たまに、テレビを見ていて笑えない時がある。
数日前、偶然2月23日に放送されたフジテレビの番組「芸能人が本気で考えた!ドッキリGP」の再放送をお昼に見ました。
出演した森脇健児さんの寝起きドッキリで、過酷な体力消費系のロケをさせた後に地元の人々とお酒も呑み…といった徹底的に疲れさせて、睡眠時間も極力短くして寝入った直ぐ後に大砲で驚かせて起こす、といった企画内容でした。
森脇さんの起きてるのでは?わざとなのでは?というレベルの寝ぼけているかのような面白い寝顔に、スタジオの観覧芸能人の方々や現場スタッフの抱腹絶倒といった様子でした。
反面、この再放送を偶然見かけた私と母は血の気が引きました。
「……これ絶対睡眠時無呼吸症候群だよね?」
「お父さんと同じ」
「何でこんな異様ともいえるレベルの様子を見て爆笑できるんだろう」
私の父は、数年前に正式に病院から睡眠時無呼吸症候群とレム睡眠時行動症候群だと診断を下されましたが本人の強い拒否で治療を拒絶されました。
今の病院、医療業界では家族が強い意志を持って治療を望み、検査を受けさせて診断を下されても、治療をするかしないかは結局病人である本人が「治療を受けます」と希望しなければ受け入れられません。
市役所や保健所もあてにはなりません。相談すれば乗ってはくれますが、最終的には結局「ご家族で解決の糸口を見出して下さい」と返されます。
治療もせず早数年。
徐々に父の症状は酷くなってきています。
まだ最悪があったのだ、と私たち家族は進行形で頭を抱えている問題の一つです。
(機会がある度しつこい程に治療を勧めていますが、現在に至るまで一度も了承する事はありません。医師の説得すらも耳を貸さずに怒鳴りつけ、診察室で暴れ、子供の用に怒りながら癇癪をおこし拒否しました。家族は迷惑を掛けた病院関係者や周囲の方々に謝る事しか出来ません。)
今でも酷い時は毎晩あの放送の森脇さんのような異様な形相と、うめき声や怒鳴り声、はてには「ふざけているの?起きてるんでしょ?!」と言いたくなるほどの誰かとの鮮明な会話、誰かと喧嘩をして殴る仕草や何かに追われ(足を地につけて)走って逃げているような動作をします。
勿論ベットの中で寝ながらです。
上半身を完全に起こし、シャドウボクシングの様に見えない誰かと殴り合い、蹴りあい、の時もあります。その場合は十中八九ベットから落ちますが、落ちて怪我をする衝撃でも目覚めずにそのまま喧嘩のような行動を続ける時があります。
父のこの行動が見られるようになってから、一番にしたことは寝室を共にしていた母の安全確保でした。それまで父と同じ部屋、隣り合ったベットで寝ていた母は寝室を分けました。
睡眠時なので本人に意識はなく、殴りつけられれば母も怪我をするからです。
睡眠時無呼吸症候群の怖い所は、睡眠時に一時的とはいえ呼吸が止まり酸欠状態になる事です。最悪の場合、そのまま死んでしまう可能性もあります。
また、本人に自覚もない事が殆どで稀にしか症状の出ない人の場合は、家族も「疲れていたから寝ぼけていたのだろう」と深く考えずに素通りしてしまう事でしょうか。
父に診断が下されてから詳しく調べて知ったのですが、この病気の怖い所は睡眠時無呼吸症候群を発症した方はその後の認知症になる確率が高いという点です。呼吸が一時的とは言え止まる事により、脳に酸素がいきわたらず少しづつダメージを受けるからです。
この病気を治療をしないと言う事は、将来的に蓄積されたダメージで健康的な睡眠をとっている方よりもはるかに認知症のリスクを高める事でもあります。
呼吸の停止が頻繁に起こる人の場合、30~40代で若年性認知症を発生するケースもあるようです。
私の父の場合更にレム睡眠行動症候群も既に現れてますので、そちらの病気の場合認知症との合併率が60%以上とも言われており、しかもその合併として見られる認知症も一般的に知名度の高いアルツハイマー型認知症ではなく、症状や治療の難しいレビー小体型認知症に多く見られると学会でも発表されています。
もしかしたら私も、父の事が無ければスタジオの観覧芸能人の方々や現場スタッフさんの様にお腹を抱えて笑っていたかもしれません。
気になってこの放送の話題を検索した所、やはり「爆笑した」といった意見もありましたが我が家の様に「睡眠時無呼吸症候群なのでは?」と疑問を呈している意見も多く出てきました。
個人的には後者の意見を森脇健児さんがどこかで知り、少しでも早く専門病院で検査を受けられないかな…と思っています。
だって、それで問題なかったら「思い過ごしだったよ」って笑い話になるだけですからね。