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サイゼリヤの新メニューの補足
もちろん非公式です。「サイゼリヤの」と書いたけど基本的に一般論です。
サッパーとは何ぞや?
Anytimeサパーとして今年の3月に提案されました。
『ササッと食事したいというお客様のニーズに、手軽に食べられる新食事スタイル“Anytimeサパー”をご提案いたします。』(サイゼリヤHPより)
サパー「supper」という単語自体は英語で、dinnerと同じ時間帯に食べられることが多い食事で、一般的にはdinnerがフォーマルなお店で食べるような夕食で、supperは簡素な家庭で食べる夕食をイメージすることが多いらしい。
場所によっては夜食(夕食のあとに食べる軽い食事)や、軽食(snack)の意味で使われることもあるそう。サイゼリヤは軽食という意味で使っているようです。
supperの語源を簡単に調べてみたところ、supperはsup「スープなどを)すする)」という動詞から来ているようで、確かにスープのような軽い食事をイメージできますね。
一方面白かったのはdinnerの語源で、フランス語のdisner、もっとたどって古フランス語のdesjëunerから来ているそうでその意味は「to break fast」、すなわち「断食を破る」。朝食は朝早く(=fast)に食べるからbreakfastって言うんだろうなと(breakの意味を無視して)思っていたけど、なんていうことはない、断食(=fast)を破るからbreakfastだった。
閑話休題。世の中の移り変わりとともに食事のスタイルも変わってきているので新しい食事スタイルの提案はとても良いと思う。特に時勢に求められているテイクアウトにも対応しやすそうだしね。
レフォールソース
ようやくここから新メニューの話へ。6/30からのメニュー改定から2週間も経ってしまった。けど勉強するよ。
レフォールソース(Sauce au raifort)はフレンス料理のソースで、西洋ワサビ(ホースラディッシュ)とクリームとかバター、チーズのような乳製品を混ぜ合わせて作るソースでローストビーフなどと一緒に供される。
日本では西洋ワサビは山ワサビ、ウマワサビなどとも呼ばれ、粉ワサビやチューブタイプワサビなど加工ワサビの原料として使用されている。明治初年に伝来し、今は主に北海道で生産されているが、加工用ワサビの原料としてはほとんど中国からの輸入だそう。ワサビと同じアブラナ科だが属が異なる。(参考:https://www.kinjirushi.co.jp/wasabi/type2/)
イタリアではcren、rafano、barbaforteなどと呼ばれ、アルプスからアペニン山脈のトスカーナ、エミリアロマーニャのあたりまで、まれにラツィオやバジリカータあたりでも、主にボッリート(茹で肉)やアッロスト(ロースト)などのソースとして食べられている。(参考:giallozafferano)
サルシッチャ
主にひき肉を調味しハーブなどと一緒に腸詰めした料理で紀元前1世紀からあるらしい。「ソーセージに似てるけど、サルシッチャは燻製していない。」という説明をよく見かけるが燻製していないソーセージもある。ひき肉の腸詰めのことをイタリアではサルシッチャ、英語(?)ではソーセージと呼ぶという整理でいいと思います。ただイメージでいうとサルシッチャのひき肉はかなり粗挽きで、5mmくらいあるんじゃないかしら。
もっと細かく分けるとサルシッチャにも例によって地域ごとにいろんなバリエーションがあるし、ソーセージだってウインナーとフランクフルトのようにバリエーションがある。ちなみにウインナーは羊の腸詰で太さ20mm未満、フランクフルトは豚の腸詰で20~36mmという基準らしい。(参考:伊藤ハム)
サルシッチャのサブカテゴリーはまた今度勉強します。
煉獄のたまご
これはすごい料理を見つけてきたなと思った。巷で流行の『鬼滅の刃』の登場人物である「煉獄杏寿郎」にあやかって名づけたわけではないが、twitterを見てると「煉獄さん」のファンと思しき人が「煉獄さんの卵・・・」とあげているのを見る。卵が先かアニメが先かは分からないが、ことマーケティングの苦手なサイゼリヤがこういう軽バズりアイテムを見つけてきたことが嬉しい。
さてこの煉獄のたまご「Uova in purgatorio」 はれっきとしたナポリ料理で、したがって卵のほうが先である。とても簡単な料理で、トマトソースの中にポーチドエッグを落とすだけ。ぐつぐつ煮えるトマトソースの中で固まる卵が、煉獄で炎に焼かれる魂に見立てられている。
じゃあ煉獄とは何ぞやとなるわけだが、これはカトリックにおいて天国と地獄の間にあるとされ、そこに入ったものは炎に焼かれ苦しむが、それは生前の罪を浄化し天国に向かうためであるそうな、そんな場所。余談だが煉獄の画像イメージを貼り付けようと思ったらすごいことになっていた。
備忘録:たまご1個 は l'uovo、2個以上は le uova。
トラパネーゼソース(季節のメニューより)
やっとここまで来た。ほんとはこの「トラパネーゼソース」だけ書こうと思ってたのにメニュー改定の分まで書いたら長くなってしまった。
トラパネーゼソースの材料は主にオリーブオイル、バジル、トマト、アーモンド、唐辛子、赤にんにく。材料を切って乳鉢で混ぜるだけ、加熱しないシンプルなペーストです。もともとジェノバの船乗りがトラーパニに来たときにジェノバ料理のにんにくとくるみのペーストを伝え、それをトラーパニの人々が自身の土地にあったトマトとアーモンドと組み入れて作ったのが始まりというとても古い料理です。
トラーパニ(Trapani)はシチリア島西部に位置する都市で、マグロ漁、サンゴ、大理石などで有名だそう。またワインの一大生産地らしく、マルサラも近い(隣り)なので、マルサラワインの生産もさかん。シチリアは昔友人が住んでいたTaorminaにしか行ったことがないので、パレルモ、トラーパニ、マルサラと回ってから、未踏のサルデーニャにいつか上陸してみたい。パレルモのスティッギオーラを食べてみたいんだよなー。
おわりに
こんな感じでサイゼリヤのメニューのバックボーンの情報をシェアできたらな、という感じです。ソースはだいたいイタリア語版wikiかイタリアのサイト。周辺知識も有機的に増えていくといいね。通常メニューも折を見て勉強していこうと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。