Neil Young with Crazy Horse / Everybody Knows This Is Nowhere (1969)
バンドをやめてソロ活動に専念すると決めたニール・ヤングが巡り合った運命のバンドがクレイジー・ホース。
ギターのダニー・ホイットン、ベースのビリー・タルボット、ドラムのラルフ・モリーナによるバンド(当時はザ・ロケッツという名前だった)にニールが加わりクレイジー・ホースと名付けられ、このセカンド・アルバム全編にバンドとして臨んだ。
今でもニールの代表曲であり続ける”Cinnamon Girl”や”Down By The River”、”Cowgirl In The Sand”などの名曲を収めた本作で聴けるニールとクレイジー・ホースの演奏は、荒々しく生命力に溢れ、感情がダイレクトに表現に結びついており、その爆発力と求心力には凄まじいものがある。
バッファロー・スプリングフィールド時代から書いてきたフォークやカントリー路線のバラッドにハード・エッジでヘヴィなギター・ロックが加わり、ニールの音楽性の二大要素がそれぞれ幅と奥行きと表現力を増して鳴らされた初期の傑作。
前述の"Down By 〜"や”Cowgirl 〜”のような9〜10分の長尺の曲でも、ビリー&ラルフのリズム隊が築くどっしりとした土台の上で繰り広げられるニール&ダニーによるギターの掛け合いは徹頭徹尾スリリングで全く飽きさせず、激しさと荒々しさの先に感動すら覚える。
ニール個人では2作目、クレイジー・ホースと組んでの1作目にして既にその最高の魅力が引き出されている。
全曲を書き上げたニールのソングライティングも素晴らしいのは言うまでもない。
不安定さや不完全さの奥にある激情が、いつしか豊かな叙情を生んでいく。
ロックにもメロディを最重要視する僕にとって、ギター・ソロというのは実はそこまで好まないのだけど、ニール・ヤング師匠だけは別。というか、ギター・サウンドの楽しみ方を知ったきっかけと言っても過言ではない。
このアルバムで聴けるギター・ソロやギターの掛け合いは本当に凄い。圧巻。圧倒される。
今日も今日とてスピーカーと鼓膜をビリビリ震わせながらこれを聴く。
近所迷惑ですみません。