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The Band / The Band (1969)

歴史的名盤であるデビュー・アルバム「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」で”アメリカーナ”の基礎を築いたザ・バンド。

ボブ・ディランのバック・バンドから独立し、ディランの助力も受けてデビューした彼らは、ファースト・アルバムのリリース後のツアーに出ることなく、ロビー・ロバートソンを中心とした曲作り(全曲にクレジットされている)と主にカリフォルニアのスタジオでのレコーディングに勤しむことになり、そして出来上がったのがこのセカンド・アルバム(通称:The Brown Album)。

前作にあった独特の浮遊感(これがまた魅力的だった)は薄まる一方で、リヴォン・ヘルムの出身地でもあるアメリカ南部の音楽(ディキシー)の方向へと掘り下げ発展させた本作は、往年のアメリカ南部を背景とした悲しくも力強い物語を一つの軸に、地に足の着いたどっしりとした演奏と土着的な音作り(時々香るスモーキーさも素晴らしい)、滋味と力感を増した3人のヴォーカル(渋く逞しいリヴォン・ヘルム、艶やかに哀愁を帯びたリチャード・マニュエル、朴訥でソウルフルなリック・ダンコの三者三様の歌声の味わい深さはイーグルスに先駆けている)が有機的に絡み合う。

メンバーの5分の4がカナダ人ながら、当時の”アメリカン・ロック”を誰よりも鮮烈に濃密に体現した本作は、バンド名を冠したアルバム・タイトルの通り彼らの自信作であり、最高傑作とされることも多い名盤。






前世紀のアメリカ南部を生きる人々を描いたコンセプチュアルなアルバムである本作は、シンプルながら存在感抜群の激渋ジャケットも象徴的。

デビュー作をさらに深掘りして進化させた理想的なセカンド・アルバムで、前作の時点ですでに曲の良さが際立っていたが、本作はそれに加えて演奏のダイナミックさも相まって、凄みすら漂う。

「60年代のアメリカン・ロック」という意味では、ザ・バンドの1〜2作目があればいい。
そう言っても過言ではないほど、ロックの歴史上において重要な作品。
豊穣なアメリカン・ロックの極みがここにあり。



9月の2週連続3連休も今日で終わり。
そろそろ肌寒くなってまいりました。夏もいいけど、秋もいいよね。
たっぷり歩き、しっかり食べ、じっくり音楽を聴き、しっとり酒を飲む。

苦しい局面が続くけれど、先を見据えながら、先を見据えすぎずに、日々を進めていくことにする。




久方ぶりのプレミア・リーグ制覇を狙うアーセナルも厳しい局面の中踏ん張っていて、その逞しさに勇気づけられる(と同時にヴェンゲル時代からのグーナーとしては一抹の寂しさもあるにはある)。
耐えに耐えて勝ち点を積み重ねていった先を楽しみにしている。
苦しい時期を耐え、疲れてきた頃にカムバックしてくる選手たちの力でブーストしてほしい。

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