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ハードルを下げまくる日々
台湾留学中、私の生活のハードルはかなり低く設定されていたと思う。
そもそも、中国語もままならないまま一度も行ったことのない場所に住むのだから、できることよりできないことが圧倒的に多い。
それでも、何とかいろいろな人の力を借りて、語学学校の入学手続きと住む家を借りることができ、台湾生活がスタートしたのだ。
1人でコンビニに行って水を買うだけでもドキドキしているような中、1人ランチでもしようものなら、心の中は拍手喝采「よくやった!」と大騒ぎだった。涼しい顔して食事をしていても、心の中はプチパニックとお祭り騒ぎでてんやわんやだった。
電車やバスに乗る、レンタサイクルを使う、食事、買い物……日本にいたらそれがどれくらいの労力なのか考えもしないけど、慣れない場所で、よく分からないままそれらをやろうとすると、こうも疲れるのかと実感できたのも新鮮だった。
何でもないことも一大事なのだから、何をやったって「私、よくできました」という気分である。
レジの人に一度も聞き返されなかった、道を聞いてきたおばあちゃんに「ごめんなさい、私も分からないです」と言えた、欲しい本の場所を店員さんに聞けた。それくらいのことが1日1つでもできれば「今日はよくやったな」と思うような毎日だったと思うし、そうやってのんきに考えるようにしようと心がけていた部分もある。
毎日変わらず会社と家の往復をして1か月、1年、と時間が過ぎていくと何もしてないような気がして焦りがふつふつと湧いてくるけど、そんな時こそ、ささやかだけどできたことを探すようにしたいと思う。