ポートレート撮影で重視することや撮影モードについて
ポートレート撮影において、私が重要と考えていること、そのための設定をご紹介します。
ポートレートは人物写真、どのように人物を引き立てるかが重要です。
例えば人物以外がボケていれば、人物は引き立ちます。
ドラマチックな背景に人物を配置することでも映える写真になります。
暗所で人物だけに光を当てて背景を暗くすることで、明暗の差で人物を引き立てることもあります。
他にも前ボケを使ったり、様々な方法があります。
私もSNSや写真投稿サイトを沢山見て、様々な表現を勉強しています。
今回は私がポートレート撮影で意識している最大限にボカす撮影モードや、現在使っている撮影モードについてご紹介します。
被写体を引き立てる作例
私は背景がボケた撮影が好きなのでそれを前提に撮影モードについてご紹介します。
露出優先モードで最もボケる設定にする
露出オートとも呼ぶ、初心者にも便利な設定です。
NIKON、SONYならAモード、CANONならAvモードですね。
絞り以外(シャッタースピードとISO感度)はカメラが自動で決めてくれます。
カメラの絞りを開く(F値を小さくする)ほどボケは大きくなるので、AモードorAvモードでレンズの一番小さいF値に設定します。
70-200mmF2.8といった絞りが変らないレンズならF2.8に設定すれば、常にF2.8固定(最もボケる設定)になります。
70-300F4-5.6という焦点距離によってF値が変るレンズでは、F4に設定しておけば、焦点距離に応じて常に一番ボケる(明るい)設定で撮影出来ます。
マクロレンズは解放F値が一定でも、撮影距離によってF値が暗く(ボケなく)なりますが、出来る範囲で最も明るい(F値が小さくボケる)設定で撮影できます。
この時iso感度も自動に設定します。
ISO感度自動の設定はNIKONの場合、3つあります
①感度自動制御 ONorOFF ②低速限界設定 ③制限上限感度
※ISO感度について
ISO感度は上げれば明るく写りますが、画像にノイズが出たり、解像感が失われます。カメラのセンサーサイズや画素数によって違いますが、APS-Cセンサーならiso1600、フルサイズセンサーならiso3200が私の限界です。どこまで許容するかは人によります。
①感度自動制御
これは、基本設定された感度で撮りますが、写真が暗くなってしまう場合に自動で感度を上げて明るく写してくれる機能です。
②低速限界設定とは、最低限のシャッタースピードの設定です。
露出オートは明るい場合はシャッタースピードを速く、暗いときはシャッタースピードを遅くしてくれます。但し、遅くなりすぎると写真がブレます。
これ以上下げて欲しくない最低限のシャッタースピードを設定します。
低速限界設定は1/焦点距離を目安に設定します。
(50mmF1.4レンズなら1/50、70-300mmF4-5.6なら望遠端の300mmで撮ることを想定して1/300)
③制限上限感度
iso感度を自動で上げる限界の感度です。
自動制御でもこれ以上感度を上げてほしくない限界値を設定します。
・露出優先モードのカメラの挙動
指定の絞り(F値)と設定したISO感度でシャッタースピードをカメラが自動で決めてくれます。
明るい場合はシャッタースピードを速く、暗い場合はシャッタースピードを遅く自動調整してくれます。
さらに暗くなり、シャッタースピードが低速限界設定まで下がると、今度は感度が上がり最適な明るさで撮影出来ます。
しかし、更に暗くなり、感度が上限感度に達した場合は、再びシャッタースピードが遅くなります。
そうなった場合は、ストロボで対応するか、撮影を諦めた方が良いです。
ボカすための条件復習
・最大限に絞りを開ける(露出優先モード、解放F値)
・ズームレンズならなるべく望遠端で撮影
・被写体と背景を離す
・被写体を近く
マニュアルISO感度オートモード
もう少しカメラをコントロールする設定です。
Mモードで、露出はボカすために開放F値(一番小さいF値)に設定し、
シャッタースピードも自分で決めます。
シャッタースピードは被写体がブレないように設定します。
被写体に動いてもらう場合、1/250程度にします。激しく動いたり、ジャンプしたりするときは1/500位まで早くします。ポージングをしてもらい、あまり動かない場合は1/焦点距離にしたりします。
※1/焦点距離:50mmレンズなら1/50 85mmレンズなら1/85等
ISO感度は自動にします。カメラが丁度良い感度に設定してくれます。
上記2つのオートモードは明るさをカメラが自動決めてくれますが自分である程度明るさをコントロールできます。下の写真の露出補正ボタンで明るさを補正出来ます。
撮影モードのステップアップ
露出優先モード(Aモード)では、ボケの設定以外はカメラ任せなので、画角やピントに集中出来ます。
マニュアルISO感度オートモード(Mモード)ではシャッタースピードを決める要素が加わります。このモードを使って慣れてくると、もう少し明るく撮りたい。暗く撮りたいといった欲が出てくるのではないでしょうか。
こうなると次は完全マニュアルモードに移行することになります。
露出でボケを、シャッタースピードでブレを、ISO感度で明るさや画質をコントロールします。
撮影モードステップアップのタイミングは?
