスパーソンが必要としているのは、例えば言葉は通じているのになぜ事が運ばないのか、そんな問題解決の糸口や、判断の基準や動機が異なることによる、あるいはそもそも判断基準となる要素の見え方が日本と異なることによって生じる誤解が生む、ビジネス損失のリスクヘッジの観点から見た言葉やコミュニケーションです。

このスキルは「語学」研修で得られるスキルとはまた違うものであることを理解し、異文化ビジネスコミュニケーションのトレーニングについて見ていきたいと思います。

異文化ビジネスコミュニケーション研修

ドイツでは、ビジネスパーソンが国外赴任する際、赴任先の異文化理解のための研修を受講することはごく当たり前です。
これは「語学」研修ではありません。赴任前のビジネスパーソンが、その土地の商習慣や、その考え方などを学び、現地のお客様やビジネスパートナーをよく知るために役立つスキルであり、実践に根差した思考の「型」の学びでもあります。もちろんその際に言葉という側面を無視できませんので、ドイツ語には触れますが、語学習得を主な目的としていないため、そのアプローチは語学研修とは大きく異なります。
私は、ドイツ語圏の人たちが日本へ赴任する際の異文化トレーニングを現地で実施していましたが、日本でよく行われている赴任前の「語学」研修とは、扱うテーマも内容も大きく異なるものです。

座学で「語学」を学ぶ赴任前研修の目的とは異なり、多くの場合、空間と身体を使ったロールプレイやグループワークがあり、その目的は相手を知ること、相手の商習慣や思考にフォーカスされたものです。

語学研修の枠を超えて、ビジネスパーソンがより広い意味でノンバーバルなコミュニケーションを含む文化理解を深められる機会がもっと多くあっていいのではと思っています。

次回は、ここ数年のグローバルビジネス環境の変化から、ビジネスパーソンに求められる異文化コミュニケーションについて書こうと思います。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。


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