2022年11月レポート
静岡市清水区と葵区にて、技術ニーズの活動調整や災害ボランティアセンターの運営サポートなどをしています。
災害発生から2ヵ月がたち、街中からは分かりやすい災害の跡(災害廃棄物の山や土砂の山など)は、少しずつなくなってきています。
そして浸水した家の中も、片付けと掃除が進み、水害があったとは分からないくらいにきれいになっている家も少なくありません。
これだけキレイになったから、壁とか床とか見えないところをやるのは気が向かない、という声もいくつか聞きました。冬の間に暖房で部屋の中が温まり、そこからカビが増えたりしていくと、再びニーズになるのかもしれません。
り災証明の証明書待ち、水害の保険金待ち、修理の見積もり待ち、工事開始待ち、などさまざまな理由で壁や床の対応ができていない(待っている)お家もたくさんある印象です。
また、応急修理制度(国から家屋復旧の経費最大60万円ほどが補助される制度)の手続きが難しく、「制度申請のためにもう3回も市役所に行った」という工務店や大工さんなどもいらっしゃいます。こうした点でも時間がかかり、工事のタイミングがずれ込んでいく一因になっているようです。
被災した家の復旧が終わるには、まだまだ時間がかかりそうですし、ボランティアニーズもまだポロポロ出てきそうです。
活動でいろいろなお家の状況を知ることになるのですが、福祉的な配慮の必要なニーズも少なくありません。災害がきっかけで顕在化した困りごとも見えてきます。
依頼されたところを早く対応するだけではなく、住民の方に気を配りながらの活動が求められます。お話をしながら、住民さんや世帯にあった支援をこちらから提案することも必要です。
例えば、こんなケースがあります
ケース1
80台後半の方が、ハウスメーカーのお家にお一人暮らし。お家に入ると湿気やカビの独特の匂いがしていました。ハウスメーカーの見積もりが高くて、修理費を出せそうにないから、壁も床も大きく触りたくないなぁと思っている様子。
浸水して1階が使えないので、介護ベッドを2階に上げて生活中。
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床下の水分量を計測。乾き始めていたので、送風機を設置して乾燥を促しました。普段から関わりのあるケアマネジャーさんを交えて住民さんと打ち合わせ、濡れている壁を最低限取ることを了承してもらい、壁をはがしました。年末までに1階にベッドを移せたらいいなと思っています。
ケース2
大人3人とペット多頭飼育のお家。
1階が被災したため、2階の10畳ちょっとのスペースだけで生活されていました。1階はキッチンを外してしまったので、洗い物はお風呂場。修繕の予定はあるものの、まだ見積もりも進まない状態。
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他の家でキッチンを解体したので、その流し台を移設。仮で設置して使えるようにしました。土足で上がっていたところを清掃や寒さ対策をして、1階を使えるようにしました。
壁の断熱材を撤去、カビがひどい場所は消毒対応をしました。地域の方にも情報を共有しながら、経過を見守っています。
ケース3
平屋のお家が被災。復旧作業中の怪我で入院し復旧の手続きが進まない状態でした。残された未成年の家族が、畳のない部屋で生活を続けていました。
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土砂撤去など終了後、畳の代わりに敷くマットを設置。寒さ対策をして様子を見ています。
ケース4
家族数人で住んでいらっしゃるが、親世代の年金が一番の収入源のお家。家計も厳しい様子ですが、それ以前に頼んでいる大工さんもなかなか来ない。床板がブカブカで、今にも抜けそうな床に板を渡し、その上を歩く生活を送られていました。
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床下の乾燥具合は問題なさそうだったので、床をはがすと同時に仮床を設置。暖房器具も水没してしまって寒いとの話があったので、寒さ対策でマットを貸出しました。社協のスタッフさんにも同行してもらい、根本的な問題解決のための支援を案内してもらっています。
この他にも、家族関係が上手くいっていないようなケース、高齢者で認知症のため家屋復旧の判断がお一人ではできないケースなど、福祉のプロに関わってもらうべき案件がたくさんあがっています。
社会福祉協議会がボランティアセンターをする意義は、こうしたニーズにつながっていくからだと思っています。
技術ニーズの調整役として、細部に気を配ってこうした福祉ニーズを見つけ出しながら、必要な人に必要な支援が届くように調整を続ける予定です。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。 少しでも、災害現場の課題が伝わっていたら嬉しいです。 いただいたサポートは、被災地の現在を伝えるための活動資金にさせていただきます!