3年生 国語科「きつつきの商売」 授業案と実践後の振り返り
「きつつきの商売」についての授業案と、実践してみての振り返りになります。指導書の内容をベースとしながら、コロナ禍でできる授業を意識してみました。
まずは単元計画について。
1時目では、初読の感想を児童が記入することが多いと思われますが、今回はその活動を入れませんでした。理由としては、初読の感想を書く意味を自分自身が見いだせていないことが大きいです。コロナ禍で、すでに児童が家で本文を読んできており初読でないことや時間の節約などの理由もないとは言えないのですが、この理由が一番大きく感じています。初めて読んだ文章について思ったことや考えたことを書きなさいと言われてすらすらかける児童はなかなか少ないのではないかと思います。たぶん「面白かった」「〇〇(登場人物)はやさしいと思った」程度しか書けません。それも圧倒的な苦痛の時間を味わいながら。「書けない」という思いを強く感じてまで初読の感想を書くことが果たして学習において重要なのか。そのあたりを自分でうまくまだ落とし込めていないので、初読の感想を書くという活動を今回は見送りました。いつか初読の感想をうまく活かした授業については考えてみたいと思います。
6時目では、本来、児童が作った第3場面の交流まで入れたいところではあるけども、現在の状況から見送りました。とはいえ、他の人が書いたものを見る機会が全くないというのもいかがかと思うところです。そこで、児童が書いたものを印刷して、簡易冊子にして教室においておくこととしました。次の授業前に「読み上げて紹介する」という形も悪くはないと思いますが、児童の様子から音声よりも視覚のほうが情報を読み取りやすいと感じたので今回は冊子にすることにしました。
次に1時間ごとの内容について。試験的に板書型指導案で書いています。指導案の再現性をいかに高めるかということが個人的課題の1つです。再現性の高い指導案として、今年度はこの書き方でチャレンジしてみようと思っています。
1時目の板書型指導案です。
実践後の板書はこちら。
学習計画の板書については児童の言葉に合わせて変更しました。場面についての説明は板書せずに口答のみに変更。授業を行っている中で、「わざわざ板書しなくてもよくないか?」と思ったためですが、今振り返ると板書してもよかったかも。あらすじをざっくりとこの時間に確認することができたので、2時目以降がすんなりできました。
2時目の板書型指導案です。
実際の板書の写真は撮るのを忘れていたのでありません。
前時からの続きのような学習です。それぞれの場面の内容について表を使って整理していきます。本来なら、表からノートに書いてほしいところですが、実態としてまだそのレベルまではいっていないので今回はワークシートを使いました。テストのことも考えて、きつつきと野うさぎ、野ねずみの家族の位置をそれぞれ分けて記入するようにしました。指導書では場所・天気でまとめた扱いだったと思います。登場人物の位置関係についての学習では、花房磨紀『叙述を視覚的に表現する活動を取り入れた授業改善に関する研究』がおもしろそうだなとは思いました。
教科書には挿絵がついているので今回は見送りましたが、どこかで実践してみたいです。振り返りではそれぞれの場面の違いについて述べている児童がいたので、表を使うことは有効だったと思います。ただ、表をつくった後にさらに1と2の場面の違いについて確認してもよかったかもしれません。
3時目の板書型指導案です。
実際の板書はこちら。
「コーン」や「シャバシャバシャバ」という音について、教員が異なる言い方を示し、児童がどちらかを選ぶ形で授業を進めました。①や②の選択肢の下に、「本文をもとにするならこっちの言い方のほうが近い」と思うほうに、児童がネームカードを置いていきます。実践してみて、本文を根拠にしていない説明にはごね、本文をもとにした説明には納得するという教員の姿勢が結構大切になると感じました。そうすることで児童は本文をもとに考えをまとめるようになります。選択肢を決める段階では、思い付きや勘で選んでもかまわないと思います。その選んだものが正しいことを相手に納得させようとする段階で、教員がごねることで児童は本文を武器にすることを学んでいけるのではと感じました。
4時目の板書型指導案です。
実際の板書はこちら。
人物の心情につながる描写に重点を置きたいと思い、ぶなの木の音についての描写をカットしました。本文と掲示文との違いを探すことで、授業後半での登場人物の気持ちを考える活動での手掛かりになったかと思います。課題としては、登場人物の気持ちを考える場面でもっと文章として考えるようにしてもよかったということがあります。結局教科書後ろの「言葉のたからばこ」的なところから選びだす活動になってしまいました。それも悪くはないとは思いますが、本来文章で書けるだけの力やそれに近いだけの力をもっている児童が力を発揮できない活動になってしまいました。教科書参考と自力で文章を考えることのどちらをベースとし、どちらをサポート・発展とするかは児童の実態によるとは思いますが、どちらかだけではなく両方をもとにして授業を構成することが大切になると感じました。
5時目の板書型指導案です。
写真を撮り忘れたので実際の板書はありません。
ベースとしては4時目と同じです。特に大きく変えたところはなく、4時の反省を踏まえて、人物の思いを文章で記述するようにしたことと、掲示文がちょっと小さかったので大きくしたぐらいです。
6時目の板書型指導案です。
またまた写真を撮り忘れたので、実際の板書はありません。
2時目と同じ形のワークシートを用意し、それに記入していく形で授業を進めました。案では、黒板にいろいろな動物の写真を貼ってイメージを膨らませられるように考えていました。しかし、やってみるとそれだけでは手立てとして不十分に感じました。そこで、配ったワークシートと同じ表を板書し、教員が思いついたアイディアを書き込んでいき、考えることが難しい児童はそれを参考にしてもよいという形にしました。本来この形にするときには、早く出来上がった児童から自分の考えを板書していくという形にするとよりよいと思うのですが、できるだけ物を共有しないようにするために、今回は教員側が書いていく形にしました。文章構成や記述内容についての指導はしたことがあるが、アイディアに関する指導をあまりしたことがなかったため、かなり難しかった。どのような手立てを行えば、イメージを膨らませてもつことができるかについてはこれからの課題としたい。図工辺りともつながりそうな気がしているので、その方面からも考えていきたい。
以上がきつつきの商売における授業案と実践の振り返りになります。ご意見などありましたらお待ちしています。