ステップアップの時期としては、撮影時の明るさ(環境光)でなんとなくシャッタースピードをどのくらいにすれば良いか判ってきたら
マニュアルISO感度モードにステップアップがオススメです。
完全マニュアルに移行するタイミングはこの場所は、明るく撮りたい。このアングルは暗く撮りたいという欲が出て来たら移行のタイミングです。
撮る前に明るさの+/-を設定するぐらいなら、ISOを変えて明るさを設定した方が早いです。
ちなみに私はD750とD500を使用していますが、D750にはISO感度の変更ボタンがシャッター周りに無いので動画のRECボタンにISO感度変更を割り当てています。これにより、ファインダーを覗きながら3つの設定を全て右手で完結できます。
完全マニュアルの優位性
経験の少ないうちはポートレート撮影前にシャッタースピード(低速限界速度)、ISO感度(制限上限感度)を決めておけば、シャッターを押すだけで良いという手順の少なさが魅力でした。
しかし、ポートレート撮影を撮り進めるうち、カメラの自動設定では、画角や、撮影距離を少し変えるたびに明るさが微妙に変化してしまうことに気が付きました。カメラが明るさを自動判断しているので、画面の中モデルさんを右に配置したり、左に配置するだけでも勝手に明るさが変ってしまいます。
現像時に明るさを揃えるために写真1枚ごとに明るさ設定を変える必要が出てきました。以前は明るさがそれぞれ違っても気になりませんでした。
一方完全マニュアルモードは、すべて自分で決めているので、同じ場所で撮影していれば、画角や撮影距離を変えても被写体の明るさが変りません。
ポートレートの撮影においては1カ所で数枚撮影して他の場所に移動といったワークフローのため、マニュアルモードで撮影すれば、1カ所で撮影した写真は全て同じ明るさになり、現像時に1枚の写真を現像すればその場所で撮影した写真は同じ設定で現像出来ます。
完全マニュアルに移行したとき、絞りやシャッタースピードはそれほど毎回変えるものではないので、撮影のたびにISOやSS等を設定することは非常に面倒に感じました。しかし、撮影後の現像については、非常に楽になりました。たとえ300枚撮影しても10カ所で撮影したなら10枚の現像をして、他の写真は現像設定をコピーするだけです。
ポートレート撮影は対人で撮るため、リズムも大切です。撮影ごとに設定に時間がかかればテンポが悪くなってしまうため、もう少しオートで撮るのも一つの方法です。
私のマニュアルモード撮影の手順
絞りは常に開放(最小F値)にします。
(背景をある程度見せたくて絞る場合もあります。)
測光モードはスポット測光(ピント位置の測光をします)
ホワイトバランスは5000k(オートはカメラが撮影毎に勝手に変えるので使いません)
①環境光が明るい場合
ISO感度は100
シャッタースピードで明るさを調整
②環境光が暗い場合
シャッタースピードをブレない最低スピードにする
ISO感度で明るさを調整
どうでしょう?そこまで複雑ではないと思います。
かといって、いきなりポートレート撮影で上手く行うのは難しいと思います。
私はマニュアルモード移行の練習は町のブラ歩きで練習しました。
5枚ぐらい画角を変えて撮ってみて、全てが適正な明るさで撮れていたら、移動して撮影する。といった感じです。これは本当に慣れなので、自転車に乗るのと同じですね。1回の撮影では定着しないですが、数回繰り返すことで出来るようになります。