キヅタちゃんが死んだ話　〘2〙

　キヅタちゃんはすごい子なんだよ！　頭がいいし、かわいいし、性格もいいんだよ！　全てがぱーふぇくとなんだ！　わたしの友達でもあり、憧れの存在でもある。よく勉強教えてもらったよ。キヅタちゃんは、教えるのがとても上手なの。そうそう、キヅタちゃんの得意な教科は数学なんだって。数学って、アルファベットとか数字とかがたくさん書いてあるやつでしょ？　あんなに難しそうなのにすごいよね。でも、得意教科って言ったって、キヅタちゃんはいつもテストの全教科九十点以上なんだから。全部得意教科だよ。こんな点数をとってみたいなって何度思ったことか！　それをキヅタちゃんに言ったら、「勉強教えようか？」って。教えてもらってから数日後、なんとテストの点数があがったんだ！　二十点もアップした！　本当にすごいよ！　お母さんに「勉強頑張ったのね」って褒められた。でも、あれは全部キヅタちゃんのおかげなんだけどね！　キヅタちゃんに感謝しなくちゃ！

　あのね、今日キヅタちゃんが話しかけてくれたんだ！　最近ずっと他の子と話してばっかで、全然話しかけてくれなかったから嬉しかった！　やっぱりキヅタちゃんはわたしが一番の友達だって思ってくれてるんだね！　わたしもだよ！　しかもキヅタちゃんね、「今度家来ない？」って言ってくれたの！　今度キヅタちゃんの家で遊べるの！　二人だけで！　もちろん、オーケーしたよ！　楽しみだなぁ。それにしてもキヅタちゃん、前もかわいかったけどもっとかわいくなったね。話さなくなってから、遠くからしか見られなかったからさ。サラサラな長い髪で、前髪にはかわいいくまさんのクリップをつけてたの。わたし、キヅタちゃんと一緒におそろいのクリップつけてみたいな……。そうだ！　今度キヅタちゃんと一緒に買いに行こう！　それで、毎日学校に同じクリップをつけていくの！　わたしとキヅタちゃんの友達の証！　キヅタちゃんとこんなに仲良いってみんなにアピールするんだ！　キヅタちゃんと本当に仲良いのはわたしだけなんだから！　

　学校で、キヅタちゃんとお泊りする日を決めた。本当はもっと早く行きたかったんだけど、キヅタちゃんちの迷惑になっちゃいけないもんね。その後、わたしは二人で前髪クリップを買いに行く日を決めようとしたんだ。だけどね、他の子がキヅタちゃんに話しかけてきたから言えなかった。邪魔されちゃったんだ。人が話してるのわからないのかな？　せっかくキヅタちゃんと話せたのに。キヅタちゃんもちょっと戸惑ってたよ。そして、キヅタちゃんに話しかけてきた子はわたしのことなんて全然気にしないで、キヅタちゃんと校庭行っちゃったんだ。ひどいよ。でもそれくらい人気者なんだよね、キヅタちゃん。