国に返すことのできない土地はどのようなところか【相続土地国庫帰属制度】
相続した土地を国に返す相続土地国庫帰属制度が始まっています。私どもの事務所でも、既に何件かのお問い合わせや相談をいただき、手放したくて困っている土地をお持ちの方が多くおられることと思います。
相続した土地であればどのようなところでも返せるわけではなく、国が引き取る不動産には制限があります。どのような土地が取り扱ってもらえないのかは、法務省が示しています。
次のような土地は、審査する前に却下されます。
建物が建っている土地
抵当権や地上権など、他人の権利がついている土地
通路、墓地、境内地、用水路のように他人も通行する土地
特定有害物質で汚染されている土地
隣地との境界がわからない土地
次のような土地は、審査で落とされます。
崖地(勾配30度以上、高さが5メートル以上、通常の管理に過分の費用がかかる)
通常の管理を阻害する工作物、放置車両、果樹園がある土地
産業廃棄物、ガラ、井戸、浄化槽などが地中に埋まっている土地
公道に通じていない土地
隣地に通行が妨害されている土地、不法占拠者のいる土地
土砂災害の発生のおそれのある土地
クマ、ハチ、イノシシなど人などに害を与える生き物がいる土地
別荘地のように管理費用がかかる土地
竹やぶのように定期的に間伐をしなければならない手間のかかる山林
審査手数料として、1筆ごとに14,000円かかります。これは、審査の結果にかかわらず帰ってきません。事前に要件を確認し、法務局や司法書士、弁護士などの専門家へよく相談して、利用するかどうかを検討しましょう。
国に返すことができる土地は、ぜひ不動産国庫帰属制度を使ってください。しかし、要件を満たさずに、国に返還できない土地でもあきらめないでください。この場合には、民間の不動産の引取処分業者を利用しましょう。
不動産の引取処分業者では、粗大ごみを捨てるように、お金を払って不動産を引き取ってもらうことができます。
不動産は、持っているだけで固定資産税や除草などのコストがかかるほか、相続が発生すれば相続登記をしなければならず、永続的に費用がかかります。これを前倒して一括で処分費用を払い、不動産を手放すことができるのです。
処分に困る不動産があれば、お気軽にご相談ください。詳しくご案内いたします。