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2度別れた元彼との再会

こんなにも恋愛に興味がなくなったのは初めてだった。
誰にもときめかなくて、告白されても何も思わなかった。
だけど、頭の片隅にだけ。
ずっといる。
どれだけ他の人と過ごしても、彼との思い出の日々が色を増していくだけ。
高校を卒業すれば、私は遠くに引っ越す。
こんな田舎でさえすれ違うことはなかったのに、こんなにも遠くなってしまえば、会うことはないだろう。

それは突然だった。
「彼女ができたから」とLINEを消してもらったけど、インスタはまだフォローを外されていない。
すぐにDMを送った。
「引っ越す前に一度でいいから会いたい。」
返事はびっくりするほど軽く、早い、承諾だった。
彼は誠実すぎて弱気なくらいな人で、彼女がいる時に他の女子と会うような人じゃなかった。
だから、彼女さんは大丈夫なのかと聞いた。
すると、最近別れたのだと言われた。
心が飛び跳ねるくらい喜んでしまった。
きっと彼からしたら良くはないことだろうに。

卒業してから引っ越すまでの期間の約束だった。
だけど、学校も行く日数が減ったり行く時間が減ったりする日々で、お互いとても暇だった。
数日後に会う約束をした。

最後かもしれないこの日を大切にしようと思って、遠くに出かけずに公園で話すことにした。
いつもお互いの家でだらだらと過ごしてた私たちらしい過ごし方だと思う。

当日は、服に困った。
久々に会うから気合いを入れたいが、恋人でもないし。
ていうか公園だし。
1人ファッションショーを終え、服を決めた。
髪やメイクも気合を入れすぎず、だけど前より綺麗になったと思われる丁度いいラインを狙った。

公園で待ってると、バイクで登場。
おぉ、イカつい…。
「久しぶり。」
そう言いながらヘルメットを外す彼の笑顔は変わってなかった。
緊張するかと思ったが、そんなこともなかった。
他愛のない話をして、少し盛り上がった。
元カノの話を聞いたりしてからかったりもした。
心は痛かったけど。
だけど、知らないよりは良かった。

「でも元カノとはこんなにも話盛り上がらなかったなー。」
「沈黙も気まずかったし。」

垣間見える「私との方が楽しかった」と受け取れるような発言に少し焦る。
これは、天然で言ってるのか。
それともちゃんと私への言葉なのか。

「正直、私のこと思い出したりした?」

少しからかい口調で聞いてみた。
否定されても冗談だと言える逃げ腰な発言だった。

「うん。てかめっちゃ思い出したよ。」

そうなんだ。思い出したんだ。しかもめっちゃなのか。
もう勢いで聞いちゃえと思った。

「じゃあ、より戻したいって思ったりした?」

これは少し出過ぎたか。
でもいいや。どっちにしろ答えは聞くから。

「思ったよー。てかなんなら今も思ってる。」

え、え、え。

「だめ?」

「ううん。いいよ。」

お互い驚いてて、だけど安心して、このまま良い雰囲気になるような私たちじゃないけど、すごく素敵な時間を過ごした。
これ夢じゃない?大丈夫?とか言って、ハグして確かめた。
懐かしい匂い。
こうしてたら寝ちゃうねって前話してたよねって笑いあった。

他の人と付き合って初めて気づくものがあったと彼は言った。
当たり前だと思っちゃいけない日々を当たり前だと思ってしまって、それを他の人と付き合って気づかされたらしい。
私も全く同じだった。
あの日々は奇跡だったのに、それに気づかずに無下にしてしまった。
別れてから少し考えて、次付き合えたら絶対大切にできるのにっていくら考えても意味ないことばかり頭に巡ってた。
だけどそれが意味あることになった。
遠距離が理由で別れた私たちはきっとまだ今より未熟だった。
これからは遠距離だけど、受験前の月一回会えるか会えないかに比べたら大学生は時間がある。
きっとやっていける。
もう、前の私たちじゃない。
好きとか嬉しいなんてものじゃない。
安心と幸せが私たちを包んでく。

そうだ。部屋の片付けをしよう。
いつ君が来てもいいように。
こんなことを考えれる現実に幸せすぎて涙が溢れる。

今度こそ、大切にしよう。
壊れないように、私たちのペースで進んでいこう。

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