The Jam / All Mod Cons (1978)
ザ・ジャムのサード・アルバムにして、英国を代表するバンドとしての彼らの評価を決定づけた傑作。
12曲中11曲をポール・ウェラーが手掛け、残り1曲はキンクスのカヴァーということからもわかるように、ウェラーのソングライターとしての才能は進境著しく、レイ・デイヴィスにも通ずるUKロックらしいストーリーテリングが光る。
キレの良いロックンロールもエネルギッシュなパンクも味わい深いミドル・テンポも美しいバラード("English Rose"は名曲)も入った本作は、モッズ×パンクの決定版にして、70年代を代表するブリティッシュ・ロックの名盤。
狂おしいほどに美しいラインを生み出すポール・ウェラーのメロディ・メイカーぶりが、わずか20歳にして(!)本格的に開花したといえる。
パンクが下火になってきた70年代末に、ザ・フーやキンクス直系のブリティッシュ・ロックやモータウンやリズム&ブルーズを、彼らの音楽性の根幹を貫く普遍のメロディで聴かせてくれる。
ザ・ジャムの最高傑作はこれでいいのではないかと思う。
少なくとも、こと70年代後半の英国ロックにおいては、クラッシュの「ロンドン・コーリング」に次ぐ重要作だろう(忘れてるアルバムありそうだけど…)。
ブリティッシュ・ロックの黄金律を捉えたようなメロディにキレのある演奏、ウェラーの熱くクールな歌唱、言うべきことを言い切った詞、質量ともに過不足なく充実した楽曲。その全てがきっちりと含まれたこのレコードは、英国ロックの伝統という縦軸と、パンクのその先を窺う同時代性という横軸が交差する”あるべき”点をしっかりと射抜いている。
あらためて聴いても良い曲だらけ。